第3話 怪奇レポート0-3:冒険者カード
「おかえりなさい。どうだったかしら?」
「登録試験としてギルドマスターの家の除霊を頼まれてやってきました。」
「あの子ったら、登録試験に私用を含めるなんて・・・。相変わらず怖がりね。」
「やっぱ知り合いなの?ギルマスは世話になってるって言ってたけど」
「えぇ。あの土地今は私の所有地だもの。」
「え、そうなんですか?」
「えぇ。だからあの子は私に頭が上がらないの。それよりもずっと思ってたんだけど、無理に敬語使わなくていいわよ。もっと楽な感じでいいからね。」
「それじゃそうさせてもらうよ。冒険者登録した後って何か決まりとかあるの?一定期間に1回は依頼を受けないと、とかそういうの。」
「基本はあると思うけど、アリスちゃんは専門職登録だし大丈夫じゃないかしら?それよりも多分わかってると思うけど冒険者だけのお仕事だけだと生活は厳しいと思うわよ。あくまでもおまけくらいに思っておいたほうがいいわ。」
「それはもちろんわかってるつもり。ギルドに依頼を出すレベルって多分実害があるレベルだけでしょ?例えば今回ギルマスの家はいわゆるポルターガイストが起こってるくらいなレベルだったけど、そのレベルは冒険者ギルドは受け付けてくれないんじゃないかな?」
「そうね。幽霊とか妖怪ってなると見えない相手なことが多いから死傷者が出ない限り相手にしてくれないでしょうね。」
「でしょ?だからそういう案件の相談所的なのを作ろうかなと思ってさ。町を歩いてた時に物の怪がとか妖がとか結構聞こえてきたんだよね。」
「科学が発展してないし、不思議なことが起これば魔法かそういう存在を疑うものなのよね。確かにそれなら需要はありそうね。ただ、見えないものを相手にする以上信用商売になるわね。」
「そうだね。私なりに頑張ってみるよ。」
「それなら住居兼お店って感じにするのがいいでしょうね。ちょうどいい物件持ってるからそれを貸してあげるわ。」
「ありがと。でも本当にいいの?」
「いいから。もちろん最低限の家賃はもらうわよ。でもあまり気にしすぎないでいいわよ。誰も住んでないよりかは誰か住んでくれてるほうが維持費もかからないしいいのよ。特に最初のほうは気にしなくていいから。」
「それなら気にせずに借りさせてもらうよ。」
「さて、そろそろアキラも帰ってくるし夕飯にしましょうか。」
アキラはトウカさん以外にはあまり興味がないみたいで私にはちょっとそっけない。日本人を見つけて連れてくるってのもトウカさんのためってだけみたいだね。
夕飯を3人で囲み、早めに眠りについた。
朝起きてしばらくするとギルマスがやってきた。
「あら、ドリアルちゃん久しぶりね。」
「トウカの姉さんお久しぶりです。」
「そんな感じなんだ。ってか昨日名前聞いてなかったや。」
「名乗ってなかったか。俺はリブムタの町の冒険者ギルドのギルドマスタードリアルだ。昨日はありがとなアリスの嬢ちゃん。」
「あれ?私名乗ったっけ?」
「登録の時に名前書かされたろ?」
「そういえば書いた気がする。」
「登録に必要な情報だからな。さっそく本題だが、昨日の登録試験は合格だ。久々に家でゆっくり休めた。感謝する。」
「でも、ドリアルさんの家にいたの生霊だったから、再発する可能性はあるよ?もしかしたら私が本体のほうを呪い殺しちゃってるかもだけど。」
「呪い殺す?」
「私のスキル[退魔呪詛]は幽霊、妖怪みたいな[怪奇視]を使って視ることが出来る対象と、自分を呪ってきた相手を呪うことが出来るスキルなの。だから生霊からかけられた呪いが本体から生霊を経由してかけられた呪いだった場合本体が呪われてると思う。」
「そうね。私も[鑑定]で見てみたけど同じ意見よ。」
「そうか。再発した際にはまた見てもらおう。呪殺に関しては証拠の残らない殺人だ。向こうが先に殺意を向けてきた以上正当防衛だとでも思っておけ。」
「分かったよ。」
「それはともかくこれが冒険者カードだ。職業は霊媒師。いわゆる幽霊や妖怪を相手にした案件の専門職ということにしてある。世界中にこの系統の案件を受ける冒険者は今のところ居ない。おそらく世界中から案件がお前のもとに舞い込むが、冒険者ギルドが扱うものはそう多くない。どう生活するつもりだ?」
「とりあえずはこの町に居を構えて、冒険者ギルドが扱わないような案件を受けていくつもり。怪奇現象の相談所みたいな感じでね。」
「需要はあるだろうな。特に最近はそういう話をよく耳にする。俺の家もそのうちの1つだからな。そういう存在を扱える何者かが意図的に仕組んでいる可能性も考えておくべきだな。」
「頭の隅に入れておくよ。」
「冒険者カードの情報に関しては好きに使ってくれて構わない。商売に有用だろ?」
「そうだね。使わせてもらうよ。見えない問題を解決する以上信用商売だからね。」
「私の貸す物件でもあるし、それだけでもそれなりの信用はあるしきっと大丈夫よ。」
「トウカ姉さんの[鑑定]を知らない人間なんて特にこの町にはいないからな。」
「そんなにトウカさんってすごいの?」
「すごいってもんじゃねぇよ。そもそも冒険者ギルドの土地を買い取って権力を得たかと思えばあっという間に大量の物件を抱えて大地主になっちまった。この町じゃそこらのお偉いさんよりも権力を持ってるってもんだ。」
「そうなんだ。」
「異世界からの来訪者を抱え込んでるのもあるがな。異世界からの来訪者は皆強力なスキルを持ってるものだからな。」
「抱え込んでるって言い方はやめてくれないかしら?私はみんなに自由に生きてもらってるだけよ。」
「とはいえあんたの一声があれば世界中から集まってくるだろ?そういえばアリスの嬢ちゃんもそう、なんだよな?」
「うん。私の持つ力は幽霊とか妖怪にしか力を発揮できないけどね。」
「そうか。とはいえ異世界からの来訪者は久々なんじゃないか?俺も毎回把握してるわけじゃないが前に噂を聞いてから2年は経つだろ?」
「そうね。前はよく来てたんだけど、本当に久々ね。」
「そんなに誰も来なかったの?」
「えぇ。転生する条件を満たす子がいなかったのか、それともみんな転生を拒んだのかはわからないわね。」
「転生する条件?そんなもんがあるのか?」
「それはドリアルちゃんには秘密ね。」
「そうかよ。まぁいい。用件は済んだし俺はもう行くとしよう。何かあればギルドを訪ねてこい。あと、ギルドからの依頼はどこに知らせればいい?」
「お店始めてその場所を知らせに行くまではこの家でお願い。あと、依頼料に関して確認したいんだけど・・・」
「あぁ、専門職となればそれも重要だな。基本的にはギルドが仲裁するのは依頼のみで依頼料に関しては本人間での話になっている。だが、依頼の紹介料としてギルドに依頼料の1割を支払ってもらう。」
「なるほどね。ってことは金額はこっちで決めちゃっていいんだ。」
「そういうことだが、あまり法外な値段はだめだからな。と言っても死傷者が出るような幽霊案件となればそれなりに高額になるだろうが。」
「お店で受ける以来の依頼料とも合わせて考えるとするよ。」
「そうしてくれ。依頼料に関してはそっちに一任する。それじゃ今度こそ帰るからな。」
「うん。いろいろ親切にありがと。」
「仕事なうえにトウカの姉さんの前だからな。それじゃ期待してるからなアリスの嬢ちゃん。」




