第20話 怪奇レポート4-4 ラパンの屋敷
翌朝、冒険者ギルドに行くと今日はギルマスの出迎えがあった。
「今日はお出迎えあるんだ。」
「ラパン様に今日伺うとお伝えしたんだが、場所がラパン様のお住まいになられている場所ではないらしくてな。この地図の通りに行ってくれ。この町の中だ。自分で行けるな?」
「うん。大丈夫だと思う。ってかトウカさんの家の近くの大きいお屋敷?」
「そうだ。あそこはラパン様が所有する別荘だからな。」
「そうだったんだ。」
トウカさんのところでお世話になってる時に見かけてたお屋敷なんだけど、スキルで視ようとなんてしたことなかったかも。
「それじゃ行ってくるよ。終わり次第報告に戻るから対応できるようにしといてね。」
「分かっている。といってもお前に対する依頼の相談がかなり来ていてな。俺も忙しいんだ。」
「私も忙しくなりそうだね。貴族様とかじゃないならギルドで聞き取りとかせずにうちに回してくれていいよ。2人体制で受付してるから。」
今日はシアにはついてきてもらってない。昨日カレンが結構忙しかったみたいだからそっちを手伝ってもらってる。
「そうだな。そうさせてもらう。受付嬢たちにもそう指示しておこう。」
「それじゃ今度こそ行ってくるね。」
「あぁ。ラパン様は寛大なお方だが、くれぐれも無礼の内容にな。」
「分かってるって。昨日だって大丈夫だったでしょ?」
「それもそうだな。」
ってことでラパンって貴族の人の別荘に来てみたわけだけど本当に立派だよね。貴族様のお屋敷って言われると小さく見えちゃうけど、それなりのお金持ちが住んでるって感じ。
「こちらは貴族であらせられるラパン様の別荘でございます。何か御用でしょうか?」
「冒険者ギルドから依頼を受けて参りました、アリス・カグラと申します。」
この騎士すごく丁寧な人だね。騎士ってもっと平民に対してあたりが強いものだと思ってたや。
「失礼いたしました。どうぞお入りください。」
騎士に案内されて、客間に通された。
「初めまして、アリスさん。私はラパン・ナ・ゼッヘという者だ。気軽にラパンと呼んでくれて構わない。」
「お初にお目にかかります。冒険者で霊媒師を専門職としております。アリス・カグラと申します。」
「ご丁寧にどうも。さっそくではあるが本題に入らせていただいてもいいかな?」
「はい。」
「この屋敷が私の別荘だということは聞いているね?」
「はい。ギルドマスターからも先ほどの騎士の方からもお聞きしております。」
「この屋敷の管理のために1週間に1度、清掃をさせていたのだがね、前回の清掃の際に清掃員がかなり深い傷を負ってしまってね。傷口には神聖魔法も効果がなく、現在も治療中なのだよ。命に別状はないから安心してくれたまえ。」
「それはわかりましたが、なぜ私に?」
「もちろん私に対して悪意を抱く者からの攻撃とも考えたのだがね。人間が侵入した痕跡も、魔法を使用した痕跡も見つからなかったとのことだ。どちらも私が抱える最上位の探偵と魔法鑑定師が確認したため間違いはない。」
「それで原因を究明すべく私に、ということですか?」
「えぇ。最近私の領地で話題になっていたあなたのことが気になっていたというのもありますが、実際にこう事件が起こってしまった以上頼らせていただくべきか、と。」
「分かりました。まずは調査から行いますので、その方が負傷した場所を視てもいいですか?」
「もちろんだとも。私も調査の見学をさせていただいてもいいかな?」
「もちろんです。」
「それでは案内しよう。」
案内されたのはキッチン?
「ここですか?」
「あぁ。存分に見てくれたまえ。」
「それでは。[怪奇視]」
痕跡はそこそこあるけど、これは幽霊じゃなくて妖怪かな?
「スキルかい?」
「はい。幽霊や妖怪、精霊といった通常では目に見ることのできない相手やその痕跡を視ることが出来るスキルです。痕跡を見たところ幽霊が原因ではありません。おそらくは妖怪が原因かと。」
「妖怪?」
「この世界では妖と呼ばれるものです。私は異世界から来た者ですので。」
「そうだったのか。それはそうとその妖怪とはどのようなものなのだ?」
「この世界の妖怪は私の元居た世界に存在していたものと同じような存在がいるようでして、例として、私の店では今座敷童子といういたずら好きで幸運を呼び込むと言われている妖怪に依頼の受付をしてもらっています。」
「つまり善の存在だと?」
「そうとも限りません。しかし、今回の件に関しては危害を加えてきているため悪だと言えるでしょう。負傷者を診せていただくことは可能ですか?」
「あぁ。この屋敷で治療できると判断し、この屋敷で治療を行っている。こっちだ。」
ってことで連れてこられたのは寝室かな?
「おそらく口は聞けぬが許してやってくれ。」
口がきけない?
部屋に入ると口元を布で覆った男性がベッドで横になってた。
「彼女は今回の件の調査にきたアリスさんだ。彼が清掃員だ。」
「初めまして。アリス・カグラと申します。傷というのはもしかして・・・」
「あぁ。口元だ。口を広げるかのように口の端から切り裂かれている。」
日本では有名な"アレ"だね。
「今からはいかいいえで答えれる質問をするので、はいなら手を握り締めてください。いいえの場合は手を開いてください。」
手を握ってくれた。はいってことでいいのかな?
「それでは、あなたは口を切り裂かれる直前口元を隠した女性の姿を視ましたか?」
手は握られたまま。
「その女性が口元を見せながらきれいかどうかと聞いてきましたか?」
手は握られたまま。
「貴方はそれをきれいだと思いましたか?」
手が開かれる。そりゃそうだよね。
「でも恐怖心からきれいだと答えましたか?」
手が握られる。まぁ、そういうことだよね。
「その女が妖怪だということか?」
「はい。[怪奇視]でも確認しましたが口元に強い痕跡があります。そしてこの妖怪に私は覚えがありますので。」
「どのような妖怪なのだ?」
「『口裂け女』名前の通り口が大きく裂けた女で、口元を隠したまま近づき、口元を見せながら自身がきれいかどうかを尋ね、きれいと答えれば口裂け女と同じように切り裂かれ、それ以外の意味の答えを返した場合、全身を切り裂かれて殺されるといった話があります。なのでこの方はきれいと答えて正解でした。そうでなければ今頃命はなかったでしょうし。」




