第24話 怪奇レポート4-8 大貴族を呪うゴースト
翌朝、ギルドに行くとすぐに転移魔法の使い手が来て依頼者の大貴族様のお屋敷前まで転送してくれた。
「貴殿が冒険者ギルドから紹介されたアリス殿であるな?」
「はい。アリス・カグラと申します。」
「うむ。私はカキュヤ様の近衛騎士筆頭のトリアスという。今回の件において貴殿の護衛を任されている。よろしく頼む。」
「こちらこそお願いします。」
「さっそくだが、カキュヤ様とラブ様がお待ちだ。ついてきてくれ。」
お屋敷の中はラパン様の別荘とは比にならないほど豪勢で広いみたい。[怪奇視]で視てる感じ変なところはないように見えるけど・・・
「こちらだ。カキュヤ様、ラブ様、冒険者ギルドより紹介の冒険者殿をお連れしました。」
「入ってくれたまえ。」
「失礼いたします。」
「失礼します。」
「貴殿がアリス殿だね?とりあえず座って楽にしてくれたまえ。」
「えぇ。楽になさってください。」
「失礼いたします。」
「まずは自己紹介だ。私はこの辺り一帯を治める大貴族のカキュヤ・リーゼだ。一応はこの国の王族の血を引いている。」
「私はラブ・ゼッヘと申しますわ。私もここから離れた場所ではありますが、それなりの領を任されており、王族の血を引く大貴族の1人ですわ。」
「アリス・カグラと申します。異世界からの来訪者であり、幽霊、妖怪、精霊といった目に見えないものを見ることが出来るスキル、それらの存在や自身を呪った相手を呪殺することが出来るスキルを所持しています。」
「聞いていた情報と同じだな。ラパンからも聞いてはいるだろうが改めて感謝を。ヘルオール殿からの依頼を大事なくこなしてくれたこと、深く感謝する。」
「私からも王に代わり感謝をお伝えさせていただきますわ。王も感謝されておりましたわ。」
「もったいないお言葉でございます。私は依頼を完遂するという当然のことをしたまでですので。」
「そうか。そう言ってもらえるのならその言葉を受け取っておこう。さて、さっそくではあるが、本題に入ろうか。」
「はい。このお屋敷とラブ様の別荘にて何やら起こっているとお聞きしましたが・・・」
「その通りだ。この屋敷では主に花瓶や皿が勝手に動いて割られる事象を確認している。」
「私の別荘では清掃や保管している魔道具の管理に毎日人の出入りがあるのですが、常に人の気配や人によっては足を掴まれたなんて証言も聞いていますわ。」
「お二人とも起こっている現象は違うのですね。それでは今いることですし、カキュヤ様のお屋敷からの調査でよろしいですか?」
「私は構いませんわ。」
「ラブ殿がいいと言っているのだ。お願いしよう。」
「分かりました。それでは主に現象が起こる場所から見させていただきますね。」
「我々も同行させていただこう。いったいどう解決するのかが気になる。」
「わたくしも気になりますわ。」
「もちろん見ていただいていいですが、そう面白いものでもないと思います。」
「そうなのか?」
「はい。私はスキルで怪異を視認できますが、皆様は視認できませんので。」
「そうか。だが、実際に見せてもらいたい。」
「もちろんです。それでは現場を見てもいいですか?」
「あぁ。私が案内しよう。ついてきてくれたまえ。」
カキュヤ様が先導して現場に到着した。
「では視させていただきます。[怪奇視]」
痕跡はうっすらと見えるけど、そこまで強いものじゃないね。花瓶が飾ってある場所にちょこちょこ痕跡がある感じだね。すぐそこの厨房にも痕跡は見られるけど・・・
「アリスさんには今何が見えているのかしら?」
「花瓶のある場所と厨房の一部に幽霊のものと思われる痕跡が見られます。しかし非常に薄いです。おそらくはそれだけ力の弱い幽霊ではないかと。しかしほかに痕跡が残っていないことが気になります。もしかすると逆に力を持つ幽霊が痕跡を極力残さないようにしている可能性も考えられます。」
「痕跡だけからそれだけのことを判別できるのか。」
「痕跡から読み取れるのはあくまでも何がそこにいたのかくらいなことですが、まだ浅いながら経験はありますので・・・」
今のは・・・
「どうかしたのか?」
「いえ。呪いをかけられました。対象は私だけのようですが、これは・・・・」
「大丈夫なのですか?本来呪いというのはかけられれば死へと繋がるものですが・・・」
「私はスキルのおかげで呪いが効きませんので。それよりも呪いをかけた術者がこの屋敷の中に居ません。以前かけられたことがある感覚に近いのでおそらくはゴースト系統の仕業です。ゴースト系であればこの幽霊のような痕跡にも説明が付きます。ゴーストと幽霊の痕跡というのは似ていますので、これだけ薄ければ見分けは付きません。」
「ゴーストだと!物理攻撃も通用せず脅威となるモンスターではないか!」
「それもただのゴーストではないみたいです。以前私が遭遇したゴーストの中にハサミサソリの魂の集合体がゴースト化したものがいたのですが、そのゴーストは私のスキルがなければ魔法使いであっても視認できませんでした。それと同じ魔法使いでも視認不可能な力を持ったゴーストです。場所はおそらくラブ様の別荘かと。」
「偶然かしら?」
「いえ。ゴースト本人かゴーストに主人がいるのであればその主人に何かしらの意図があると考えるのが妥当でしょう。カキュヤ様とラブ様には申し訳ありませんが、こちらのお屋敷でお待ちいただいてもよろしいですか?呪いを扱えるゴーストが相手となるとお二人に万が一のことがあってはいけませんので。」
「そうするのが賢明だろうな。トリアス。護衛とラブ様の別荘までの案内を任せる。」
「かしこまりました。それではアリス殿、ご案内いたします。」
ということでカキュヤ様の近衛騎士と2人、ラブ様の別荘へと向かうことになった。




