第6話 怪奇レポート1-2:逆恨みの男
周辺の家の人に話を聞いてみたけど、カレンさんを心配している人は多かった。近所の人との付き合いに問題はなさそうだね。
「カレンさん、戻りましたよ。」
「アリスさん、いいところに。」
「ん?なにかあったの?」
「先ほど父が来まして、どこからか話を聞きつけたみたいでして。」
「ごめん。それ私だよ。昼間にこの家から出た時に絡まれてね。で、お父さんは?」
「今、中にいます。」
「私が話すよ。」
「君か。」
「えぇ。今日中にカレンさんからの依頼を解決する予定でしたので。」
「確かにギルドで確認させてもらった。だが、正式な依頼の解決経験はないようだな?」
「そうですけど何か?カレンさんが初依頼ですよ。」
「いえ。が危惧しているのはあなたの心の問題です。」
「心?」
「貴方の商売は心の弱った人を相手にするものだね?」
なんか昼間よりも物腰が柔らかいような…
「まぁ、そうですね。」
「そこに付け込んで不当な金額を巻き上げるのでは、と心配になりましてね。娘の話だから、というわけではなく、この町の行政にかかわるものとしてね。」
「そんな方だったとは知らず、昼間はご無礼を。回答ですが、それに関しては安心していただいて構いません。よほどの案件でない限り、相談は無料、調査は鉄貨5枚、解決は銀貨1枚と銅貨3枚でお受けします。もちろん死者が出ている場合や、冒険者ギルドを通じての依頼の場合は多少多めにいただきますが。」
「それならばよい。カレンの依頼の支払いは私がしよう。」
財布を取り出そうとしてるけど、カレンが説明しないとも思えないし、私のことを信用してないからカレンの話を突っぱねてたのかな?
「カレンさんからのお代は結構です。初めてのお客様ですし、うちの店のうわさを流してくれればそれで、ということですでにお話が決まっています。」
「は??」
「だから、お代は受け取れません。」
「ハ、ハハハハ。新たな商売、それも除霊と聞いて警戒しておったがこれまで善良なものだとは。カグラ殿、失礼した。商業を取りまとめている部署のものなのでな。少々警戒しすぎていたようだ。無礼を許してほしい。」
「大丈夫ですよ。それよりも、気づいてます?」
「何に、ですかな?」
「カレンさんは気づいてるかな?」
「はい。さっきから物音が・・・」
コンコンコンコン
天井裏?さすがに[怪奇視]じゃ透視はできないし、どうしようかな。見えないと[退魔呪詛]も使えないし・・・
それにしてもこの家に残されてた痕跡もそうだけど、今こうやって本体がいる状況になるとギルマスの時の霊たちとの違いがはっきりするね。まるで何者かが操ってるようなそんな雰囲気がある。
「カレンさん、恨まれる覚えなんかあります?例えば職場に仲が悪い人がいるとか。」
「私のことを嫌ってる人はいますけど、それがなにか?」
「多分この霊その人の差し金かと。どうやって操ってるかなんて見当もつかないですけど。見えた!」
今一瞬天井裏から貫通して見えた。一回見えてしまえばどこにいるか掴める。
「逃げれるなんて思わないでよね。[退魔呪詛]」
「ぐぁぁぁぁぁぁ」
「何事!?」
「お父様はカレンさんを見てあげてください。私が行きます。」
外に出てみると比較的近い路地から声が響いてた。今のところ[退魔呪詛]がどんな呪いをかけるのかよくわかってないんだよね。それが操ってた本人に返った可能性もあるし。
「さて、あんたが元凶だね。」
「き、貴様か!俺の霊を祓ったのは。」
「祓ってなんかない。殺したんだよ。なんで操ってたあんたが苦しんでるのか知らないけど。さて、吐いてもらおうか。さもないと苦しみは消えないよ?」
[退魔呪詛]は対象を呪殺するスキルだけど、なんとなく発動中かどうかわかる。霊は消えたはずなのに今は発動したままみたいな感覚がある。だから私の意志で解除すればこの男は苦しみから解放される。
「あの女が憎かったんだ。仕事でも俺より優秀でチヤホヤされて・・・」
「だから、私が聞きたいのはそこじゃない。どうやって幽霊を操ってたのか、そこだよ。」
幽霊を操れるなんて、正直もう以来のことなんてどうでもいい。そのタネを知りたい!
「とある商人がこれを売ってたんだよ。」
「なにこれ?」
「幽霊を意識を共有し、幽霊を操れるものだ。」
「なるほどね。これでカレンさんに嫌がらせをしてた、と。とりあえずろくに力も入らないだろうし、このまま連行するね。」
ってことでカレンさんの家の前まで男を個引きずってきた。
「カレンさん、ちょっといい。お父様も。」
「俺のことはアレスでいい。」
「分かった。それじゃアレスさんも来て。」
2人を外に連れ出して男に引き合わせる。
「ロンタス・・・」
「逆恨みだったみたいだけど、これがないからもう嫌がらせはできないよね?」
「それは?」
「幽霊を操る道具だってさ。多分使うのにかなりの制約があるんだろうけど。で、この人が今苦しんでるのは私が霊に使った呪詛の影響がこの人にも出てるから。アレスさん、警備隊を連れてきてくれる?」
「だが、物証がない以上・・・」
「ねぇ、あんた、取引しよっか。」
「応じるかよ・・・」
「あっそ。それじゃ私はあんたに対して発動するスキルを一生解除しないよ?警備隊におとなしく自白するならスキルを解除してあげる。」
「脅しかよ。」
「逃げたいなら勝手にすれば。」
どこからそんな力が湧いてるかわからないけどなんと走って逃げてった。
「逃がしていいのか?」
「問題ないよ。カレンさん、今の職場辞めちゃいな。あの男との接点を切るべきだよ。向こうが辞めたとしてもあの男がかつて所属してた場所にいるってことに変わりはない。しばらくはアレスさんが援助してあげて。」
「はい。」
「分かった。」
「あと、アレスさんはもっとカレンさんのことを信頼してあげなよ。カレンさんだってもう立派な大人、娘がかわいい気持ちはわかるけど、いつまでも過保護なままじゃだめだからね。今回だって私のことを疑ってかかってるからってカレンさんから私についての話聞いてないでしょ?」
「あぁ。そうだな。すまなかった。」
「そうな、お父さん、謝らないでよ。」
「受け取っときな。こういう現象じゃなくても何か困ったらうちに来ていいから。私はお店に住居を併設してるから。何か困ったら頼ってね。」
「はい!」
一旦は一件落着でいいのかな?でも幽霊を操れる道具を販売する商人、ね。この町で怪奇現象増えてるって話だし関係あるのかな?




