↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
9/55

私の召使いが生意気よ!


「お嬢様、掃除をするので、そこを退いてください」


 部屋の椅子でくつろいでいると、近くから素っ気ない声が飛んできた。


 掃除用のハタキは遠慮なくこちらへ向けられ、それを握る少女の表情も実に無愛想だ。


「はあ? お前、誰に向かって命令しているのよ」

「命令ではなく、お願いをしています」


 鋭く睨みつけても、レイミは涼しい顔で受け流す。

 彼女は、体調を崩したサラに代わって、新しく専属となった召使いだ。


「お嬢様がそこを退いてくださらないと、掃除が捗りません。部屋が汚れたままでもよろしいのですか?」

「……分かったわよ」


 促されるまま椅子から立ち上がり、部屋の隅へ移動する。


 無愛想な表情に、少し高めの冷たい声。

 私の牽制にも怯まず、自分の意見をはっきり口にする性格は、従順だったサラとは正反対だった。


 平民のくせに私へ意見するなど無礼極まりない。

 だが、着任した日に言われた言葉が、今でも頭から離れなかった。


「お嬢様。することがないのでしたら、領主としての勉強をなさってはいかがですか?」

「嫌よ。勉強は嫌いだもの」

「そのようなことを仰っていては、いずれ領地は立ち行かなくなりますよ?」

「うるさいわね! お前には関係ないでしょ!」


 ここ数日、こんなやり取りばかりだった。


 反抗的な態度に、生意気な物言い。こんな召使いは初めてだ。

 主人は私のはずなのに、気づけば主導権はいつもレイミに握られているような気さえする。


 当然、こんな無礼な召使いを折檻しようと思った。

 けれど、どうしてもできなかった。

 振り上げた手は途中で止まり、そのたびに頭へ浮かぶのはサラの顔だった。


 ……何なのよ。

 どうして、いつもサラの顔を思い出すのよ。


 あの苦しそうな表情が、頭から離れない。


 何度も自問自答を繰り返すたび、レイミの言葉が脳裏によみがえる。


 ――『私はサラのように甘くはありません』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。