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異世界『怪奇屋』へようこそ  作者: 雲英侑李


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第5話 怪奇レポート1-1 依頼者:カレン

「それで。どういった相談ですか?怪しいと思ってる店に縋るくらいには追い詰められてるみたいですけど・・・」


「そうなんです!最近夜に物音がひどくてあんまり寝れなくて・・・」


「なるほど。確かにさっきから気になってはいましたけど顔色が悪いですもんね。他に何か気になることとかは?例えば知らないうちにものが動いてるとか。」


「確かにものが移動しているような気はするんですけど、気のせいかなって・・・」


「なるほど。私の意見としてはおそらくは幽霊的なもの、もしかしたら妖怪とかかもしれませんが、そういうものが何か悪さを働いていると考えます。無償でお手伝いできるのはここまでです。調査のみの場合、鉄貨5枚、解決まで望まれるのでしたら調査と合わせて銀貨1枚でと銅貨3枚でお受けします。」


日本円と日本の物価で換算すると鉄貨1枚が100円、銅貨1枚が1000円、銀貨1枚が10000円、金貨1枚が10万円。


「やっぱりそこそこしますよね。」


「その調子だと働くのもままなりませんよね。」


「そうですね。最近は本当に寝不足のせいか体調が悪くて。」


「表の幟にも記していましたが、私は冒険者ギルドから幽霊などの案件の専門職として認められています。結果に関しては保証しますし、一度で解決しない場合、二度目以降の調査などは無償で行います。」


「そこまでいいんですか?」


「もちろんです。それに加えて、あなたは最初のお客さんなのでお代はいただきません。その代わり、うちを宣伝した貰いたいんです。うわさを流す程度でいいので。」


「そんなに良くしてもらっていいんですか?」


「いいんです。私も好きでこの仕事を始めたので。」


「それならお言葉に甘えさせてもらいます。私カレンって言います。あんまり無理して硬い喋り方しなくても大丈夫ですよ。」


「無理してるのバレた?私はアリス。解決までお手伝いさせてもらうよ、カレンさん。」


「ありがとうございます。」


「といっても明日にはギルドからの依頼も来るから今日中に解決しちゃいたいね。音は夜にしか鳴らない?」


「はい。最近はお仕事もお休みさせてもらってるんですけど、お昼には鳴ってないです。」


「そっか。まぁ、一応昼も確認したいからおうちに案内してもらえる?」


「はい。」


そもそも幽霊の習性なんて知らないし、日中はいても何もできないのか、夜にしか姿を現さないのか・・・


「ここです。」


「おじゃまします。って、うわ・・・」


すごい気配。[怪奇視]で視えるけど視えないみたいな感覚も変な感じで嫌だね。ギルマスの家の時は生霊だったからいただけなのかな?でも普通の幽霊も生霊に呼ばれてきてたよね。幽霊単体だと日中は現れない?


「すみません。少し散らかってて。」


「ごめん。そうじゃなくて家の中がすごい気配で・・・」


「気配?」


「私のスキルを教えてなかったね。私のスキルは幽霊とか普通の人が視ることが出来ない存在を視ることが出来て、そういった存在に呪いをかけることが出来るの。だから幽霊を見つけて逆に呪い殺せるって訳なんだけど、幽霊を視ることが出来るほうのスキルで幽霊がいないのに痕跡みたいなのがすごく見えてね。前に依頼で見た時はここまでなってなかったんだけどね。」


ギルマスの家の幽霊たちは消えた後何の痕跡も残してなかった。念の強さとかかな?


「そうなんですか?」


「うん。でもこのスキルで視ることが出来るってことは人間ではない何かが影響してるのは確定だね。今日の夜滞在させてもらってもいい?」


「もちろんです。お願いします。」


「私はこの家の周囲とかを調査してくるから、夕食を済ませた後にまた来ます。」


「分かりました。」


とりあえず離れたはいいもののどうしようかな。一旦周辺の住人に聞き込みとかしてみてもいいけど・・・


「お嬢ちゃん、ちょっといいかな?」


「はい。なんですか?」


「今そこの家から出てこなかったかい?」


「そうですけど・・・」


「カレンとどのようなご関係で?」


「仕事に関するお話をしていただけですよ。」


「カレンは今休職中では?」


「何故カレンさんのことを探るのか聞いても?」


「家族のことを聞いて何か問題が?」


「お父様?ですか。仕事の話というのは事実です。カレンさんが休職されている理由はご存じですか?」


「体調がしばらくすぐれないと聞いてるがなぜそのようなことを聞く?」


「ということは心配で様子を見に来たとかそういう感じですか。私は本日この町に『怪奇屋』という店を構えたアリス・カグラと申します。」


「『怪奇屋』?」


「はい。幽霊、妖怪などといった普通では視認できない存在が引き起こす現象に関する調査、その現象の解決を専門とする店です。」


「そんな胡散臭い奴とカレンが仕事の話を?」


「カレンさんの体調不良は深夜に起こる発生源不明の音による睡眠不足だそうです。先ほどご自宅を見せていただきましたが確かに幽霊の居た痕跡が強く残っていました。」


「貴様の言葉の信用性など皆無に等しかろう。」


「これを見てもですか?」


「それは・・・」


「冒険者カード。霊媒師の専門職です。信用できないというのならギルドに行って確認してきてください。ですが、カレンさんは今かなり精神的に不安定な状態です。解決するまではそっとしてあげておいてくれませんか?私からお父様が心配されてたことはお伝えしておきますので。」


「・・・・・・」


冒険者カードの効力ってすごいみたいだね。どっか行っちゃったけど一旦大丈夫かな?今日の夜邪魔されるのが一番面倒だけど、それはないと信じたいね。あれが本当に父親だったとしてカレンさんの精神状態って霊現象だけが原因じゃないんじゃないかな?

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