第14話 怪奇レポート3-2 座敷童子
怪奇現象の話をよく聞くとは言っていたけど、それ以上相談に来る人はいないまま夜になった。
コンコン
「はーい。」
もう店は閉めちゃってるからって律儀にノックするとは。
「きたぞ。」
「それじゃ行こっか。案内お願い。」
ってことで案内されたのは冒険者ギルド付近にある古い一軒家。この世界には集合住宅って概念がないから一軒家なのは当然なんだけど、相当古そう。
「結構昔からある家だね。」
「そうだな。築100年は越えてるって親父から聞いてる。」
「そりゃなにかしら曰くがあってもおかしくなさそうだね。[怪奇視]」
まずは外からの情報を、って思ったんだけど何も見えないね。家の中だけっていうのも不自然な感じがするんだよね。
「外から視た感じは何も見えないね。他の家を視ても大体は他の家にいる幽霊の残滓だったりがあふれたのが視えたりするんだけど、この近辺は逆に浄化されてるんじゃないかってくらい。」
「俺の家の中に集まってるってことか?」
「どうだろ。思い当たる節はあるけど・・・とりあえず入っていい?」
「もちろんだ。俺はどうすればいい?」
「そうだね。そこまで危険でもないと思うし、一緒に入ってきて家の中案内して。結構広いでしょ?」
「そうだな。分かった。」
ってことで案内してもらったんだけど、やっぱり幽霊の痕跡はない。けど、痕跡自体は見えるね。この感じだとこの家が建ってからずっといたんだろうけど・・・
「これで全部だ。」
「痕跡は見えるし、大体何がいるかは分かったよ。隠れてるのか私の前には出てきてくれないけど。」
「何が原因なんだ?」
「これは幽霊じゃなくて妖怪だね。それもこの家が建ってからずっといるんじゃないかな?」
「ってことは親父とかじいちゃんもこの現象に悩まされてたのか?」
「どうだろ?悩んでたのかな?」
痕跡は見えるけど、これまで見た幽霊とかの痕跡みたく悪いものな感じがしない。どっちかっていうといいもの精霊とかそっち系の痕跡に感じる。そういう痕跡を見たことがないからわからないけど。
「ちょっと外に出てもらってもいい?」
「分かった。」
外に出ていくのを待ってその存在に呼びかける。
「私はアリス。妖怪さん私とお話ししない?私はあなたのことを視ることが出来るし、倒しちゃうこともできるけど、そんなことはしないから。」
なんか気配を感じる?廊下のほうから人みたいな気配を強く感じるね。
「本当に妾のことを倒さぬか?」
「ほんとだよ。なるほどね。この家屋根裏があるんだ。どうりで見つからないわけだ。」
「出るのでしばし待つがよい。」
幼い女の子の声だね。古民家で子供、そこから想像できるのは・・・
「妾はシア。妖怪座敷童子よ。」
「さっきも言ったけど、私はアリス。あなたかなりの力を持ってる座敷童子でしょ?私の力を見抜いてすぐに隠れるなんて。」
「おぬしは分かっておらぬようだが、妾たちから見たらおぞましいオーラを放っておるのだ。妖怪やゴースト風情には見えぬだろうがな。」
「そうなんだ。いくつか聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「よいぞ。答えねば殺すと言われても文句は言えぬものよ。」
「そんなことしないから。あなたはいつからここに?」
「今の家主の祖父の代からじゃの。むしろその祖父に憑いてこの家に来たといってもよい。」
「なるほどね。それじゃもう1つ。今の家主があなたを拒絶したらどうする?私にはそれを解決しなきゃいけない義務があるんだけど。」
「そうじゃの。おとなしくおぬしに滅されるとしようかの。」
「この家から離れれないの?」
「離れたところで、じゃ。奴の祖父は妾の存在に感づいておったようでな。それが息子までは引き継がれていたようじゃが。他の人間に憑いて他の家に行ったところですぐにおぬしと再会するであろうよ。」
「それもそうだね。まぁ、一旦家主に聞いてくるよ。シアはちょっと待ってて。」
「うむ。待っておる。」
ってことで外に出て依頼主のところに来た。そういえば名前聞いてなかったね。ちょうどいいし聞いとこうかな。
「お待たせ。ちょっといくつか聞きたいことが。まず戻ってくるときに思い出したんだけど、名前聞いてなかったよね?私も名乗ってなかったし。」
「そういえばそうだな。俺はバッスンだ。」
「私はアリス。それじゃバッスンさん。あなたってかなり運がよかったりしない?」
「そうだな。この家の現象を除けばかなりいいほうだと自覚はしているが。」
「それがね。この家には妖怪が1体いるんだけど、あなたが運がいいのってその子のおかげなんだよね。ちょっといたずら好きだからあなたをおどかすこともあるみたいだけど。」
「幸運が妖怪のおかげ?んなわけあるかよ。」
「事実だよ。『怪奇屋』ひいては冒険者ギルドに登録された霊媒師の職にかけてこれは事実。」
「お、おぅ。そうか。だが、夜寝つきが悪くなるってのも問題でな。」
「それはそうだね。就寝後には起きるようないたずらをしないようお願いしたら?」
「それなら幸運を呼んでくれるのならむしろいてくれて助かるが・・・」
「お願いしてみるよ。ちょっと待ってて。」
ってことで再び家の中。シアはさっきの場所で待っててくれた。
「お待たせ。話してきたよ。」
「その様子では交渉はうまくいったようじゃの。」
「就寝後にいたずらするのはやめてほしいだってさ。」
「それには条件があるのじゃ。」
「条件?」
「奴の就寝中、妾が暇をつぶすための人形やおもちゃを用意させるのじゃ。」
「分かった。そう伝えるよ。多分私はもう戻らないから。」
「分かったのじゃ。ここに来ればいつでも歓迎する故、いつでも妾に会いに来るがよい。おぬし、怪異や妖怪といったものが好きであろう?」
「見抜かれてた?分かった。たまに遊びに来させてもらうよ。」
ってことで家主の元に戻った。




