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放課後乱闘ライヴズ  作者: (=`ω´=)
四日目
71/109

05-17 二人と三人の悪巧み。

 知念はなと内膳英知ががちでぶつかり合っている間、一年D組の生徒たちも別にゲームから身を引いていたわけではなかった。

 たとえば、七重芹香と路地遙の二人組は、途中から強襲するつもりで芦辺素直のあとをつけていたわけだが……。


「……まあ、無理よね」

 睦月庵は、軽くため息をついた。

「わたしが芦辺くんと組んでいる限りは」

『ファイブセンス』のスキルを持っている睦月が、尾行者の存在に気づかないわけがない。

 睦月によってすぐに尾行していたことを気づかれた七重と路地は、すぐに芦辺や睦月と林道鈴の三人に声をかけられ、誘われるままに芦辺の自宅までついてきたのであった。

 七重と路地二人は、まず芦辺の家の豪華さに目を丸くし、続いて出された紅茶やお茶菓子がかなり高級そうであることに驚いていた。

「ひょっとして、芦辺くん家はお金持ちなんか?」

 七重は、単刀直入にそう訊ねる。

「ぼくではなく、ぼくの両親がね」

 芦辺は、静かな声で答える。

「お金持ちっていうよりは、あれ。

 二人とも、仕事中毒なんだ」

「……はー……」

 路地は、しばらく周囲を見渡したあと、感心したような声を出している。

「こういう世界も、あるもんだなあ」

「うちのことはともかく……」

 芦辺は、七重と路地の二人にむき直った。

「……わざわざぼくのあとをつけてきたっていうのは、やはりゲーム絡みだよね?」

「ああ、そう」

 七重は、あっさりと頷く。

「隙があれば、スキルを貰おうとか思っていたんだけど……。

 あっさりと尾行がばれて、三人に囲まれちゃあなあ」

 貴重な、部活がない日だったのに……とかぼやく七重の口調は、さして悔しそうでもなかった。

「鈴ちゃんはともかく、睦月さんまで芦辺くんと組んでいたのは計算外だったなあ」

 路地は、そういって自分の後頭部を掻いた。

「でしょねえ」

 睦月は、頷く。

「こっちも、成り行きで組んでいるようなものだけど……。

 今のところ、ほかの人たちには隠しているから」

「念のためにいっておくと……」

 芦辺は、七重と路地の二人をまともに見据えて、いう。

「……今の林道は、『シーフ』のスキルを持っている。

 これが、育ててみると意外に強力なスキルでね。

 ぼくが合図さえすれば、林道は二人からあっという間にスキルを奪うことができるから。

 変なことは考えない方がいいと思うよ」

「この子、すっかり芦辺くんに餌付けされちゃっているのよね……」

 睦月は、芦辺が出してきた菓子類を貪っていた林道の顔をみながら、そんなことをいった。

「……なるほど」

 七重は、林道と芦辺の顔を交互に見つめてから、一人で頷いている。

「そういう繋がりか」

「あと、芦辺くんがいうことに間違いはないから!」

 口の中に入れた菓子を紅茶で流し込んでから、林道がいう。

「これでもちゃんと、信頼しているから!」

「あー、はいはい」

 路地は、林道に、あやすような口調で返答する。

「芦辺くんのスキルは、情報収集に強いスキルなのかな?

 あ。

 答えたくなければ、答えなくてもいいけど……」

「その通り」

 芦辺は、あっさりと答えた。

「というか、それ以外には役に立たないスキルだ。

 単独ではどうしようもないから、睦月や林道と組んでいる。

 もっとも……睦月は、自分用の攻撃に適したスキルを入手したら、その場でぼくと組むのをやめるそうだが」

「……そういう関係か」

 七重は、芦辺たち三人を見渡した。

「結構珍しい組み合わせだったから、どうしたのかなー……とは思っていけど」

「もともとは、あれ。

 鈴ちゃんもわたしも、芦辺くんのスキルを狙っていたんだけど……」

 睦月は、そういって肩をすくめる。

「……よりにもよって、同じ日に芦辺くんを襲撃しようとしたもんで、変なところでブッキングして……。

 それ以来、全員分の攻撃スキルを勝ち取るまでという条件で手を組んでいるわけ」

 最初に攻撃力がないスキルを配られると大変なんだから……と、睦月はぼやいた。

「わたしと路地ちゃんも、一応その攻撃系のスキルなんだけどな」

 七重は、芦辺にむかってそういった。

「わたしらからは、スキルは奪わないの?」

「奪ってもいいんなら、遠慮なく奪わせて貰うけど……」

 芦辺は、詰まらなそうな顔をしていった。

「……それよりも、できれば、二人には協力して貰いたいとも思っているんだよね。

 あ。

 これは、永続的ではなく、ごく一時的に、ね」

「わたしらまで、口説きにきたか」

 七重は、この状況を面白がる表情になった。

「芦辺くん、意外と手が早いなあ」

「確かに、ぼく以外は全員女子だけど、別にそういう意図はないから」

 芦辺は、平静な声で七重の揶揄を受け止める。

「ただ……今、ここに居る面子なら、やりようによっては、かなり面白い展開になるかなあと……そう思ってね」

「あー、芦辺くん」

 路地が、片手をあげた。

「七重もわたしも、体育会系であまりまどろっこしいいい回しは得意ではないんだ。

 できれば、用件は単刀直入にいって貰いたい……」

「うん」

 芦辺は、一度、頷く。

「わかりやすくいうと、この面子なら自称魔法少女の四人組の全員から、スキルを奪うことができると思う。

 あの四人組は、少々目障りだからね。

 できるだけ早い段階で、ゲームからリタイアして貰いたい。

 ぼくが作戦立案、睦月さんが斥候役、あとの三人はアタッカー。

 七重さんや路地さんがいなくても、ぼくら三人だけでもなんとかなるかなーとは思っているけど……。

 でも、攻撃役が多ければそれだけ不測の事態にも対応できる。

 奪ったスキルは、全員で山分けで……」


 芦辺の説明を聞いた七重と路地は、顔を見合わせてた。


「……そいつは……」

 しばらくして、七重は呟く。

「……予想していたよりも、面白そうな相談だなあ」 


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