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要の意味  作者: かなりあ
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ビギナーズラック

それから7日後、サランという町に到着した

…しかし、立派すぎる。

からっからの荒野に、巨人の檻かというぐらい大きな門。それにシックリくる石の外壁は監獄か……。

地面もビッシリ石畳が敷かれている。至る所に彫刻が施され、王都より華美かもしれない。


そう驚きながら見回していたら、アルがどや顔で口を開いた。


『賭博の町、サランだ!』


「賭博?」

「そう、賭博だ!行く?行くだろ?なぁ、ギル〜!」

「…ああ。」

「え!?行くの?ギルが?」

「ん?おかしいか?」

「おかしいおかしい。真面目が取り柄のギルが?ハハハハッ!」

「……」

「大人だからな。お前と違って!せっかくだし稼ぐぞ〜!」

「なぁなぁ、私も行けるのか?行きたい、行きたい!!」

「おー、連れてってやる!大人も子供も金持ってりゃ何でもござれよ!ヒヒヒッ」

「よっしゃ〜!」



こんだけ厳重かつ豪華ならさぞかし領主は儲けてるんだろう。

行ったことはないが、テレビで見たラスベガスの煌びやかな光景が頭に浮かび、ニヤリとしてしまう。

どんなゲームがあるのか楽しみだ。


「その前に組合所と宿だ。」

「「ですよね(だよな)…」」





やることやって、風呂まで済ますともう日は暮れていた。

しかし旅の疲れはどこへやら…晩飯をかき込みギルを急かす。

呆れ顔のギルも重い腰を上げ宿をでた。




「うお〜〜〜!なんだこのギラギラは…」


蛇の金ピカ像が門に絡みつき、今すぐ喰わんとばかりに二匹が出迎えている。

中に入ると、壁一面が反射板のように、松明のオレンジ色を拡散し、明る過ぎる程の巨大な広間。

円卓でカードに勤しむ者、ルーレットを囲む者、カップを卓に裏返す店員…様々だ。



「お客様、初めてでいらっしゃいますか?」

茶髪の小柄な執事風青年が声をかけてきた。なんでも、両替しなければならないらしい。その執事青年に従って参加手数料の30ネルを払って両替しにいき、5ネルで黒い10センチ程の棒一本のそれを20本用意した。

いわば5ネルが一口なわけだ。すぐなくなるぞとアルに言われたが、私は借金の身だ。

それに今日しか来ないわけじゃないし、チマチマ一本ずつ賭けるせこい奴で行く気なので少しは遊べるだろう。


「行こうぜ〜!」

「おう!」

「ああ。」




まずはアルとギルがやるのを見学しておく。

半円の卓にアルとギルが座り、元から座っていた2人の4人で始める。

店員がカードを繰り、二枚のカードを卓に置いた。

目の前にある赤の布地にアル、緑の布地の上にギルが4本ずつ棒を置いた。他2人も置いたようだ。


「ジュアン!」


そう店員が言うのと同時にカードを裏返した。2と7のカードだった。


「よっしゃ!」


アルが勝ったようだ。アルに8本の棒が戻ってきて、ギルのは回収された。


「わかったか?二枚のカードを足して、8から上だったら赤の勝ち。7から下は緑。ちなみにカードの数字は10までで、1枚10が出たら緑の勝ち。二枚とも10だったら赤の勝ち。その場合賭け金二倍返し!」

「なるほど…赤の方が出やすいんじゃないの?」

「だがな、10以外のゾロ目がでたら何でも緑の勝ちなんだ。」

「へぇ〜わかった。」


話している間に二回目のジュアン!が耳に入ってきた。

5と10…緑の勝ちだ。

アルとギルに8本ずつ返ってきたので2人は勝った。

アルはフヒヒヒと笑っている。


「私も参加します!」

「どうぞ、お掛けください。」


手で席に施され、最後の空席に座った。

カードを置いたのを見て一本赤に置く。


「一本とか悲しくなるなぁ、おい…くくっ」

「言ってろ!」

「ジュアン!」


10と10


「きた!ビギナーズラック!」

「嘘だろ〜…」

「ふふふふ…」


私に3本返ってきて、ギルには10本の一束と2本。アルは回収。他の奴もガッツポーズしていて、アルだけ負けたようだ。


「ふふふふ…」






徐々に2、3本賭けだした私は、20本から35本に増えて、次のゲームに繰り出した。私はギルに説明してもらうのでアルと別れた。


一つ一つ見て回りながら説明を聞き、難しい物は省いて一通り教わった。

これから別行動である。


競馬ネズミバージョンは笑えた。

実に微笑ましい競技だ。

コースの上にナッツが置かれ、口に貯めて走るか、その場で食べるのか。

デブネズミが意外に早かったり、ゴールの前で止まったり、ギャンブルとは思えない和やかさだ。人は白熱していたが…

これは次のレースに参加しようと決めた。

レース開始のベルが鳴るまで違う物をしてみよう!


私が目を付けたのは、運でもなく、自分の目で勝ち取る、どのカップに玉が入っているか当てるものだ。


2人並んだ後ろに並び、目を慣れさせておく。最初に1本出し、3つのカップで挑戦する。

それを言い当てると、3本また出す。

すると5つのカップに増え、当てると8本返ってくるが、そのまま賭け、勝ち続けると最初の4本の3倍4倍と増えてくる寸法だ。ただし、カップもその分増えて店員も2人係りになるらしい。

この世界の人間より目は良くないが、動態視力は自信がある。絶対見極めてやる!!



順番がまわってきた。


「始めます」


真ん中にあった玉入りカップは、右左動き回るが、最初は手加減気味なので簡単すぎる。

「右で」


店員は出し惜しみせず、パッとカップをあげ正解を告げられた。


棒を追加し5つのカップに増える。店員の始めの声で動き始め、まだまだ余裕で追える速さだった。


「これ。」


左から二番目を指す。


「正解です。続けますか?」

「はい。」


・・・・・・


最初からかぞえて12回目。

周りにギャラリーが群がり、応援のヤジが飛んでくる。

カップは8から10に増え、店員は水を飲み干し2人で気合いを入れ合っている。

私は後ろに並ぶデブ親父に肩を叩かれながら励まされている。


「私はいけるから、唾飛ばすな!ったく…」


アルもギルもいつの間にかギャラリーに混じってニヤついていた。


「始めますよ!今度こそは!」

「当てさせん!」

「はいはい。どうぞ!」


顎を引くと玉にカップを隠し、華麗な手捌きでシャッフルし始める。

自信のあった動態視力で本当にかろうじて…かろうじて追える早さ…

目で食らいついてアッチコッチ首も使って追う。


ーーーーリンリンリーンーーーーー


ハッ!ネズミレース!

あ…玉が!


わずかに気が逸れたせいで、今止まったカップのどれが正解か分からなくなってしまった。


目星はついている…右から5番目か、左端かだ…


動揺しているのが分かったのかニヤニヤ笑う店員にイライラする…。

ん…どっちだ?

ギャラリーは私の顔や背中に視線をぶつけていて、緊張感が凄まじい。


たぶん、あっちだ…けど、怪しい…


「……………うーん」

「まだですか?ふふっ」

「決めた!左端!」


スクッと立ち上がり、カップを自ら開ける。




「よっしゃーーー!!!」

『おおぉぉ〜〜〜!!』

「くっ………くっそお!!」

「ヘヘーン!ネズミ競争行くから早く金出しなっ!」


今自分で厭らしい顔をしているのは自覚している。

嬉しい!嬉しすぎる!!

恨みの篭もった目でチラチラ見て、もたつく店員。


10本束4つと、8本。


「毎度あり〜〜!」


合計79本!やっべー!急げ!ネズミ君が待っている!


「アル、ギル!ネズミしようぜ〜!」

「「ああ!」」




ふぅ〜ギリギリレースに間に合った。


「一番人気3番、倍率二倍!二番人気1番倍率二倍ーーーーーーーー六、七番人気の4、7番は倍率五倍!大穴6番八倍ですよ!さーさーもう参加はありませんかぁー!?」

「ハイハイハイ!賭ける賭ける〜…黒い奴!7番10本…いや、20!」

「ありがとうございます!」


棒と引き換えに7の札と、20の小さな札を渡された。

後ろ足で腹を掻いている真っ黒なシャープなボディネズ公だ。頑張れ!

アルとギルも7番に賭けていた。アルは3番も買っていたが。



「ではでは…始めま〜す!………3、2、1、走れ!」


何とも気の抜けるスタートの掛け声に笑いつつ、声援を贈る。


「アハハハ…イケイケ!黒ネズミ!…ちょっ、行けよ!7番!!」


他はスタートしたのに7番は小さいからか後ろを向いてそのままなのだ。


「カナメに賭けたんしくじったかー」

「私に賭けたのか?あっ!!」


バックで数歩進み、顔を整え身を返して走り出したのだ。

身嗜みとは悠長な奴だ!クククッ


「イケイケ!カナメ」

「は?ネズミに向かって呼ぶなよ!あ、ゴールする!」


負けたかと思いきや、ゴール目前のナッツで止まった。

ナッツ様々だ。ふふふ


カナメこと、7番はナッツを詰め込みつつ、一心不乱に走っている。

頑張れ!あと一つ曲がればゴールだ。


「ナナクロ〜行けー!!」

「うおおぉぉお!!」

『6だ〜〜!!』

『1番動かない!動かない!もう少しで6がっ!7番、凄い追い上げだーー!!』





どっちだ?!





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