第2話 怪奇レポート0-2:生霊との対峙
トウカさんはいろんなことを教えてくれた。この世界に日本人で最初に来たのがトウカさんだってこと、この世界での常識、アキラさんはトウカさんに一目ぼれしてトウカさんの召使的な感じでトウカさんのサポートをしてることまで、本当にいろんなことを教えてくれた。
「アリスちゃんのスキルにかかわることなんだけど、この世界にはゴースト系のモンスターもいるのよね。」
「幽霊とは違うんですか?」
「アリスちゃんの思ってる幽霊がどんな感じかわからないけどほぼおんなじものと考えていいと思うわよ。見て分かるようにこの世界は文明も発展してないし、魔法で文明が発展してるから科学って観点がないのよ。だから説明のつかない現象はたいていが幽霊か妖怪の仕業にされるわ。」
「昔の日本みたいですね。」
「まさにそのとおりね。アリスちゃんはそれが本当に幽霊の仕業かどうか視ることが出来るってわけ。」
「その幽霊を撃退する方法もある。」
「そう。やっぱり生きていくためにお金は必要だし、そういう商売もいいと思うわよ。私これでも物件はいくつか持ってるからやりたいことが決まったら安くで貸してあげるわ。他の町に行こうにもまずはお金がいるもの。頑張って稼ぐのよ。」
「そういえばトウカさんは何をされてるんですか?」
「私?私はさっきも言ったけど、持ってる物件を貸し出してそれで生計を立ててるわ。最初のほうはどうにかお偉いさんに泣きついて[鑑定]のスキルでいろいろ働かせてもらってたんだけど、こうも便利なスキルを持ってると人間関係が面倒になっちゃってね。それでお金も溜めてたし、今は賃貸の貸し出しで生計を立ててるのよ。」
「ってことはこっちに来て結構立つんですか?」
「もうそろそろ10年かしら?」
「そんなになんですか。」
「そうね。そもそもこの世界に日本からの転生者が来るのって久々だったのよ。アキラと私が見つけれてないだけかもしれないけどね。」
「そうなんですか・・・」
「ほかの自殺者がどうなってるかなんて私たちに知る由はないわ。今はこの世界でどう生き抜いていくかを考えるべきよ。」
「そうですね。」
「この世界の常識についてはこれまで話したことで生活には困らないと思うわ。幽霊関連の案件を受けるのなら冒険者ギルドへの登録もしておいたほうがいいと思うわよ。」
「冒険者ギルドですか・・・」
「乗り気じゃない?」
「荒くれが多いイメージがあって・・・」
「実際そうね。まぁ、専門案件しか受けない冒険者もいるにはいるから。登録の時にそう説明して登録してきなさいな。」
「うん。それじゃ今から行って来ようかな。」
「そうね。お昼時は冒険者たちは出払ってて少ないでしょうし、登録なら今のうちがいいでしょうね。」
「うん。いってきます。」
「いってらっしゃい。」
冒険者ギルドはモンスターの襲撃とかに備えるために、戦力になる冒険者たちを住まわせる寮が併設されて町の唯一の入り口の門の目の前に作られてるみたい。
この世界では冒険者ギルドで発行される冒険者カードっていうのが身分証にもなるみたいだから登録して悪いことはないんだよね。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「冒険者登録をしたいんですけど・・・」
「登録ですね。冒険者に関して簡単にご説明させていただきます。冒険者とは街道付近に現れるモンスターの討伐や薬草など素材の採取などを請け負う簡単に言うならば便利屋のような仕事です。街の外でのお仕事が中心ですが、たまに町の中での幽霊騒ぎなどの原因究明のお仕事などもあります。」
「それなんですけど、私戦闘能力自体はなくて、スキルのおかげで幽霊や妖怪に関する案件だけは得意なのでそういう仕事だけを斡旋してもらいたいんです。」
「特定依頼のみでのご登録ですね。それでは専用職のご用意と冒険者登録試験に関してご用意しますので少々お待ちください。」
「はい。」
ってことで10分くらい待たされて、いかついおじさんが出てきた。
「あんたが幽霊関連の案件のみを受けたいって冒険者か?」
「はい。妖怪も大丈夫ですよ。呪いを使ってくる相手ならその限りではないですけど。」
「呪い?まぁ、いい。それじゃ登録試験として俺からの依頼をこなしてもらう。ついてこい。」
冒険者ギルドの外に連れ出されて着いたのはずいぶんと大きな家。こんな場所に幽霊が?
「ここは俺の家だ。最近夜に不可解な現象が発生している。」
「それを解決すればいいってこと?」
「その通りだ。正直俺はこの手の現象が苦手でな。急ぎ解決してもらいたい。」
「そんなガタイいいのになんかかわいい。」
「冒険者たちには秘密にしておいてくれよ。これでもギルドマスターなんだからな。」
「分かってる。現象が起こるのは夜だけ?」
「日中は家にいないからわからないな。」
「なるほどね。この辺って墓地があったりする?」
「墓地はここから10分ほど歩いた場所だな。」
「原因になってる幽霊なり妖怪がいるならそれをどうにかするのは簡単なんだけど、その原因がわからないと再発する可能性があるんだよね。」
「一時的でもいい。登録試験としてはそれだけで十分だ。再発するようなら登録が終わってから改めて依頼しよう。」
「オッケー。それじゃ早速やっちゃおうかな。[怪奇視]」
視界の色が若干くすんだかな?これでできてるのかわからないけど、一旦家を回ってみようかな。
「家の中を案内してもらってもいい?」
「あぁ。」
玄関を開けた瞬間、ものすごい数の幽霊が見える。なんでこんなにいるの!?
「ちょっと待って。玄関の時点でものすごい数の幽霊が見えるんだけど!」
「そんな馬鹿なことがあるか。何も起こってないだろ?」
「この幽霊たち動かないんだよね。何か悪さをしようとしてるような感じがしないっていうか・・・」
「幽霊なんてどれも悪意の塊だろう?」
「どうだろ。僕自身こんなスキルを持ってるけど、幽霊が何なのかって言うことに関して答えを知らないからね。とりあえず家全体を案内して。」
キッチン、リビング、風呂場・・・と順にみていくものの異常な幽霊の数以外は変なことないと思うんだけど・・・・
「使っている部屋ならばここで最後だ。」
寝室だね。一見何もいないように感じるけど、天井からすごい気配だね。
「すごい気配だね。元凶あなた?」
他の幽霊たちとは気配が違う。スキルのおかげでその存在が何なのかなんとなく察することが出来るけど、これは・・・
『オレノこトがミえテイるノカ?』
「うん。まさかこんなスキルをゲットして最初に対峙するのが生霊だなんてね。」
「生霊だと!?」
『ハハハ。オレにハいキリョうニナッテるジカクなドなイガナ。バれタイジョウしカタがナい。キサまカラノロいコロしテヤル。』
「ギルマス、ちょっと黙って下がってみてて。」
「あぁ。」
なんとなく呪われた感覚っていうのも分かるね。いろんな怪奇に触れていくにつれてスキルが強くなったりするのかな?
「[退魔呪詛]」
『グァァァァァ』
生霊が消えてったね。
「とりあえず元凶っぽいのは片づけたよ。」
「本当か?」
「もちろん。今日の夜にでもどうか確認してみてよ。」
帰ろうと寝室から出たら家の中にいた幽霊たちがきれいさっぱり消えてた。全部さっきの生霊が呼び寄せてたとかなのかな?
「結果で判断させてもらう以上、今日はこれで終わりだ。本格的に冒険者として登録することになった場合、専用の職業を用意させてもらう。」
「ありがと。それじゃまた明日くればいい?」
「いや、今回の依頼に関することで聞きたいこともある。俺から出向こう。どこに行けばいい?」
「トウカさんの家って分かる?」
「あぁ。トウカ姉さんには世話になってるからな。ってことはあんたもトウカさんに拾われたってわけか。」
「そういうこと。」
「そうか。とりあえず明日、トウカの姉さんの家に行かせてもらおう。」
「うん。お願い。」




