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要の意味  作者: かなりあ
29/63

日本からの私物

モヤモヤしたまま通常通りの護衛生活に戻って3日…

何故か、巨大な川を越えてからやけに暖かい…いや、南に行くにつれドンドン暑くなってきた。

なんなんだ?この異常気象は…

冬だよな?いや、そんなに気温が違うなんて可笑しいだろ?同じ国だよな?


「暑い…暑い暑い暑い!!」

「うるせぇ…」

「いや、おかしいだろ!赤道近いのか?…いや、こんな急に暑くなりはしないだろ!?あれは熱帯雨林か?アフリカか?おかしい!」


暑さでイライラする!冬用のタートルネックなんて着てる馬鹿は私達ぐらいじゃないか?


「いや、お前…大丈夫か?わけわかんねぇことばっか…」

「何語なのそれ…」


あぁ…ヴィルには言ってないんだったな。

紙飛行機騒動では、自分で考えたって突き通したし、偶に出る日本語の時は、意味を聞かれるだけでさして突っ込んで来なかったしな。

ま、言ってもいいか。


「にほん語。此処より遥かに科学の進んだ世界の小さな島国。」

「世界?科学?なにそれ…」

「ま、そんなとこあるんだー!ってことで…赤道ってのがな…ちょっと待ってろ。」


紙に描かないと説明できねぇっつーの。

手帳とボールペンを手に皆の元に戻る。


「これがマールで、こう、陸地があるだろ?」

「ちょっ、ちょっ、待って…何?その棒と書物…」

「は?…あぁ、ペンと手帳だ。でな…」

「見せて!何これ…凄いんだけど。」


ボールペンを取り上げ、カチカチカチカチさせるヴィル。


「前の世界のもん持ってたのか!?」

「え?鞄もそうなんだけど…」

「あの、布地の鞄もか?!」

「ああ。私が補修したからめちゃくちゃ雑だけどな。ハハッ」


今度はギルがカチカチやっている。何やら楽しそうだ。

だがしかし、返してもらうぜ!


「で、赤道がな…」

「なんで取んのさ…これガラス?…これも!この上質な紙は何なのさ。ツルツルだよ〜!本当に、凄いよこれ!」


次は手帳を取られ、紙を撫で回すヴィルから抜き取るギル。


「…ほう。……なんだこれは」


手帳の一番最後にある、折り畳まれている世界地図だ。


「私の世界の地図だ。あ!赤道あるじゃん!ファインプレーだ、ギル!」

「「「…………」」」


地図を凝視して固まる3人にため息を吐いた。


「…アル!ちゃんと前見ろ。お前御者なんだぞ…」

「お…おぉ…」

「…全然わからない…」

「…ああ」

「何がわからないんだ?」

「これが世界の地図なの?こっちはなに?」

「ああ、裏は日本地図。私の国だった所。…じゃなくてな、私は赤道を説明したいんだ。」

「いや、それはいいから…根本的に何なの?カナメは、何処からどうして此処に来たの?別の世界って何?この地図がマールの地図じゃないなら、この国は何処にあるっていうの?」


なるほど…世界が一つだと思っているなら、この発想が出てもおかしくはない、かもしれない。

ってゆうか、私もこんな世界があるなんて、来て初めて分かったことだけどな。


まぁ、それは置いといて、ヴィルは今、世界の中に、アルタイン王国の所在が分からなくて、不安になっているってことだろう。

それも、この地図が本当だと信じての言葉だ。

ちゃんと説明しないとな。


「ヴィル…ちゃんと聞けよ…説明してやるから。」

「…うん。」



以前、洞窟でギル達に話した様に説明する。

ついでに、こうして旅をしている経緯も。

更についでに、エヴァとの約束も…


「は〜?なんで婚約なんかしてるわけ?馬鹿?しかも受け身って…信じられないよ。バカナメ!!」

「それは…反省してる。」

「ま、口約束だし、縛る術にはならないけどね。」

「いや、私は約束を守る。エヴァが他の女を好きにならない限り…」

「…馬鹿!何故そこまで頑なになれるわけ?恩があるから?カナメの幸せは」

「私は幸せだった!死ぬ前の23年間を覆す程に、家族という、自分の居場所があることが幸せだと思った。私は向こうで孤児だったから知らなかったんだ。こっちでそれを手に入れた。それにしがみつくのは当たり前だろ?…私は大人だ。エヴァは弟みたいなもんだ。まだ子供のエヴァには私の気持ちは伝わらなかったけど、次に会うときはわかるはずだ。その時まで私は待つ。苦痛なんてないんだ。幸い、私が恋をする事は有り得ないしな。」

「「………」」

「……分かったよ。じゃあ、カナメに恋を教えてやればいいんだね?」

「…いや、違うだろ…」

「ま、それは追々…で?カナメの世界はどんな世界なの?」


追々ってなんだよ…


「……馬車はない。馬要らずの、高速で走る車がある。鉄の船が空を飛び、城より高い建物がポンポンある。」

「嘘だろ〜それはねぇよ」

「本当だ。火を使わずに明かりをつけたり、料理したり…あ、私の写真見せてやるよ…ほら。大人だろう?」

財布の中の免許証を出した。


「ほう…」

「へぇ…これが23歳のカナメ?」

「いや、20だ。」

「どれどれ?うわっ!目つき悪ぃ〜ハハハッ」

「異国…異世界か…どうやって船が空を飛ぶの?魔法?」

「魔法なんかない。何故飛ぶのかは知らない。」

「なんでさ…」

「専門家じゃないから…興味もなかったし、飛ぶもんは飛ぶ、手押しポンプは押したら水が出る。みたいな感じだ。それが当たり前なんだ。」

「なるほどな…」

「確かに俺もわかんねぇわ。なんで水が出るんだ?」

「…押すことで中に圧をかけ…」


律儀にギルは、アルに説明をし始めた。


「カナメは、アッチの世界に戻ったりとか出来るの?」

「さぁな…向こうで私は死んだし…いや、消えたのか?でも私は戻りたくない…便利だろうと、命の危険がなかろうと…な。」

「そっか…安全何だね、そっちの世界は。」

「そうだな…剣なんか持っててみろ。すぐ捕まるぞ。夜中に女ひとりで歩いても危険はない。ま、私の国がそうなだけで、危険な国もあるけどな。」

「いいね。そんな国…」

「…殺さなくても、精神的に追い詰め、自殺させる大人も…ガキだっている。陰湿なのか、弱いのか…誰もが幸せかはわからない。そんな面もある。どっちの世界が良いか悪いかは行ってみなくちゃわからないぞ。」

「…随分嫌なこと言うね。自国の事なのに…」

「表があれば裏もあるんだ。…でも嫌いじゃないぞ。アッチのご飯は恋しい。ハハハハッ」

「食い意地しかないのか…ホント残念娘だね…」

「残念で結構!…ちょっ、…何あれ?」


ダチョウ?いや、デカ過ぎる。

木と同じぐらいの高さ…おそらくキリン並の大きさで、黒っぽい鳥が群れで移動している。



ーーーカンカンカンーーー




こっち向かってくんのかよ!

あんなのに囲まれたら…


「…肉食じゃないよな?」

「確か、雑食だよ。」

「肉食べんのかよ!?」

「初めての危機らしい危機だね」

「速っ!走んの速過ぎ!…そしてお前は落ち着き過ぎ!」

「え?そんなこと無いよ?弓弓〜。止まるのかな?」

「…おそらくあの崖まで逃げるだろう。」

「そうだね。その前にやられなければね。」

「わ、私は?」

「アルと代われ。」

「了解!」

「左に多数、右は10…ちょい!!」

「左へ併走しろ。」

「了解」



「左に多数!前に回せ!」

『分かった!!』



たちまち前の5台が二列に変わり、私達は最後尾の左につけた。





「来るぞ!!」








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