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要の意味  作者: かなりあ
33/63

チンピラ

宿へ連れて行き、ギル達を待つ。

その間にチンピラ三人の名前や仲間の事を聞いた。


細目の編み込みは、ラグ。絡まれたとき、最初に座った、割と友好的だった奴だ。

顔も体もデカい、私によく突っかかってきたのが、タシン。因みに、私が投げ飛ばした奴だ。

そして、耳に何個ピアス付けてるか数えてみたい程に輪っかだらけの、シャンク。たれ目のビビりという印象…。


このチームのリーダーは、今ケガで静養中らしい。

仲間は皆独身だがラグ達三人とは違い、親や兄弟がいる奴もいて、自分が逃げたら家族が…っていう問題もある様だ。


何人かの知り合いの内の1人が、頭のマキシムって奴の下に付いている。今はちょっと話しをするだけの、ちょい疎遠状態になっているらしい。週に一回金を集めにくるのがコイツ、アスラーだ。


そもそも、なんでこんな組織に入っているのかと聞けば、孤児院に入れる子供は選別されているらしい。その基準は見目の良い子供。

ラグ達は、あぶれた子供というわけだ。その中に貧困層の子供も混じり、盗みで生計を立てていた。

そんな時アスラーが捕まり、それを助けたのがマキシムの部下の男で、その男の手引きで組織に入り、アスラーは上の連中に付いて、昇格していったということだった。



「何だこいつら…」

「あ、アルとギル!こいつらは…私に絡んできた奴らだ。」

「…貴様ら…死ぬか?」

「ちょっと、ちょっと!違うでしょうよ!絡んで来たけど返り討ちに合った人達でしょ!」

「………」

「そうか、そうか…くくっ。何でここにいるんだ?」

「俺が説明するから、カナメは黙っててよ。」

「ん…わかった」



ヴィルが説明する中、こいつらの事を考えてみた。

子供達だけで生きていくには、そんなことをしなければ生きていけないのは、まぁわかる。組織に入って知恵や指示を受ければ、少しでも安全に確実に出来た事だろう。

大人になっても抜けないのは、金がいるから…その金は、そういう子供に回っているんだろうか?

そもそも、孤児院の選別ってなんだ?見目の良い子供ってどうゆうことだ?怪しすぎるぞ…

いずれにしろ、領主とか孤児院が悪いんじゃないのか?

領民を蔑ろにしているんじゃないのか?

こいつらの頭、マキシムも、そう思ってやっているんじゃないのか?

何が悪くて、何が正義かよく分からない。

マキシムを捕まえても意味はないんじゃないだろうか…

ほっぽり出された孤児を守ってやらないと、繰り返すんじゃないのか?



「…わかった。頭のことはとりあえず調べてからだ。言っておくが、これは俺らがどうこう出来る問題じゃない…領主が動かねばならないことだ。」

『…無理や。領主が動く訳ないやん…』

「動くじゃない。動かねばならないようにするんだ。」

『は?…何すんねん…』


ニヤリとする我がグレイトピエロ男性陣。


「それは調査次第だね。俺達になら出来ることがあるんだよ。」

『なにを…』

「秘密っ」

「その前にお前らの組織の事を詳しく聞かせろ」

「あ、貧困層の現状と、君達からみた領主や裕福層の事、軍関連もね。」

『お、お前ら何者やねん…』

「だから〜ヒ・ミ・ツ」

「…それ、言いたいだけだろ?」

「秘密が多いのはモテる秘訣だよ。」

「…お前は男にモテたいのか?」

「馬鹿だね〜…秘密は秘密として女の子に広まるんだよ。」

「広めるな…お前らもだ」

『お、おう…分かった』


ギルの睨みで、ビビりのシャンクは可哀相なくらいコクコク頷いている。



夜まで話を聞き出した後、ラグ達に晩飯を食わせて帰らせた。




翌朝、ラグから約束の物を受け取って、男部屋で待っていてもらう。


昨夜、父親バリに難色を示すギルから、卑屈演技で貧困街の聞き取り調査をもぎ取り、変装の為のチンピラ服を頼んだのだ。

ギルのようなゴツい奴は警戒されるに決まってんだ!私が一番適任なんだよ。

ちなみにもう一人はアルだ。皆より若干日焼けしているから、ギルやヴィルより紛れ込めるだろうっていう適当な理由だ。

中のサラシに、ガバガバな黒タンクトップ…だけじゃ駄目だな…中に自前の灰色タンクトップも着ておこう。下はゆったりした黒のパンツ。

バンダナ巻けばギャングだな…なんか気恥ずかしいのは気のせいか…?



男部屋の前まで行くと笑い声が聞こえる。


「…入るぞ〜」

「…ブハハハハ!お前の格好っハハ!」

「フフフフ…カナメ…」

『ハハハハハ、似合っとるで。ククッ大丈夫や…』

「何だよ!アルだって笑われてたんだろ?」

「お前の方が強烈だ。クククッ…ほら、ガキが粋がってる感じ!」

「…ムカつく!」

「なら止めるか?」

「止め…ない!!とことんやってやる!」

「……何か羽織れ。」

「涼しいから嫌だ。後は訛りか…これでええやろ?舐めとったらあかんで!!」

「ハハハハハ!最高だ!お前は下っ端の役だがなっ!」

「そうだったな…アニキ!何処までも付いていきまっせ!」

『ちょっとちゃうと思うんやけど…まぁええか。』

「ふふふ…暴れちゃ駄目だからね。ラグに付いて、話を合わせて紛れ込むだけだよ。」

「任せ…任しといて!な!アル兄貴!」

「そうやで!俺らラグの舎弟や!ハハハ」

『なんかイラッとするんはなんでやろ…ま、行くで。』

「気をつけろ…くれぐれも」

「バレるな、合わせろ、ヤバくなったら逃げろ!了解しました、親分!」

「なんでやねん!ハハハハッ」

『…何か気ぃ重いわ…』

「すまん…頼んだぞ」

『ああ。ちゃんと見とったる…俺らの立場もあるしな。』


ギルがラグの肩を二回叩き、部屋を出た。




道中、パンや飴を買い、貧困街に向かった。


次第に、ビッシリ並んだ家々…狭く圧迫感のある道に変わり、貧困街に入ったとわかる。

母親と子供が必死に布を洗っていたり、路上脇で寝てる奴がいたり、ゴミがそこら中落ちてたり…とりあえずごちゃごちゃしてて、汚い所だった。


一つのボロ屋に入り、扉を開けると、顔色の悪いやつれた男が横たわっていた。



『ネイト…連れてきたで。』

『…ラグか…こんな格好でごめんやで…ハハハ』

「お前がリーダーか…俺はアルだ。こっちはカナメ。お前の仲間、ちょっと借りてるぞ。」

『ああ…ネイトや。昨日聞いたけど、もし…領主らが動いたとして、協力しとった俺の仲間は、その後どうなるん?』

「それも調査次第で変わるが、新天地で頑張れと言いたいとこだな。主犯格と幹部は捕まることになるかもしれない。しかし、根本的な原因はこの町の体制だろうと考えている。俺達はそこを探るだけだ…引き渡したりはしねぇよ。」

『そっか……なにすんねん!』


ケガが気になり、掛布をめくったのだ。


「足か?…見せろ。」

『ちょっ、ちょっと待ってや!』

『足の付け根やねん。女が見るとこちゃうで』

『お前が、ラグの言うてた女?』

「…なら、アルが見てやってくれ。私は…そうだな…飯作るか。」

『ええんか?そんなんしとって…』

「さっさと作る…」



…きったねぇな…調理場は衛生第一だぞ?ダメダメだな…

ここにラグ、ネイト、タシン、シャンクの4人で暮らしているらしいが、男所帯だとしても、これは許せん…

ま、とりあえず火を先に付けて……


「湯をくれ!」

「まだ火もついてねぇよ!待ってくれ……」




「………馬鹿だなお前…無謀すぎ…」

「出来たぞ。パン粥だ。飲み物はこれを飲め。レモンで飲みやすくしてるからな。」

「すまんなぁ…」


砂糖とちょっとの塩に、レモンを搾った水を作ったのだ。脱水は起こしてなさそうだが、顔色が悪すぎる。


「ネイトな、一人で黄長鰐を狩りに行ってケガしたんだとよ!」

「なんでまた…馬鹿だろ…」

『…色々事情があんねん!ほっといてぇや!』

「女だな」

『ちゃうって!ガキらが見たい言うから…』

『ルミーにええ格好見せようとしたんやろ?…ガキらの面倒見とる幼なじみや』

『なんでバラすんや!』



ガンガンッ


『ネイト…居てる?』


「…彼女のお出ましだなっ」


アルがニヤリとネイトを見た。同時にラグが玄関へ出て行く…


『なんで…?ケガしたん知らんはずやのに…』


『はいは〜い。どないしたん?』

『ラグ…最近ネイト来ーへんけどなんかあったん?鰐置いてあるし、ホンマに捕ってきたんやって、ビックリしてんけど…』

『今な、病に伏せってんねん…』

『おい、ラグ!』

『…ネイト!大丈夫…誰なん?』

「あ〜友達、やで…俺らもう行くから、面倒見たって!ささっ…行こか行こか!」

「そうやな!兄貴!良かった良かった」

『ハハハ…ほな、行ってくるわ。看病してもらいっ』

『待ってくれや…』

『……どこが悪いん?』

『どこって……』



戸を閉めて3人でニヤニヤしていると…


『アホやろーー!死んだらどうすんの!!』


「……クククッ、すげー怒られてやがる…」

『ちょっとは効くやろ。ハハハッ』

「尻に敷かれてるぐらいがいいんだ。いい子いるじゃんか。…さて行きますかっ」



ルミーが見ているという子供達に会って飴を配ったり、他の仲間と話をしたり…

すれ違った別のチームの奴にも、対して目を向けられなかったので、難なくこの日の調査は終了した。




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「今日ネイトんところの奴が、知らん2人連れて歩いてたで。」

「そうか…なんか変なことしとったんか?」

「別にしてへんかったけど…昨日、広場で揉めとった奴に似てる気ぃすんねん。黒髪やし…」

「……黒髪なんか珍しいやん。…同じ奴やったらおかしいよな……明日様子見て接触しとけ。怪しかったら連れてこい」

「ん。了解っ!アスラーに言っとこ…」





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