第9話 怪奇レポート2-3 調査結果
翌日、今日もまたドアをノックする音で目が覚めた。
「アリスさんいらっしゃいますか?」
「はーい。今開けまーす。」
ドアの前にはカレンが立ってた。
「カレンさんじゃん。どうしたの?」
「いえ。改めて先日のお礼をと思いまして。」
「そっか。入って。」
「お邪魔します。」
「それにしてもわざわざ来なくてもいいのに。」
「いえ。あの件のおかげで父との関係もよくなりましたし、本当になんと言えばいいか。」
「そっか。そういえば職場は?」
「昨日やめることを伝えてきました。次の職はまだ決まってませんが、それまでは父が援助をしてくれるということなので。」
「アレスさん商業組合の人でしょ?」
「どうしてそれを?」
「商業を取りまとめる仕事とは言ってたじゃん?それでちょうど商業組合からの仕事が来て商業組合について知ったんだよね。話からそうかなって。」
さすがに依頼内容を外部に漏らすわけにもいかないし、あったことは黙っとかないとね。
「そうなんですね。それにしても商業組合から依頼ですか?」
「うん。ちょっと問題があったみたいでね。ギルド経由での依頼だよ。それよりもカレンは次の仕事どうするか決めてるの?」
「いえ。ようやく夜寝れるようになって体調が戻りつつあるところなのであと数日は休んでもっと身体がしっかりしてから考えようかと。」
「それでいいと思うよ。カレンさんがどうしてるかは気になるし、動き始めるってなったら教えてよ。」
「分かりました。ちょっと前から思ってたんですけど、1ついいですか?」
「どうしたの?」
「そのアリスさんにカレンさんって呼ばれるのなんだか気恥ずかしくて。カレン、でいいですよ。」
「分かったよ、カレン。それじゃそっちもアリスって呼んで。」
「分かりました。アリス。」
「それじゃ私商業組合に行くから。また来るときはこのくらいの時間か夜暗くなってから来てもらえばいると思うから。」
「分かりました。」
ってことでカレンとは別れた。冒険者ギルドから正式に広告を出してくれるような感じになっちゃったわけだし、カレンがよければ受付として働いてもらおうかな?
ちょっと寄り道をして商業組合に到着した。
「アリスさんお待ちしておりました。」
「アレスさん、待たせちゃいました?」
「対して待っておりませんし、この案件を引き受けてから私はこの案件のみに集中できているので時間は大丈夫ですよ。」
「いや、遅れちゃってごめんなさい。カレンがうちに来てくれてちょっと話をしてて。」
「カレンが。それにその様子ですと以前以上に距離が縮まったようですね。」
「そうですね。友人として今後も仲良くしていきます。っと、それよりも本題に入りましょう。あの土地に関して何かわかりましたか?」
「はい。調査の結果、40年ほどの間あの土地は更地だったとのことです。その理由が、面積の割には安いものの、広大な面積での土地の販売であったため、買い手がつかなかったこと、40年前までは邸宅があったもののそこで殺人が起こった過去のある場所らしく、不吉がって購入する者がいなかったことの2つだそうです。商業組合は町をまたいだ組織、土地を購入した者はあの場所が元来殺人が起こった場所だったことは知らぬようです。」
「そっか。そりゃこの世界に告知義務なんてものあるわけないよね。」
「告知義務、といいますと?」
「私の元居た世界の住んでた国にあった制度だよ。人が殺されたり、自分で命を絶った家とか土地は売ったり貸し出したりするときに必ず次の人に教えなきゃいけないっていう制度。」
「そんな制度が。考えたこともありませんでした。」
「一旦この話はやめて話を戻そっか。私の幽霊に関するイメージだとその場にとどまるとしても家が残ってるわけじゃないから幽霊の力が強まるイメージはわかないんだよね。取り壊すときに事故が起こったりしてないの?」
「そのような記録は確認できませんでした。」
「ってことは家を壊されることに恨みを持ってたりはしないのかな?」
「と言いますと?」
「家を守りたいって意志があったなら壊すときに何かしら干渉してくると思わない?土地にこだわりがあるなら別かもしれないけど。」
「確かに干渉するのが自然でしょう。ですが幽霊にそこまでの自我が残っていると?」
「私は残ってるものもいると考えてるけど実際のところはどうだろうね。でも今回のは25人もそれも同時に負傷してるからね。最低でも知恵を持つのは事実だよ。」
「そうでしょうが・・・」
「アレスさんってゴースト系のモンスターに詳しかったりする?」
「モンスターに関することであれば最低限の知識は。かつては冒険者をしておりましたので。」
「そうなんだ。ちょっとゴースト系モンスターについて知ってることを教えてもらえる?」
「はい。ゴースト系統のモンスターというのは一般的に幽霊と呼ばれるものとは異なり、魔法を扱えるものであればたいていが視認することが出来ることもあり幽霊よりはモンスターに分類されております。その特徴として先ほど申した通り、魔法を扱えるものでなければ視認できず、物理攻撃は通用しません。魔法による攻撃は通用しますが、神聖系統以外は効果が薄いです。あとは夜間にしか出現せず、日中は精神界というこの世界とは別の次元に存在しているようです。一般的に分類されるのはゴースト、レイスですね。上位のものも存在するとは言われておりますが、記録に残っているくらいのレベルなものです。」
「なるほどね。この世界だと幽霊は死んだ人の魂が霊体化したもの、ゴースト系は怨念とかが溜まった集合体ってとこかな。中位のゴースト系モンスターはいないの?」
「そもそもゴーストやレイスでさえかなり強いのです。低位と分類しておりますが、ほかのモンスターの分類でいうのなら中位に相当します。それ以外を上位として設定するしかないのです。」
「なるほどね。ちなみに上位のゴーストの中に切り裂くような傷をつけるものって聞いたことある?」
「いえ。基本的には呪いをかけてくるか魔法攻撃を仕掛けてくるものしかいません。」
「なるほどね。ってことはゴースト系の線は消していいかもね。殺人が起きた場所っていうのとこの場所で今回の事件が起きたってことも関連性はないとみてよさそう。」
「それでは何が原因だと?」
「そこなんだよね。結局振出しに戻ったわけだよ。昨日私が視たけど結局痕跡らしい痕跡も残ってなかったんだよね。」
「そうですか。」
夜に調査するのが一番手っ取り早いけど怖いんだよね。
「今度はさ、切り裂くような攻撃をできるモンスターとかあとは高速でそういうことが出来る人間、もう亡くなっててもいいからそういうのを調べてきてくれない?」
「モンスターですか?」
「うん。元々人間だった切り裂き魔とかの幽霊とかそういうモンスターの怨念が集まってできたものだったりするかもしれないし。」
「分かりました。」
今回の話を聞いた感じ、カレンの時と同じような操っている人物がいるかゴースト系の特殊なモンスターかでほぼ間違いないだろうね。ギルマスの時普通の霊も日中いたし、来る前に墓地に寄ってみたけど、やっぱり霊の姿はあったし。モンスターの怨念が集まったゴーストとか戦いたくないからせめて人型であってほしいな。




