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放課後乱闘ライヴズ  作者: (=`ω´=)
五日目。
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06-01 五日目の朝。

 ゲーム開始から五日目の朝、七重芹香と路地遙は、お互いの自宅からかなり離れた場所で落ち合い、林道鈴の自宅へとむかった。

 二人が自宅からも学校からも離れたこんな場所へ朝早くから足を運んでいるのは、登下校の際に一番隙ができやすいから、という芦辺素直の指示による。

 これからのゲーム攻略で重要な役割を果たすと期待されている割に、本人はなにかと抜けたところがある林道鈴を二人に護衛して貰いたい、といわれたのだった。


 昨夜、七重が芦辺にそのことをいわれた際、

「いっそのこと、『シーフ』のスキルを芦辺くんが持っていたら?」

 と提案してみたのだが、芦辺にはあっさりと、

「いや、ぼくはまだしばらくノーマークでいたいから」

 といなされた。

 そのあと、

「あんまり気張らなくてもいいよ。

 林道さんが誰かに潰されたとしても、まだまだやりようはあるから」

 ともつけ加えられた。

 七重や路地にとっては、林道が持っている『シーフ』は今後の趨勢を左右しかねない重要スキルにみえるのだが、芦辺にとってはそんなに重要なスキルではないらしい。


「そういや、今日、水球部の朝練なかったん?」

 挨拶もそこそこに、路地は気になっていたことを七重に確認してみる。

「いや、それ。

 顧問の先生にメールして、しばらく休みにさせて貰った」

 七重はそういって、自分の顔の前で腕を振った。

「それが、ゲームが佳境に入ったんで、っていったら、覿面でさあ」

「あれま」

 路地も、呆れる。

「本当なら、今の時期に一年坊主が気軽に休めるはずないのに……」

「ゲームのご威光、だなあ」

 七重も、頷く。

 そうしたわけか、一年D組の生徒が「例のゲームのために」という呪文を唱えると、たいていのわがままが通ってしまうらしかった。

「でも、最初の日、高杉先生は授業や部活を優先するようにとかいってなかったっけか?」

「いや、より性格にいうのなら、そちらの邪魔はしないように、だろ?」

 七重は、そう答える。

「他の人が授業を受けたり部活をやっているのを阻害するような行為は許容しない、という意味じゃないのか?」

「ああ、そうか」

 路地も、頷いた。

「自分の部活を自分の意志でキャンセルする分には……」

「本人の選択であり、誰かに迷惑をかけているわけではないからな」

 七重はいった。

「ルールとしては、許容される範囲なんだろう」

 リライターの意向として、どこまでが許されてどこまでが許されないのかを判断するのは、実際にはなかなか難しい。

 実際には、こうして手探りで細かいルールを確認していくしか、なさそうだった。

 

 林道鈴の家は、小さいながらも一軒家だった。

 両親ともに働いているのだが、両親の仕事の内容までは林道自身も知らないらしい。

「割と仲はいいよ、うちの家族」

 とのことだったが、その割にはお互いへの関心はあまり強くないらしかった。

 林道家の玄関前で合流して、三人でバス停にむかう。

 林道はバス通学であり、学校までは歩く時間も含めて片道四十分前後。

 倉石市立中央に通う生徒の中では、通学時間が長い方だろう。

 七重と路地の二人も、それだけ学校から遠い場所までわざわざ足を運んできたことになるわけだが、もともと体育会系であり朝が早いことになれているこの二人は、あまり苦にすることもなかった。


「狙われるのかなあ?」

 バスに乗ると、林道はそんなことをいいだした。

「狙われてもおかしくないでしょう」

 路地は、そう答える。

「昨日、芦辺くんも行っていたとおり、いっぺんにスキルを四つも五つももぎ取るってのは、テストプレイのときを除けばはじめてのことだから……」

「昨日ので、鈴ちゃんが持っているスキルがそれだけ使えるってことが証明されているわけだから、さ」

 七重は、説明をしだした。

「それを狙おうとするやつは、当然出てくるよ」

「でも、下調べをせずにすぐに手を出してくるようなやつは、たいしたことがないやつでもあるから容赦なく返り討ちにしちゃっていい……とも、いっていたねえ。

 芦辺くん」

「そうそう」

 七重は、頷く。

「この三人が固まって行動していれば、たいていの相手には対抗できる……とかいっていたし」

 以上、すべて、昨夜のうちに芦辺が明言していたことの確認である。

 この三人は、判断能力においては、芦辺にいわせれば「並み以下」ということになる。

「……いっそのこと、なにも考えずにこっちのいうとおりに動いてくれた方がいいくらいだ……」

 と、芦辺は続けた。

 また、三人にしてみても、そうした細かいことを考えることが苦手であるという自覚はあったので、遠慮なく芦辺がたてた作戦通りに動いている。

 その芦辺にいわせると、現在のこの三人は、

「極端に攻撃力が偏重したスキル構成」

 ということで、自分らの側から誰かを攻撃しようするのならいざ知らず、こちらにむかってくる敵を迎撃するのならばほとんど不安を感じることはない……と、太鼓判を押された。

「返り討ちにした人のスキルは、とどめを刺した人がそのまま貰っていいともいってたね」

 林道は、無邪気な口調でそういう。

 相手がかなり特殊なスキルの持ち主でなければ、この三人に対抗することはできない……という芦辺の判断はごく常識的なものであり、この三人にしても反駁する余地はなかった。


 意外なのは、そんな三人を待ちかまえていた人物が、本当に存在していたことだった。


「ああ、来た来た」

 三人がバス停を降りたところで、加賀姫香が声をかけてきた。

「授業がはじまる前に、ちょっと勝負しないか?」

 七重、路地、林道の三人は、顔を見合わせた。

「あの……」

 三人を代表して、林道が返事をする。

「……わたしたち、三人ともスキルをふたつ持っているんですけど……」

「うん、知っている」

 加賀は、あっさりと頷いた。

「昨日のアナウンス、ちゃんと聞いているから」

 と、いうことは……加賀は、自分のスキルによほど自信があるわけか……。

 そう判断した七重は、路地と林道を手招きして内緒の相談をはじめる。

「……どうする?」

「……芦辺くんに……」

「……いや、でも、返り討ちにしていいって……」

「……加賀のスキルって、なんだっけ?」

「……おぼえてないけど」

「……わたしもー!」

 しばらくごちゃごちゃいい合った結果、七重が前に出ることになった。

「七重、か」

 加賀は、頷く。

「今持っているスキルは、『ロングショット』と『疾風怒濤』だっけ?

 長距離に有利な構成だね。

 場所はどうする?」

「校庭に移動しよう」

 七重はいった。

「なるべく、迷惑はかけたくない」

「そうだね」

 加賀も、頷く。

「まあ、すぐに終わると思うけど」


 結果からいうと、決闘を開始してから三分も保たずに七重芹香はボロ負けした。


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