第1話 怪奇レポート0-1:異世界への転生者
「ここは・・・?」
「お目覚めのようだね、神楽有栖さん。」
「貴方は?」
「君の分かる言葉で表すなら神、かな?」
「神様?」
「そういうことでいいよ。君は死んだの。」
「突然で受け入れられないんだけど。」
「それも仕方ないよね。自分の意識がないうちに自殺しちゃってるんだもん。」
「自殺?」
「そう。君、心霊スポットよく行ってたみたいだね。」
「心霊動画を投稿してその収益で生活してたから、そりゃ・・・」
「お祓いには定期的に行ってたみたいだけど、そのレベルじゃ無理なレベルのを連れてたみたいだね。まぁ、ほとんど呪殺みたいなものだよ。」
「そっか。いつかあるかもしれないとは思ってたけど・・・」
「自殺は基本的に苦しむからね。苦しまずに死ねただけでも御の字、って言っても君は納得できないんじゃない?」
「そりゃ、もっとたくさんの怪異に触れたかったけど、覚悟はしてたから。」
「立派なことだね。そんな君に特別なお話。本来地球で人間が死んだら魂が輪廻を巡って新たな命として生まれるんだけど、君は記憶と魂をそのままに転生させてあげるよ。」
「記憶をそのまま?」
「そう。でも地球でそんなことをしたらいろいろ問題が起きるからほかの世界。モンスターとかいる君たち人間がアニメとか漫画で夢想するような世界に。」
「そんな世界があるんですか!?」
「あるよ。あくまでも引き継がれるのは記憶と魂だけ。肉体は大人の状態で用意してあげるし言語も理解できるようにしておこうかな。あとは自力でどうにかしてね。」
「どうにかって・・・」
「簡単に言うと無一文で町の中に放り込むから。まぁ、君なら生き残れるよ。」
「ほかの魂と同じように生まれ変わるのは・・・」
「無理だね。呪殺とはいえ自ら命を絶った君には2つの選択肢しかない。霊体として地球に残されるか、異世界に転生して新たな生を歩むか。前者はお勧めしないよ。」
「どうして?」
「霊体として地球に残ったっていいことはないからね。特に自ら命を絶った場合、永遠に死の瞬間を繰り返すことになるよ。仮に君が命を絶った建物が無くなって新たな建物が立とうと、更地になろうと関係なく、ね。永遠に苦しみ続けるだけ。」
「そっか。」
「ってことで、異世界への転生でいい?」
「はい!頑張ります!」
「いい返事だね。君は心霊スポットで呪われただけで本来運はいいみたいだしきっとうまくやれると思うよ。それじゃ行ってらっしゃい。」
暗い。路地っぽいけど。
私、本当に異世界に?大通り歩いてみて分かったけど、どっちかっていうと昔の日本の家の雰囲気なんだけど。それこそ江戸とかそのくらいの雰囲気かな?
「そこの人、ちょっといいか?」
「私?」
「そう、あんただ。ここではなんだ。場所を変えたいがいいか?」
「いいけど・・・」
怪しいけど、ほかに伝手もないしついて行ってみるしかないよね。お金もないし。
「立派なおうちですね。」
「家というよりは拠点です。アキラ、そのお嬢さんは?」
「転生者のようでしたのでお連れしました。」
「そうですか。お嬢さん、こちらに座ってください。アキラは先ほどのお使いを済ませてきてください。」
「はい。」
アキラって呼ばれた人はまた外に出てった。残されたのは優しそうなお姉さんと私だけ。
「さて、私はトウカといいます。あなたの名前は?」
「有栖、神楽有栖です。」
「アリスちゃんね。いい名前ね。あなたはどこまで知ってるのかしら?」
「どこまでって?」
「この世界ではあの街並みが普通なのよ。だから物珍しそうに見てる子って転生者くらいなの。日本からの転生者だから神様が配慮してくださってると私は考えているわ。」
「ってことはトウカさんも?」
「えぇ。さっきあなたを連れてきてくれたアキラもそうよ。他にも何人かいるけれど、今この街にいるのはあなたを含めて私たち3人だけね。みんな自由に生きてるからね。」
「そうなんですか。私は知らないうちに死んでて神様にこの世界に転生させてもらいました。」
「知らないうちに?ここに転生してくる子たちは自分で命を絶った子だけのはずだけど?」
「私、心霊動画を投稿してその収益で生活してたんですけど、知らないうちに霊に呪われちゃって意識がないうちに自殺しちゃったらしいんですよ。」
「壮絶な人生を歩んできたのね。神様はスキルに関して何か言ってたかしら?」
「スキル?」
「やっぱり説明してないのね。私の時は説明してくれたのだけど、私以降に転生してきた子には説明してないみたいなのよね。多分私が教えれるって思ってるんでしょうけど。」
「どういうことですか?」
「この世界にはスキルを持つ人がいるの。あなたってアニメとかは見てた?」
「あんまり見てないですけど、アニメとかで出てくるスキルのイメージならわかります。」
「そう。そのイメージでいいわ。日本から転生してくる子にはみんなスキルが1つ与えられてるのよ。日本で使えなかっただけで、もともとスキルを持ってて、この世界に来るときにももらって2つのスキルをもってこの世界に来た子も1人だけいたけどね。」
「そうなんですか。」
「スキルはその人の好きなことだったり趣味に関するものなことが多いけれど、あなたの場合どうなるかしらね。私は[鑑定]のスキルをもらったからあなたのスキルを視てあげる。」
スキルって本当に異世界ファンタジーものって感じがするね。でも風景があまりにも和風すぎて違和感がすごいかも。
「面白いわね。」
「分かりました?」
「えぇ。アリスちゃんは日本に生まれた時点で1つスキルを持ってたみたいね。2つのスキルを持ってるわ。」
「どんなのですか?」
「1つは[怪奇視]っていうスキル。スキルを発動させれば幽霊とか妖怪とかそういうものを視ることが出来るようになるみたいね。」
「めっちゃいいじゃないですか。で、もう1つは?」
「[退魔呪詛]ってスキルね。幽霊とか妖怪を呪うことが出来るスキルね。」
「呪われるじゃなくて?」
「えぇ。呪い返すってほうが正しいかしら?呪いのエネルギーを持つ相手を呪うことで打ち消しあって相手のエネルギーが消耗しちゃうでしょうね。」
「逆に私が呪われたら?」
「それは問題ないわね。というより、自分が呪われた時こそ真価を発揮しそうよ。」
「どういうことですか?」
「このスキルは呪いに対する反撃の力も持ってるのよ。だから自分が呪われたより後にスキルを一度でも発動したら呪った本人が呪われちゃうってことね。スキルの効果は呪いをかけられてでもない限り人間とか動物には効果がないみたいね。」
「そうなんですか。」
「よし!スキルも分かったことだし、話はいったん終わり。私もお手伝いできることはするけど、基本的にはアリスちゃんの好きに生きていいからね。」
「はい。」
「といってもこの世界に関して何もわからないわよね。明日から少しずつ教えてあげるわね。」
「そこまでしてもらっていいんですか?」
「同じ転生者なんだもの。私が見つけてあげれなかった子は悲惨な運命にあった子もいたみたいだし、私が見つけてあげた子だけでも幸せでいてほしいのよ。」




