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4月2日火曜日

作曲もやってます。

エピソード1のあとがきに作品のオープニング動画をリンク貼りました。

それと、今回の二日目も別の動画を作って、リンク貼ってます。

よろしければ見てやってください。

★夢★


そこは暖かくて明るい場所だった。

目覚めたばかりの僕は、そこに温もりを感じた。


???「八弥・・・大きくなったな」

???「そうね・・・立派な女王クイーンの吸血鬼になったわ」


細やかな音が聴こえる。

それは、とても懐かしい音。


八弥:「パパ・・・ママ・・・」


急に視界が暗転していく。

目覚めが近いのだろう。


八弥:「待って!まだ!」


光が迫ってくる。

もう目覚めなくてはいけない。


八弥:「パパ!ママ!僕は大丈夫だよ!元気でやってる」


それだけ、報告したかった。

今の僕には九句がいてくれる。

独りじゃないんだ。

だから、安心して欲しいと。


???「「良かった・・・」」


景色が反転し、目が覚めた。

見えるのは灰色の天井だ。


僕は知らぬ間に泣いていたらしい。

涙が頬を伝った。


ああ、それにしても、変な夢を見てしまった。

両親が僕が吸血鬼になったことを知るなんてことは無い。

夢だからこそ起こりえたifストーリー。


八弥:「女王クイーンの吸血鬼ってなんだよ。中二病か?」


僕は知らず知らずのうちにあの病を発症していたのかもしれない。

九句がそういうの結構好きだからかな。

闇のなんとかとか。


そうだ。

瞬間移動のスキルも、中二病的に言えば、当たりなんじゃないだろうか。

吸血鬼のスキルにしてもそうだ。


八弥:「中二病コンビになっちゃったな」


今朝の朝食は、トーストにサラダ、ゆで卵に牛乳。

珈琲は、嗅覚が鋭敏になったのか、すごい匂いがした。

吸血鬼化の影響だろうか。


八弥:「そういえば、日光は大丈夫なのだろうか」


カーテンを開け、恐る恐る日光に触れてみる。


八弥:「ちょっと、痛い。かな」


やはり吸血鬼は日光に弱いらしい。

僕は日焼け止めを塗って、日傘をさしていくことにした。


八弥:「ママの日傘、とっておいて良かった。けど、ちょっと女性ものっぽいんだよなあ」


黒い、レースのフリフリがついた日傘。

コレをさすと、女性味が増してしまう。

ただでさえ、女性と間違えられるのに。。。


八弥:「仕方ない。バイトでお金貯まったら、買い替えよう。それまでは、仕方ないんだ」


政府から補助金が出ているからといって、贅沢はできない。

質素倹約を心掛けなければならない。


さて、今日も九句が迎えに来てくれる頃だ。


八弥:「いってきます」


誰もいないけれど、安全に戻ってこられますように、という祈願である。


僕は今日も元気でやっている。


★昨日の影響★


九句:「どうしたんだ?その恰好」


九句が開口一番に僕の日傘を指摘した。


八弥:「日光が、きついんだよ」


九句:「ああ、なるほど。・・・大丈夫なのか?無理せず、車通学や夜間に変えた方がいいんじゃないか?」


八弥:「そこまでじゃないよ。ちょっと痛いくらいだから」


九句:「そうか。。。あんまり、無理はするなよ」


そういいながら九句は首をさすった。

首には大きい絆創膏が二つ。


八弥:「あ!それ、もしかして・・・」


九句がジト目で僕を見てくる。


九句:「今頃気づいたか。そうだ。噛み痕がバレないようにしないとな。余計な勘繰りをする奴もいるだろうしな」


八弥:「どういうこと??」


九句:「ああ、吸血鬼ってのは基本、、、その、、、あれだ。なんでもない」


九句は途中で気が変わったのか、急に照れたように手を振った。


八弥:「なに?なにを言おうとしていたの?」


九句:「いや。八弥は誰の血が一番飲みたいと思った?」


八弥:「血の味の話?保健室の血液パックはあんまり美味しくなかったし。九句の血が一番美味しかったよ」


九句は顔を真っ赤に染めた。


九句:「八弥。そのことは誰にも言うな。絶対だぞ」


八弥:「???。わかった」


なんで言っちゃだめなんだろう。

そう思ったけど、九句の助言だ。

ここは従っておこう。

僕には説明できない理由がありそうだ。


九句:「とりあえず日光を避けよう。教室まで跳ぶぞ」


八弥:「っえ?瞬間移動で行くの?」


九句:「そうだ。八弥の身体に悪影響が出たら困るからな」


九句は僕の身体を気遣ってくれているようだ。

なんだか申し訳ない。


八弥:「ごめんね。ありがとう」


九句:「最初からそのつもりだった。そこに理由が加わっただけだ。瞬間移動が使えるのに、歩いて登校する必要はないからな」


八弥:「そっか。確かに、そうだね。でも、歩く時間も僕は好きだったよ。九句と一緒なら、いつでも楽しい」


九句:「なら夜歩こう。今夜は満月だ。天気もいいし、また石垣島に行こうか」


八弥:「嬉しいなあ。またあの星空が見えるんだ。九句の血も美味しいし」


九句:「期待させたならすまん。今日俺貧血なんだ」


八弥:「え!?やっぱり、昨日吸いすぎちゃったの!?」


九句:「すまん。今夜はほうれん草いっぱい食べる予定だ」


八弥:「九句が謝ることじゃないよ。悪いのは僕だよ」


九句:「初めてだったんだろ?仕方ないさ」


九句はそう言って慰めてくれた。

けど、僕のせいで体調が悪いなんて、やっぱり嫌だな。


八弥:「しばらくは血液パック貰うね」


九句:「そうだな。災害の時用にも備えて置いた方が良いぞ」


ああ。

吸血鬼って面倒だな。

日光には弱いし、血も飲まないといけないなんて。


九句:「じゃあ、行こう」


八弥:「うん。よろしくね」


僕と九句は、手を繋いで、教室へと瞬間移動した。


★願い★


それは唐突な出会いだった。


教室へ現れた僕達の前に居た方は、紫のリボンの上級生。

白いプラチナブロンドは美しく、腰まで伸びていた。

頭には大きな帽子をかぶっており、手には箒を持っている。

【魔女】のような風貌の彼女。


そんな彼女は、僕の席の前で、土下座をしていた。


八弥:「え!?なに、か僕に用ですか?」


彼女はハッとした顔で、僕が来たことに気づいたようだ。


???「月夜君かい?」


彼女は問う。


八弥:「そうですが・・・貴女は?」


白炎:「ボクは白炎はくえん・ボルト。EUから来たんだ。家族で一緒に日本にきた」


九句:「ボルトって、あのボルトか?」


八弥:「九句、どのボルト?」


九句:「EUで、黒魔術関係の会社をいくつも運営している企業の社長が、ボルト一族なんだ。確か、どこかの国の貴族だったと思うが」


白炎:「そう、そのボルト家、、、と日本人のハーフなんだ。三年前、妹の治療の為に日本に来日したんだ」


八弥:「妹さん、なにかのご病気ですか?」


白炎:「ああ、血液系の病気で、治療法が見つからないんだ。日に日に弱っていく妹に、三年も何もしてあげられていない。だからお願い!妹を、黒那クロナを助けて!!」


それは絶叫にも似た魂の叫びだった。

彼女が本気で言っていることが分かった。


八弥:「そんなことを僕に言われても、九句?どうして先輩は僕に頼んだの?」


九句:「もしかして、妹さんを吸血鬼にするつもりですか?」


白炎:「もう、それしか方法がないんだ・・・あの子の命を救うためには、それしか」


吸血鬼にすれば、助かるかもしれないってことか。


八弥:「その、吸血鬼にするのって、血を分ければいいんですよね?別に僕は構いませんが・・・」


九句:「まて!血を分けるということは、眷属にするということだ!そうすると、眷属化した人間は、もう主である八弥の血しか飲むことが出来なくなる。つまり、八弥から一生離れられない。しかも、八弥の命令には絶対服従なんだ」


え!?

そんなこと、初めて知った。

それじゃあ、安易に眷属なんて作れないじゃないか。


白炎:「お願いします。妹共々、ボク達にできることがあればなんでもします。だから、お願いだから黒那クロナを病から解放してあげてください」


そういって頭を下げ続ける先輩。

教室では、何が起こっているのか気になりだした外野がざわめいていた。


白炎:「もう、時間がないんです。ここ二、三日が限界だと言われています。ボク達の家の力でも、眷属にしてくれる吸血鬼を見つけることは出来ませんでした。君が最後の希望なんです!」


先輩は泣き出してしまった。

そこには、家族を失いたくないという純粋な気持ちがありありと見えていた。


じゃあ、僕は、


八弥:「協力、します!」


九句:「八弥、いいのか?それがお前の決断なんだな?覚悟はあるのか?」


八弥:「僕は、家族を失う悲しみを知っている。だから、助けない選択なんて最初から無いんだよ、九句」


九句:「八弥。俺にできることがあれば、頼れよ」


八弥:「わかったよ。白炎先輩、急ぎましょう」


白炎:「車は手配してある。校門まで走るよ!」


九句:「俺が瞬間移動で校門まで送る。その方が早いだろう」


白炎:「ありがたい!」


九句:「先生への説明等は俺がやっておく、だから八弥はできることをやってこい!」


八弥:「うん。行こう!」


僕達は円陣を組み、出立した。


★病院★


車は部下の人みたいな人が運転してくれた。

僕は、日陰になるようにシールが貼られた窓から外を見ていた。


白炎:「月夜君。いえ、月夜様。このナイフをお受け取りください」


八弥:「先輩。気を使わないでください。普通に呼んでください」


白炎:「じゃあ、月夜君。コレあげるね」


渡されたのは刃渡り20センチほどの紅のナイフだった。


八弥:「これは?」


白炎:「それ、昔吸血鬼の真祖が使ってたらしいっていうナイフ。それだけで50億の価値があるんだけど。吸血鬼しか装備できないんだ。名前は、くれないっていうの」


八弥:「50億!?!?!?」


頭がどこかへ飛んでいくかと思った。

びっくりした。


八弥:「いえ、そんなもの。受け取るわけにはいきませんよ」


白炎:「いや、ボルト家として、報酬を支払う必要があるからね。でも、妹の命だ。50億でも安いくらいだよ」


八弥:「命に値段はつけられません。でも、50億もの品を、僕が持っていても」


白炎:「いや、その装備は強い。強い力を秘めている。それを使って、妹を守ってやって欲しい」


八弥:「なるほど、そういう意味合いもあってのことですか」


白炎:「うん。どうかな?受け取ってくれる?」


50億か。

どうしよう。

もう、仕方ないか。


八弥:「じゃあ、妹さんを守る為に使いますね」


白炎:「うん。頼んだよ」


黒服の執事:「お嬢様、病院に到着いたします」


白炎:「いよいよだね」


眷属化ってどうやるんだろう。

あれ、僕何も知らないけど。。。


などと考えているうちに、車は地下駐車場へ乗り込んだ。


僕達は足早にエレベーターに乗ると、最上階に案内された。


そこには、ベッドに横たわる、儚げな少女が一人。

可愛らしい顔つき。

黒髪が腰まで伸びている。

10歳くらいの少女だ。

姉の顔を見たからだろうか、嬉しそうにしている。

しかし、病魔のせいか、苦し気だ。


白炎:「黒那クロナ!!」


白炎先輩は妹さんに抱き着く。

黒那さんは、突然のことに、戸惑っているようだ。


黒那:「どうしたの?おねえさま。・・・その人は?」


彼女の瞳が僕を捉えた。


白炎:「彼が、貴女を助けてくれる人よ」


黒那:「!!」


僕は彼女にそっと近づいた。


八弥:「眷属化っていうのをやればいいんだよね。どうやればいいんだろうか?」


僕はわからない。


白炎:「貴方、初めてなの?」


八弥:「はい。申し訳ない」


白炎:「いえ、その方が良かった。できれば、黒那クロナだけを永遠に愛してあげて欲しいわ」


八弥:「えっと。。。僕まだ初恋もまだなので」


白炎:「と、とりあえず。やり方よね。。。コホン。吸血鬼は牙から自分の血液を放出できるようになってるから、それをして欲しいの」


八弥:「な、なるほど?」


ああ、あれかな?

昨日九句の血を吸っていた時に感じたムラムラ。

あれを放出するような感じで良いんだろうか。


黒那:「待って。本当にそのおねえさまが、吸血鬼なの?」


八弥:「僕が吸血鬼なのは本当だよ。男だけど」


黒那:「おねえさまじゃなくて、おにいさまなの!?」


そこは驚きポイントなのだろうか?

とりあえず、僕は彼女の首筋を舐める。

吸血鬼の唾液には麻酔作用があるって昨日九句から習ったからね。

彼女が痛い思いをしないようにしないと。


黒那:「ひゃ!あ、」


白炎さんも顔を赤くしているようだ。

でも、これは必要な行為なのだ。


八弥:「じゃあ、いくよ。覚悟は良い?」


黒那:「は、はい!私の命を、救ってください・・・」


その願い、僕が叶えるよ。


僕は牙をつきたてると、思い切り、彼女の中に吸血鬼の血を放出した。


行為が終わると、しばらく、黒那は苦しそうにしていた。

身体の組織が書き換わっているそうだ。


そうして、次第に呼吸が整ってきた。


黒那:「苦しく・・・ない」


そうポツリと呟いた。


彼女は泣いていた。


黒那:「おにいさま、ありがとうございます」


良かった。

本当に良かった。

僕にも、人を救うことができたんだと安堵する。


吸血鬼になっても、人類の敵になっても、人を助けることができるんだ。


白炎:「月夜君。ありがとう。貴方は私達家族の、いえ、ボルト一族の恩人よ。すぐにジイヤに伝達して。最大級のもてなしをするようにと」


八弥:「いえ、人間として、吸血鬼として、やるべきことをやっただけです。今回はたまたま手が届いただけです。それを成したのは白炎先輩、貴女です」


白炎:「ボクはただ、必死だっただけだよ。なにもできなかった。。。でも、そうだね。月夜君に出会えたことが、ボクの幸運だった」


黒那:「おねえさま、心配をおかけしました」


白炎:「いいのよ。これからは彼に尽くしなさい」


黒那:「はい、そのつもりです」


黒那の瞳に紅が灯った。


黒那:「おにいさま、喉がカラカラなのです。少しだけ、血を分けていただけないでしょうか」


白炎先輩が大きく咳払いする。


白炎:「ゴホン!!ボクはちょっと外の空気を吸ってくるよ」


そういって足早に席を立った。

どうしたんだろうか?


黒那ちゃんが、僕の側へやってくる。

そして、僕の首筋を舐めた。


八弥:「っつ」


なんか、いけないことをしているみたいだ。

でも、黒那ちゃんは、僕の血しか飲むことが出来ない。

仕方ないんだ。


やがて、首筋に微かな痛みを感じた。

吸血だ。


しばらく吸血は続いたが、早々に黒那ちゃんは離脱してしまった。


黒那:「おにいさまの血の力があまりに濃いので、すぐに一杯になってしまいました」


とのこと。


これでしばらくは大丈夫だろうか?


黒那ちゃんは今日付けで退院するとのこと。

この病院はボルト一族と縁のある病院だから、ある程度無茶が効くそうだ。


そして、黒那ちゃんは、


黒那:「わたし、おにいさまと一緒に暮らします」


★報告★


石垣島。

満月の夜、その場は整えられていた。


九句:「それで?どうなった」


九句への報告の場だ。


八弥:「聴いてよ。家族が増えることになった」


九句:「良いことじゃないか!」


八弥:「それはそう!そうなんだけどさ!」


九句:「お前が決めたことだろ?ちゃんと責任は負わないとな」


八弥:「九句のいじわる」


九句:「眷属ってのは家族も一緒だ。まあ、そう考えない吸血鬼もいるけどな。俺は家族に近いと思っている」


八弥:「そうだね。でも、絶対服従っていうのはね」


九句:「でも、命令なんてしないんだろ?」


八弥:「当たり前でしょ。そんなことしないよ」


九句:「結局、命助けて、血を吸われるようになっただけか」


八弥:「一緒に暮らすんだよ。これから」


九句:「それから、学校。彼女、話に聴くと三年も学校に通えていなかったらしいじゃないか。多分八弥の眷属として中学に入学することになるぞ」


八弥:「え!?聴いてないよ?」


九句:「だから勉強。教えてやらないといけないな」


九句は楽しそうに笑った。


九句:「明日は覚悟しておくんだな。先生は怒っていたぞ」


どうしよう。

休みたい。


★就寝後★


私、黒那は、この人に命を救ってもらいました。


苦しみから救っていただきました。


終わりから救っていただきました。


だから、せめてこの身は、彼の為にありたいと思うのです。


八弥:「・・・・・・・・・」


おにいさまの寝顔は綺麗でした。


私には吸血鬼になったときに、影を使う能力を付与されました。


だから、そっと彼の影にお守りをつけるのです。


ああ、もう一口、その血を飲みたい衝動に駆られます。


しかし、それはまた明日。


おやすみなさい。


我が愛しのおにいさま。


★二日目のテーマ動画★

https://youtu.be/le0pOyqp6Cw


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