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異世界『怪奇屋』へようこそ  作者: 雲英侑李


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第11話 怪奇レポート2-5 呪いの痕跡

明朝、ギルドが開く時間にギルドに来た。


「アリスさん、お疲れ様です。」


「うん。もしかしたら昨日来てるかもしれないんだけど、レイオスさんって人が除霊目的で神聖魔法の使い手を探しにくると思うからお手伝いしてあげてくれる?」


「かしこまりました。アリスさんに解決できないんですか?」


「できないこともないんだけど、時間がかかっちゃうし、悪霊ばっかりってわけじゃないから。神聖魔法で浄化してあげたほうがいいかなってね。そのほうが効率的だしね。」


「そうなんですね。神聖魔法の使い手の方にも声をかけておきます。」


「お願い。私は商業組合の依頼の方に行くから。レイオスさん関連でもそうだけど何かあったらうちの店の扉に貼り付けといて。」


「はい。いってらっしゃいませ。」


神聖魔法っていうのはよくある異世界系の神聖魔法のイメージで、神官の魔法なんだけど、この世界和風なせいでお坊さんみたいな見た目の人ばっかりなんだよね。女性の神聖魔法使いってあんまり見ないし、ほんとにお坊さんしか見ないんだよね。

とはいっても雰囲気は西洋風の教会の神官とかが使いそうな神聖魔法って感じかな。浄化の魔法とか回復魔法が基本な感じだからますます見た目とのギャップ感があるんだよね


なんて事考えてたらあっという間に商業組合までついたや。アレスさんはもう待ってるのかな?


「お待ちしておりました。」


「時間より早く来たのにいつから待ってたの?」


「いえ。待っていたというよりは先ほど上の事務所で調べた資料をまとめていたところ建物の前を歩いて向かってきているのが見えまして。それで降りてきたのです。」


「そうだったんだ。じゃあ早速調べたことを聞いてもいい?」


「はい。前提として今回の事件のような広範囲の対象を同時に攻撃できるようなモンスターや人間はもちろんですが見つかりませんでした。その上で霊体化してそのようなことが可能になったと仮定できそうなものを調べてまいりました。」


「で、どんなのがいた?」


「まず、歴史上の人間に関して調べましたが、対象者は1人のみ。切り裂くことに快楽を覚え、切り裂き魔として大量殺人を犯した300年前の大罪人ジャックです。高速で移動し、鎌で人を切り裂いてかなりの人数を殺害したとの記録が残っています。」


「まぁ、歴史もあるし、そんな人も世界中を探したらいるよね。」


「はい。ですが、今回の事件から考えられる人間として挙げられたのは彼のみでした。モンスターとして挙げられるものとしてはそれほどの力を持つとは考えられませんが、ハサミサソリというモンスターが手にハサミ型の刃を持ちます。しかし本体があまりに小さく、夜行性であるにも関わらず日中休んでいる姿を外で見られるため、初心者冒険者ですら負けることはないと言われるほど弱いモンスターです。」


「なるほどね。ハサミサソリはありえるかもね。っていうかそれがありそう。」


「なぜ?」


「ハサミサソリの魂が集まってゴースト化すればかなりの力を持つだろうし、元の性質が切り裂きだから魔法とか呪いじゃなくて物理干渉がメインになっても不自然じゃないでしょ?仮に魔法とか呪いだとしてもそれが結果的に残す影響が切り傷なのは納得できる。ただ、そう断定するには骨折者がいるのがね・・・」


「一部のモンスターが討伐されたのちに大量の魂が集まり、ゴースト化する現象は稀に発生しますが・・・」


「考えても仕方ないね。負傷者と会いたいんだけどいい?」


「わかりました。完治したもので良いですか?」


「いや、私が出向くからまだ治ってない人でお願い。」


「わかりました。商業組合の所有する治療院で個室での療養をさせていますのでご案内します。」


ってことで治療院で骨折した人のうちの1人に会うことができた。


「はじめまして。今回の事件に関しての調査をしています。冒険者ギルドより霊媒師の専門職に任命されているアリス・カグラと言います。」


「俺はレックだ。」


「骨折した瞬間のことについて少し聞いてもいいですか?」


「あぁ。といっても自分でもわかっていなくてな。作業をしていたら急に腕に痛みが走って、周りも怪我人が多くて騒ぎになっていたって感じだ。」


「やっぱりそんな感じですよね。ちょっと見せてもらいますね。[怪奇視]」


え・・・?まさかとは思ってたけど・・・・


「どうしたんだ?」


「いや、まさかとは思ってたんですけど、まさか負傷者の方に痕跡が残ってるなんて。」


「痕跡?」


「私のスキルは幽霊、妖怪、精霊などといった一般的には目に見えないものやそれらが残した痕跡を視ることができるんです。で、現場には一切残っていなかった痕跡があなたの腕には残っているんです。」


感覚でわかる。この痕跡は・・・


「いったいどんな痕跡が?」


「呪いを受けた痕跡です。被害者全員の傷を物理干渉によって起きたものと思っていましたが・・・」


「全員が呪いを受けた、と?あれだけの人数です!どれだけの魔力が必要だと・・・」


「アレスさん病室ですよ。落ち着いてください。」


「すみません取り乱しました。」


「俺としても信じられなんだが。重症は俺含め5人って話だろ?なんで個人差が生まれるんだ?」


「それはわからないですけど、確実に呪いを受けています。アレスさん、治った人何人かともあっていいですか?」


「わかりました。すぐにお呼びします。」


レックに礼を言ってアレスにはすぐに3人集めてもらった。その結果が・・・


「まさか呪いの痕跡が全くないなんて・・・」


「重症者だけなのでしょうか?」


「可能性はあるね。そんなに期間も空いてないし、まだ傷口も完全に消えたわけじゃないから痕跡が全く残らないのはおかしいし。」


「私は魔法に関してしかわかりませんが、魔法で傷をつけた際、どれだけ小さなものでも2週間は痕跡が残ります。」


「呪いも多分そんなものだと思う。こうなってくるともう現地でどうにかするしかないね。ちょっとお願いしたいことあるんだけどいい?」

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