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放課後乱闘ライヴズ  作者: (=`ω´=)
五日目。
95/109

06-16 放課後の魔法少女たち。

「おーい! お前ら!」

 二階の窓から顔を出した教師が、こちらにむかって声をかけてきた。

「そこでなにをやっている?

 お前ら、一年D組の生徒か?」

 西城たちが顔を知らない教員……らしかった。

 客観的に見れば、すぐ近くの足元は大きく地面が抉られ、女子生徒だけ六人が上履きのまま裏庭でたむろしている、という図である。

 つい先ほど、グレネードの着弾音も大きく響いただろうし、ぼちぼち物見高い生徒たちが集まりかけていた。

「……はーい!」

 辺見が、その教師に叫び返す。

「一年D組の生徒でーす」

「すいませんねー!

 お騒がせしてー!」

 夢川も、辺見にならった。

「でも、もう事態は円満に収束しましたからー!」

「おい、この穴。

 元に戻す」

「あ、そっか。

 もう『捲土重来』のスキルが使えるから……」

 西城と奥地が、スキル『捲土重来』に使って競うようにしてグレネードによって大きく抉られた校庭を元通りの平坦なものへと修復する。

「こういうときは便利だよなあ。

 このスキル……」


「それじゃあ、そういうことで」

 知念はそんなことをいった。

「木ノ下さん。

 用があるときはこちらからメール入れるから。

 もちろん、気に入らなければ返事をしなくてもいいけど」

「あ、はい」

 反射的に、木ノ下は答えてしまう。

「これ以上、ここに居ても面倒なことになりそうだから、わたしは一度ふけるね」

 そういい残して、知念は姿を消した。


「……ええっと、あともうひとり、誰か居なかったっけ?」

 校庭の修復を終え、顔をあげた奥地がその場に居た生徒たちの顔を見渡して、そう呟いた。

「須賀くんではなくて?」

「そう」

 奥地は、頷く。

「須賀くん以外に、もうひとり、誰かが居たような気がするんだけど……」

「そんなことより、とりあえず、この場から逃げよう」

 辺見が、そんな提案をしてきた。

「昨日に続いて二日連続で先生に捕まって事情聴取、なんてイヤだし」

「だよねー」

 夢川も辺見の意見に賛同した。

「さすがにそれは、遠慮したい」

「このままさっと校舎に入って、荷物持って下校しよう」

 西城はそう提案した。

「これ以上、校内に残っていてもいいことはありそうもないし」

「そうと決まれば」

「善は急げ」

 そんなことをいいあいながら、少女たちは足早に校舎の中に入っていった。

 彼女たちが近づくと、集まりかけた野次馬連中が逃げるようにして道をあけてくれた。

 なんだか怖がられているような気もするのだが、気のせいだろう。たぶん。


「じゃあさ。

 お互いのスキルの効率よいレベルアップ方とか、その辺の情報交換しておかない?」

「このまま無事に学校から出られたらな。

 ……よかったら、木ノ下さんもいっしょにいく?」

「……え?」

 木ノ下は、おずおずとした態度で答えた。

「い……いいんですか?」

「いいもなにも、同じスキルを分け合った同士じゃない」

「というか、木ノ下さん、わたしらよりもいっぱいスキルを持っているらしいんだけどね」

「らしい、じゃなくて、確実にうちらよりも多いよ。

 初日のテストプレイのときにいっぱい取ってたし」

「……そうだっけ?」 

「なに、あのアナウンス、聞いてなかったの?」

 西城はそういって大仰に驚いて見せたあと、

「……ま、わたしも細かいところまではおぼえていなんだけどな」

 と、つけ加える。

「でも、五つだか六つ、そんくらい一度に取ってたよね?

 どかーん!

 と吹き飛ばして」

「ああ、あれか」

 奥地も頷く。

「あれは……委員長のアレを除くと、テストプレイの中で一番派手だったな」

「そうそう」

 西城はしたり顔でそんなことをいった。

「こう見えて木ノ下さん、鬼強いんだから。

 少なくとも、この中では一番強い」


 そんなことをいい合っている間に、彼女たちは一年D組の教室に入る。

「おい、お前ら」

 内膳英知が声をかけてくる。

「今の、どんな魔法を使った?

 同じスキルが何度も重複されて譲渡されていたようだが……」

「なにって、須賀くんのスキル『臥薪嘗胆』の機能を生かしただけだよ」

 西城は、平然と説明した。

「スキルを誰かに譲渡する。すぐさま、『臥薪嘗胆』でスキルを復活する。

 その繰り返し」

「……そんな手があったのか」

 内膳は、軽く顔をしかめた。

「そんなスキルがあるんなら、このゲーム、長引く一方じゃないか……」

「それがリライターの手なんじゃないかなあ?」

 辺見がいった。

「うちらでもそのことは話題になったけど、このゲームがすぐ終わるより、長引いた方がリライターにとって都合がいいから、あえてそういうスキルを入れているんじゃないか、って結論になった。

 本当のことは、わからないけどね」

 教室内に残っていた生徒たちが、内膳との会話に聞き耳を立てている。

「お互いのスキルを復活させてコピーして……」

 内膳は、小声でそんなことを呟いている。

「……お前らのスキル構成、見事に攻撃のみに偏っているな……」


 教室内にはまだちらほら生徒が残っていたが、田所と叶の姿は見あたらなかった。

 誰かが保健室まで運んだのかな? と、西城は思う。

 それと、須賀の姿も見あたらない。

 須賀は須賀で、スキル『臥薪嘗胆』の有効な活用法がおおやけになった今、しばらくは逃げ回るつもりなんだろうな……と、西城はそんなことを思った。

 あるいは、信頼できる相棒を見つけて、早々にそいつと組むかだ。


 このまま校内に長居をしても、また他の生徒たちに狙われかねない。

 地水風火の四属性の魔法をマスターし、名実ともに魔法少女となった彼女ら五人は手早く自分の荷物をまとめると、教室をあとにした。


「どこ行こうか?」

「学校から少し離れた方がよくね?」

「というより、うちの生徒たちがあまり来ないようなところっしょ」

「だねえ」

「じゃあ、いつも行っているようなところは駄目じゃん!」

「少し離れているけど、井崎さんが働いてるれいのファミレスとかは?」

「いいかも知れないけど……うーん」

「なにか問題が?」

「あそこ、うちの生徒、それなりに行っているっていうしな。

 七重とか路地とかさ」

「ああ、そうなんだ」

「うん。

 なんでも、初日にあそこで新堂くんらと軽く打ち合わせしたそうだし」

「……じゃあ、別のところにする?」

「だねえ。

 うちのクラスの子と鉢合わせして、ギスギスしたくないし」

 すぐに戦闘行為に至るとも思えないのだが、同じクラスメイトが居る場所では気が休まらないことは確かなのである。

「……あの」

 それまで黙っていた木ノ下が、おずおずと提案してきた。

「そ、そういう場所に、心当たりがあるのですが……」

「そうか、そうか」

 西城はいった。

「それじゃあ、その木ノ下さんお勧めの場所に行ってみよう」


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