第8話 怪奇レポート2-2 現場観察
アレスさんには調べ物のために先に帰ってもらったけどそれにしても大きいね。夜になる前に軽く下見くらいはできるかな?
まずは倉庫だね。人はいないって話だし、とりあえず[怪奇視]で被害者の居た場所を見て回ってみようかな。
とりあえず軽症者の場所は特に痕跡も残ってなかったね。重傷者1人目の居たのはここだけど・・・
それにしてもこんな隅っこでなんの作業してたんだろ。入り口から一番遠い場所だよね。痕跡は特に残ってないかな。ここの人は右腕の骨折だね。大抵の人たちは切り裂かれたってことだし転生者が現代兵器を持ち込んだとも考えづらいよね。遠距離で斬撃を飛ばすなんて不可能だろうし、そもそも骨折した人がいることに説明がつかないしね。
とりあえずほかの重傷者の居た場所も見てみようかな。
ここかな?さっき近くで軽症者の場所を確認した場所だね。ここの人は棚の組み立てをしてたみたいだね。組み立て途中の棚が残されてるし、ここにほかの作業員はいなかったって聞いてるし。ここの人は左腕の骨折だね。
次はここかな?ここも棚の組み立て途中みたいだね。組み立て途中の棚にかなりの量の血がついてる。ここの人が背中を切り裂かれたみたいだね。床は清掃したみたいだけど、棚は処分予定だからきれいにしてないみたいだね。
ここまでけが人に法則性がないと逆に不自然なんだよね。誰かの意図が介入してるような・・・
とりあえず受付のほう行ってみよ。
こっちは商業組合の建物とおんなじ感じで西方風のきれいな建物だね。こっちの作業員は全員一緒に作業してて2人が怪我したって聞いてるけどこの辺りかな?してた作業としては受付のカウンターを作ってたってことなんだけど、こっちは普通に事故の可能性もなくはないよね。
でも向こうで同時に怪我してる人もいるし偶然ではないだろうけどね。こっちはそれぞれ右足、左足の骨折だね。
とりあえずざっくり見て回ったしいったん帰って情報を整理しようかな。
まず、骨折者4人の骨折箇所が腕か足だけなのに全員バラバラなのが気になるかな。明らかに意図的に怪我をさせてる。軽症者も全員が腕か足に切り傷とか打撲ってことだったし、背中に傷を受けた人以外は腕か足の負傷だけなんだよね。
あと気になったのは痕跡が何にも見つからなかったことかな。あれだけの範囲に悪霊なり妖怪が悪意を持って攻撃を加えれば[怪奇視]に残らない痕跡が残らないのは不自然だと思うんだよね。カレンさんの件は音を出してただけだっていうのにあれだけ痕跡が残ってたんだから。
考えられるのは人間の仕業か、痕跡を消すか残さない方法を知っているくらいかな?あとはカレンさんの床を襲った悪霊が痕跡を残しすぎてただけって可能性もあるよね。考えなきゃいけないことが多すぎるね。
ドンドン
「どうぞー。」
今日は店を開けないことを店前に書いてたと思うんだけど・・・
「失礼するぞ。」
「ギルマスじゃん。わざわざどうしたの?」
「一応は初依頼だからな。進捗を聞きに来るついでに相談役として来てやったわけだ。」
「進捗ね。とりあえず商業組合の担当者と今後の調査の方向性は合わせたよ。情報もいろいろ教えてもらったけど、私の安全を確保するために夜の調査は一旦保留の予定。」
「安全の確保?」
「ギルマスって今回の依頼の話どこまで聞いてる?」
「以前派遣した者には対して事故の状況を教えてくれなかったのでな。ほとんど知らないというのが正しいだろう。」
「そうなんだ。実は担当者が今朝変わったらしくて、私の知り合いなんだよ。それでなのかはわからないけど、情報はしっかり教えてくれたよ。負傷者は全部で25人その日作業してたのは60人だから半分近くが怪我をしたことになるね。」
「そんなに多数が負傷していたのか。」
「それで、そのうち20人は切り傷程度らしいんだけど、4人は骨折、1人は背中に大きく切り裂かれた傷があったって話。仮に悪霊だったとしても私のスキルは相手の力次第では即時効果は期待できないんだよ。」
「即時効果が期待できるか不明な以上、今接近するのは危険と判断したわけか。」
「そう。昼間に調査とかに入った人はいるらしいけど、みんな大丈夫だったらしいから昼間なら大丈夫って判断して昼間に調査を重ねるつもり。今日は[怪奇視]で全体を見て回ったけど、痕跡らしいものは残ってなかったね。」
「痕跡を残さないことは可能なのか?」
「私自身このスキルを得てそんなに経ってないからわかんないね。痕跡を消したり残さないことは可能かもしれない。少なくとも昨日受けた依頼に関しては悪霊が音を発してただけだけど痕跡はめっちゃ残ってたね。あ、そうだ!ギルマスに報告しといたほうがいいことあるんだった。ちょっと待ってね。」
「報告?」
「これ見て。」
「なんだこれは魔道具か?」
「多分。昨日の依頼で犯人の男が持ってたんだけど、自分の意識を悪霊に乗せて操れるものだって。」
「何?本当なのか?」
「本当だと思うよ。実際にその男に私の[退魔呪詛]の影響は出てたもん。まぁ、常に息苦しい程度だろうけど。」
「なるほどな。こんなものがあるのなら近頃の幽霊騒ぎの多さにも納得ができる。ギルドとしてもそういった案件をこの店に持ち込むよう町中に触れておこう。」
「お願い。とりあえず報告とかはこんなとこかな。」
「分かった。ギルドが正式に勧める以上忙しくなると思うが許してくれ。」
「大丈夫。お金は必要だしね。最悪人を雇うことにするよ。」
「そうすべきだろうな。何かあればギルドに相談してくれていい。万が一今この町で起こっている多発する幽霊騒ぎの元凶を取り払った暁にはギルドからも報酬を出そう。」
「それはやる気が出るね。そんな報酬無くてもこんな面白そうなことにはやる気がみなぎるけどね。」
「面白そう、か。異世界からの者は狂気的なものが多いが、アリスはとびぬけて狂ってるな。」
「褒めてもらえてうれしいよ。」
「褒めたつもりはないんだがな。それじゃ俺は帰るとしよう。」




