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異世界『怪奇屋』へようこそ  作者: 雲英侑李


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第19話 怪奇レポート4-3 優先順位

『随分な対応をするものじゃの。』


「向こうとしては私が勝手に浄化してその責任追及とかそんな言いがかりで戦争のきっかけを作りたかったんでしょ。かなり偉い人だったみたいだし。」


『人間の考えることとはわからぬものじゃの。』


「ああいう人の考えることは私も分かんないよ。」


ギルドに戻ってきたらすぐにギルマスが来た。


「思ってた数倍は早かったな。奥で話を聞こう。」


ギルマスの部屋に通された。


「それでどうだったんだ?」


「依頼とは言ってるけど、向こうがそれっぽいものを準備して私が勝手に解決したらそれを言いがかりにして戦争でもって考えてたみたい。」


「その様子なら問題はなかったようだな。」


「そうだね。これ依頼料ね。今回の依頼全部終わった後商業組合の分も合わせて渡して。」


「分かった。次の方には明日伺うと話をつけておこう。


「次はどこなの?」


「この町を含む周囲一帯を領地として治める貴族のラパン様だ。冒険者への支援に力を入れられていて、俺も何度かお目通りしたことがあるが、お優しいお方だ。どうも今回の4件の依頼の中では最も深刻なようだ。」


「死人は出てないって話だったよね?」


「あぁ。何が起こったのかは俺も知らない。ラパン様からお話しいただけるとのことだ。」


「分かったよ。それじゃ私はお店で休んでるから何かあったら来てくれれば対応するから。」


まだ暗くはなってないけど、あと2時間もしたらお店を閉める時間だね。


「カレン、ただいま。」


「おかえりなさい。早かったですね。」


「思ってた以上に早く終わってね。依頼者は来た?」


「それが、10件以上・・・」


「思ってたより多いね。」


「そうですね。貴族の方々からの依頼に対応しているため最速で1週間後の調査になるとお伝えしておきました。」


「ありがとね。明日以降のもその対応でお願い。できるだけ早くはするけどあと3件あるし時間はかかると思う。大変かもだけどお願いね。」


「はい。アリスさんこそお気をつけて。」


「うん。ある意味一番大変そうなのは終わったしあとは気楽にいくよ。」


「気をずっと張ってるのも大変ですもんね。」


コンコン


「お客さんかな?」


「すみません。今、大丈夫ですか?」


「大丈夫ですよ。カレンはちょっと休んでていいよ。」


「分かりました。」



ドアを開けて入ってきたのは日本なら中学生か高校生かくらいの女の子だね。


「いらっしゃいませ」


「このお店は幽霊をどうにかしてくれるって言うことで合ってますか?」


「大体はあってるかな。幽霊とか妖怪みたいな目に見えない存在が起こす現象の調査、解決をするお店って感じだね。」


「それでは、私の家の調査と解決をしていただきたくて・・・」


「今ちょっと依頼が立て込んでて、調査に向かえるのが早くても1週間後くらいになりそうで、依頼内容に関しては確認して順番に解決しますが、それでも大丈夫?」


「そんなにかかるんですか?」


「ちょっと貴族様からの依頼がいくつか来ててね。相談は無料だから一旦相談だけでもしてみない?」


「はい。実は家の調査といったんですが、私の母のことで。」


「お母さん?」


「はい。母は墓所の管理をしているのですが、数日前から原因不明の高熱に襲われていまして。お医者様にも診ていただいたのですが、原因がわからない、と。」


「なるほどね。墓所で何かあったんじゃないかってことね。人の命がかかってるなら話は別かな。ちょうどこの後は時間があるし、お母さんとあってもいい?」


「いいんですか?でも、ほかの方は・・・」


「人の命に優先されることはないからね。」


「ありがとうございます!でも、あまりお金がなくて・・・」


「せっかく勇気を出してうちに相談に来てくれたんだしあなたまだ子供でしょ?うちもお店だからタダって訳にはいかないけど、半額以下にしとくよ。銅貨5枚でどう?」


「そんなにお安くしていただいていいんですか?」


「元々が銀貨1枚と銅貨3枚だからね。そんなに安くしたわけじゃないよ。子供料金ってやつだよ。」


「ありがとうございます!」


「それじゃ準備するからお店の前で待っててくれる?」


カレンに店番を任せて店から出た。


「そういえば名前は?」


「リンです。」


「そっか。それじゃリンちゃん、案内お願いね。」


「はい。こっちです。」


連れてこられたおうちはそこそこ立派だね。お金あんまりないって言ってたけどとてもそうは見えないね。


「立派なお家だね。」


「父が遺してくれたものなんです。兵士だったので数年前に戦争で亡くなっていますが。」


「そっか。なんかごめんね。」


「いえ。それよりも母をお願いします。この部屋です。」


「ありがと。そういえばお母さんの名前は?」


「リーンです。お母さん、入るね。」


「おや、リン。その方は?」


本当に随分と苦しそう。


「アリス・カグラです。リンさんに依頼されてこちらに来ました。リーンさんを視させていただくので楽にしていてください。[怪奇視]」


これは取り憑いてる?それにしては痕跡の数が多いような・・・?とりあえず1体は見えてるしサクっとやっちゃおうかな。


「[退魔呪詛]」


消えたけど、やっぱり強い痕跡が残ったまんまだね。直接取り憑いてるのがいなくなったからこれで命の危険はないだろうけど。


「リンさんちょっといいですか?」


「はい。」


外に連れ出して話をする。


「今のリーンさんの状態を見たところまとまった時間をとれない今の状態では完全な解決はできないかな。」


「そんな・・・」


「でも、一番悪さをしていた霊は倒しといたから命に危険が及ぶことはないと思う。しっかり水分と少しで栄養を少しでも取ってもらって。体もかなり楽になるとは思うけど、もし明日の夕方になって楽になってなさそうだったらまた来てくれる?私がいなかったとしてもお店にいるカレンに伝えてくれたら私がお店に戻り次第駆けつけるから。」


「はい。ありがとうございます。これ、お金です。」


「いや、お金は解決してからでいいよ。それはお母さんの看病に使ってあげて。」


「いいんですか?」


「うちの店は解決するまで何日かかろうと依頼料以上の金額は受け取らないって決めてるからね。他の依頼もできるだけ早く終わらせて解決しに来るからそれまで待っててね。」


本当は今すぐにでも解決してあげたいけど、これに関しては墓所そのものに何かしらがありそうだし、遠隔で軽い呪いをかけてるみたいな感じだからすぐに解決とはいかないね。

それはそうと明日のラパンって人からの依頼に備えて今日はもう休も。

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