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要の意味  作者: かなりあ
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手札

ピンポンダッシュならぬ言い逃げダッシュで、行きと同じ道を走る。

ふぅ〜意味深だったか?

何にせよ、急いで帰らねばっ!


「…ぐぇっ」


後ろ襟を掴まれ、路地に連れ込まれる。

苦しいながらも肘鉄をしようと構えた時…


「俺だ…」

「ギルっ、か…びっくりしたぁ〜」

「こちらの台詞だ…お前は!…心配させるな」

「ごめん…私も予想外だったんだ。……そろそろ離してくれないか?」


今、ギルは後ろから覆い被さり、かなりの腕の力で体を締め、私の肩にギルの金髪頭が乗っている状態だ。


はぁ〜と、息を吐いて拘束を解かれ、向き直る。


「マキシムに会った。相談したいことがたくさんあるんだ…帰ろう!」

「…ああ。アル達も張っている。合流しよう」


少しして仲間が揃い、やっぱり殴られたのは言うまでもない……




「……言いたい事は多々あるが…」

「あり過ぎだ!!この馬鹿!」

「いてっ…」

「会うチャンス?…馬鹿!浮浪者に知らせたんだから、時間稼ぎの方法ぐらい思いつかなかったの?!明日の約束までして…逢い引きじゃないんだよ!?」

「ハイ…仰ル通リデゴザイマス…」

『ハイッ………デース』

「四郎が喋っ…ゴメンナサイ…」

「…とりあえず、場所は分かったわけだが、違う場所になる可能性もある…お前1人行かせるわけにはいかねぇし、どーすっかなぁ〜」

「…心配してくれるのは有り難いが、マキシム説得の計画は行かなかった時点で潰れてしまう。だから行く。」

「「「駄目!」」」


そんな皆で怒鳴らなくても……


「…お前らだって、私の立場なら行くだろう?違うか?」

「「「………」」」


一様に渋顔だが反論はない=肯定!


「ほらな。私はこの姿だから侮られているし、剣も取られなかった…私がもし隠れたなら、ラグ達はどうなる?私は警戒されているだろうが、側に置こうとするぐらいに興味を引いている。アイツらが、行動するのがいつか分からない今、刺激せず近づけるのは私しかいない。ギル達と取り持つことができるのも私だけだろう?」

「…だけどね」

「分かってる。危険なのは…私だってお前らの立場なら止めるだろう…ついて行くと言うだろう…しかし、アイツらは、無関係でガキな私をどうこうする程ヤバい奴じゃない。私が間違えなければ良いだけだ。そのために、私はどういう風に持って行けばいい?話していいのか?話さず報告だけすべきなのか?もし私が間違えた時、ラグ達をどう逃がすか考えとかなくちゃ、私も混乱するだけだ。先に手を打つ時間があるんだ。有効に使おうぜっ!」

「……俺達を説得する頭があるなら、なんでケイナーに頭使わないのかな…要領悪いなぁ〜」

「うるせぇよっ。よし、グレイトピエロの参謀殿…作戦は如何に?くくっ」

「……隊長と副隊長の許可がありませんので、出来かねますね…」


爽やか執事のような、笑顔と礼で格好つけるヴィル…

ということは、ギル達次第だと言っているんだな…よしっ!


「…ギル、アル……情で、有効な手札を切れなくてどうする?民は、経緯より結果を求めるぞ?」

「…チッ…何様だお前は…」

「……俺に、お前を手札として切れと言うのか?」

「…そんな顔するな。死ぬ前みたいな顔してるぞ?……そんなに信用がないのか?逃げることも出来ないと思っているのか?…私は、役立たずの力量不足なのか?…なぁ、ギル…アル」

「………」

「…ああ!もう!…お前には負けた!いつもこれだ…油断すんなよ!」

「…危険に晒されても、カナメの手柄にはならないんだぞ?」

「分かってるよ。とびっきりデカいことしなきゃ、王様に褒美なんて強請れないだろ?私達は影の密告者だしな。チクリだ、チクリ!ハハハハッ」

「ちくり?」

「友達の悪事を先生とか、親にバラして誉められる、狡い奴だ。」

「ほう!」

「それは的を得てるな…」

「なるほどね〜!チーム名、チクリピエロに変えようか。」

「ピエロを変えろよ…」


とりあえず、ギルの了承の言葉はなかったが、注意事項10カ条を復唱させられた。即ち、了承ということなのだが、小学生の九九の暗唱並みに言わされたのは、滑稽以外の何者でもってなかった…



作戦会議が終わり、それぞれの役割分担を開始する。

ヴィルは小綺麗な服を着て、商会回りと花街で聞き込み。

アルはラグ達に報告するのと、浮浪者へ今日のお礼を届けに。

ギルはこの町の東側にある、国境砦の軍隊へ協力要請に向かう。


私はギルと共に連行され、久しぶりの乗馬でヒャッハーなのだ!

そりゃあもう、楽しい!

全然御者とは爽快感が違うぜ!

私の乗る幸子が軽快に走るのに、花子は対抗しようと頑張っている。が、ギルを乗せている為、なかなか悪戦苦闘している。

そりゃそうだ。ゴツい剣にギルの巨体じゃ、私の重さと比べ物になるわけがない。

それを幸子知ってか知らずか、無駄にジャンプとかしでかすもんだから、挑発してんのかと笑いたくなる。

帰りは花子にしてやろうと、1人ニヤリとした私だった。



荒地から山に入り、道を登ると砦に着いた。私はギルが入っていくのを見送り、馬達と待つ。

見張りの兵士が見ていて、だらけられないので残念だ。

もう、夕方…帰り着く時には夜確定だな。


此処まで2時間ぐらいだろうか?まあ、近くて助かったというところかな。

軍に何を頼むかというと、最も重要な仕事。

マキシムらが武力行使を行うのは、恐らく孤児院の子供を運び出す時だと予想している。今月は後13日しかないので、急務だ。

私達の作戦では、マキシムらの噂だけ流して、領主が警戒の為に私兵を使って守らせている所を、商会、孤児院共々現行犯逮捕。領主も関与を否定できない…身柄確保!

そこまでが協力の全貌。

そこで、正式に視察団要請。だが、今日送った、ギルとヴィル連名の書簡で両家が先に準備を整えてもらい、予想外に早い到着。領主は懺悔させる。

終わり


…だけではいけない。

町はどうなるのかとか、組織の処遇など諸々あるのだが、それは善良な貴族様に任せることになる。

マキシムらのことは書簡でも伝えているし、軍隊長にも一応お願いするつもりでいる。しかし、マキシムらが行った犯罪は、例え環境のせいだとしても無罪放免にはならないのだ。被害者がいるのだから…

それでも、なんとか良きに計らってもらいたいと思う…思うことしかできないのは、所詮、私達は若者であり、こんな大問題をどうにかしようと動けるのも、親の威光を借りているだけにすぎないから。

口を出せるのは親とお偉い王族貴族様だけなのだ。

私は親の威光どころか、存在すら不確定なんだけどな…

私の義理の家族は、今、何をしているんだろう?


…こんなとこで黄昏てるから、感傷的になっちまったんだな…



ああ、しかし、夕日が綺麗だなぁ…





ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーー


『…何用か?…』

『ガルフィー様…隣国の商人が来ている様です…』

『…何処の者や…』

『ナルディーナ商人、ヴィルフード=チクリスと名乗る、風貌の良い男だと。』

『ナルディーナが?…アレの件か?』

『…良縁を結びたいとのこと。』

『…ワシらのお得意さんを出し抜こ思たんやろな。ふん…何人かそっち回すんも手やな…会おう!』

『…では、部屋へお通し致します。』



『お待たせして申し訳ありませんな〜。』

「いえ、急にお訪ねしまして、こちらこそ申し訳御座いません…」

『…ナルディーナの方とお聞きしましたが…』

「あっ、この装いでしょうか?…大変注目を浴びてしまいまして、急遽着替えをした次第です。こちらの服も着てみると楽しいものですね…私、ギルフ商会の、ヴィルフード=チクリス申します。」

『それだけ見目宜しければ、こちらの服でも大変でしょうな…しかし、ギルフ商会さんですか……』

「ええ。立ち上げてまだ一年の新参者ですが、『こちら』の商売に手を出したく、高品質と名高いヤルマー商会長様と、是非とも良縁を結びたいとお訪ねした次第で御座います…」

『そうでございますか。…こちらこそと、申したい所ですが…生憎専属契約を結んでおりますので、アレの出荷は出来ませんのや…』

「…そうで御座いますか…では私共は、国で手に入れるしかないのですね…」

『すいませんなぁ…』

「しかし、あれほど元出が高価になりますと、私共はこちらの商売を諦める他ありません…何とかお願いする事は出来ませんか?少ない『数』で構いません!お願い申し上げます…」

『いや、頭を上げて下さい……困りますわ〜』

「…金6……いや…8でなんとか…」

「『……………………』」

『………ああ〜仕方ありませんな〜…お試しで、2人どうでっしゃろ?ホンマ、商売上手でいらっしゃる…』

「では!……ありがとう御座います!いや〜お訪ねして『正解』でした。」

『ハッハッハ…品はこちらで選ばしてもろてええですかな?』

「それは、それは…そちらの采配にお任せ致します。ですが…期待はさせてもらいますよ?」

『ハッハッハ、かないませんな〜…契約の方させてもらいましょか。』

「はい。こちらからの出発はいつ頃になりますでしょうか?」

『そうですな…5日後を予定しておりますが』

「そうですか…では、明日1日町を回れそうですね。…市の準備もありますし、我が国まで7日程かかりますでしょう?」

『5日ですわ…ええ裏道をこさえて下さった御方がおりましてね〜ははは』

「なんと!…良心のある御方ですね〜。羨ましい…」

『護衛援助もしてもらえて、至れり尽くせりですわ』

「…さぞ力のある方なのでしょうね。私共も、お抱えになれるよう精進せねば…」

『ええ、こちらの商界、盛り立てていきましょう!』

「はい!若輩者の私なんかに、ありがとう御座います。この良縁!途切れることの無いよう、死力を尽くす次第です。」

『すいぶん気概のある方ですな〜ははは。…書けましたかな?』

「はい…ご確認を」

『……はい。手付け金も確かに…』

「本日はありがとう御座いました。記載通り、あちらに着きましたら組合にご一報を…」、

『はい。お約束通りさせてもらいます。…あ、この辺最近物騒なってますんや…夜は護衛つけた方がええ思いますよ』

「これはご丁寧に…なら、早くから花街に避難しておきましょう。ふふふ」

『ええとこ目ぇつけてますな!マーブル館がオススメでっせ。』

「会長様オススメとなると、行かずにはいられませんね!ハハハハ」

『是非楽しんで来て下さい。ははは』

「では次お会いするとき、評論会を開きましょう!ハハハハ」

『あちらの花畑も見てからですな!ははは』

「良いですね!私のお勧めの『花畑』に招待しましょう。では、失礼致します…」

『楽しみにしてますわ。お気をつけて』





「ふぅ〜…馬鹿みたいに情報喋って…ククククッ。お望み通り連れてってあげるよ。とびっきりのお花畑へ……ふふふ」






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