第7話 怪奇レポート2-1 商業組合からの依頼
カレンさんの依頼を解決した時間が遅かったのもあって翌日は昼前まで寝ちゃってた。玄関をノックする音で起こされた。
「おい、依頼者が来るってのにこんな時間まで寝てたのかよ。」
「昨日の依頼が遅くまでかかっちゃったから仕方ないじゃん。」
「そうかよ。さっそくだが依頼の話をしたい。上がらせてもらうぞ。」
ってことでギルマスを上げてさっそく以来の話を聞くことになった。
「今回の依頼は商業組合からのものだ。」
「商業組合?」
確かアレスさんがこの町の商売を取りまとめる場所で働いてるとか言ってたけど・・・
「簡単に言うのならこの町の商売を管理する場所だ。基本的にこの世界では自由商売が原則だ。だからと言って人をだましたりぼったくったりしていいわけじゃない。それを取り締まるための機関だと思ってくれればいい。」
「それはわかったけど、そんなところからどんな依頼?」
「1週間前、商業組合が新たに直接運営する商会の本拠点の予定地で作業をしていた作業員に原因不明の負傷者が出たそうだ。」
「原因不明?」
「あぁ。魔法での干渉を疑って、魔法に長けたものを送り込んだが、魔法を使用した痕跡もなければ負傷者の傷からして魔法はあり得ないとのことだ。」
「それで原因がわからない以上調査の使用がないから私にってこと?」
「そういうことだ。場所はこの地図の通りに行けば着く。受付で冒険者ギルドから派遣されてきたとでも言っとけば担当者が飛んでくるだろうぜ。」
「分かった。依頼料ってどうすればいいの?」
「依頼解決後に依頼料の相談だけしてきてくれ。支払いは冒険者ギルドにしてもらったうえで手数料を引いた分をお前にギルドから支払うことになる。」
「オッケー。それじゃ早速行って来ようかな。」
ってことでさっそく地図通りに商業組合にやってきた。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「冒険者ギルドから派遣されてきた冒険者です。」
「かしこまりました。担当者をお呼びしますので少々お待ちください。」
それにしてもこの町に合わない建物だね。商業の管理をしてるって話だし、この建物みたいな西洋風の建物がこの世界では最先端って感じなのかな?
「お待たせいたしました。やはりアリスさんでしたか。」
「あれ、アレスさん?」
「昨日は娘がお世話になりました。ここではなんです。早速ですが現場に向かってからお話をするとしましょう。」
「うん。」
まさか、アレスさんが担当だなんて。
アレスさんに着いていくと、町はずれにこれまた大きい西洋風の建物が見えてきた。隣にかなり大きい倉庫も併設してるみたい。
「こちらが現場です。それにしても冒険者ギルドから新たに冒険者が派遣されてくるという話は聞いていましたが、担当を変えていただくよう申請して正解でした。」
「そんなことしてたんだ。それにしてもきれいな建物だね。それで、ここで起こったことを聞いてもいい?」
「はい。向かって右側にあるのが受付にする予定の建物になります。左側は倉庫として利用予定です。1週間前、深夜に倉庫側で50人、受付側で10人の工員が作業をしておりました。倉庫側は倉庫として利用できるよう棚などの用意・整備を、受付側は装飾などに関する作業をそれぞれ行っていたと聞いております。」
「それで?」
「倉庫側の20人、受付側の5人が同時に負傷したそうです。倉庫側のもののうち17人と受付側のうち3人は腕や足に切り傷ができる程度の軽度の傷でしたが4名は腕や足の骨折、1名は背中に大きな切り傷を負っていたそうです。」
「なるほどね。被害者も多いし、同時っていうのが気になるけど。確かにそれなら魔法を疑うよね。」
「えぇ。ですがギルドの派遣してきた冒険者曰く、魔法的干渉はないとのことですので。」
「負傷者に共通点ってあったりする?それぞれ近い位置にいたとか性別、年齢とか。」
「基本的には何を聞かれてもいいようにと情報の共有を受けておりますが、それをすべて口頭で説明するのもと思いまして大抵はこちらに記してあります。」
渡された紙の束には内部構造図と負傷した際に負傷者の居た場所と負傷者のプロフィールが載ってた。
「なるほどね。場所も完全にバラバラ、何なら隣同士で片方だけが怪我したような人もいるね。年齢もばらばらだし、性別もそもそも男性作業員が多いから男性が多いけど、女性もケガしてるね。」
「えぇ。ですので商業組合としては原因不明として処理しようと考えておりました。」
「そんなとこに冒険者ギルドから冒険者は剣の話が来たってわけね。」
「そういうことです。」
「仮にこれを幽霊なり妖怪なりそういった存在の仕業として私が解決するにあたって問題があるんだよね。」
「問題、ですか?」
「うん。問題は2つ。1つは私のスキル[退魔呪詛]は幽霊とか妖怪みたいな私たちを呪うことが出来る存在と私を呪った存在を呪殺できるスキルなんだけど、あくまでも呪うことがスキルの力だから相手が強ければ死ぬまでに時間がかかっちゃうこと。もう1つは[怪奇視]か肉眼で視認しないと[退魔呪詛]の対象に取れないこと。」
「つまり、視認できない状態で攻撃をされる可能性や、スキルを使用した後の隙を突かれることを危惧している、と?」
「そういうこと。っていっても相手のことを視れるのが私だけだから頑張るしかないんだけどね。ただ、最大限リスクはなくすよ。」
「といいますと?」
「まずはこの場所を徹底的に調査する。1週間前から夜には誰も入ってない?」
「えぇ。そもそも現在は冒険者の調査以外の目的で入ることは禁止しております。事故後、日中に入ったものは数名おりますが、負傷者はおりません。」
「それなら中での調査は日中だけ、あとは情報の収集もして十分だって判断してから解決に入ろうかな。まずはこの土地、もともと何かあったか調査しておいてくれない?できる限り昔までさかのぼって。」
「分かりました。アリスさんは?」
「私は中の調査をしようかな。痕跡とか残ってるかもしれないし、内部構造を目で確認したいし。」
「分かりました。くれぐれもお気をつけて。」




