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始まりのメモライズ  作者: 蓮見たくま
第4章 アルスとロメリア~約束~

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第21話 合同訓練⑪


 ティアナの脱落が告げられた直後のこと――何をするでもなく森林の中で立つだけであった〈日輪の獅子(ソルネメア)〉の団員フゥは、左耳に着けられたイヤホン型の記憶装置(メモリア)から手を離すと、こそばゆく疼く右耳へと指を入れた。


「あー、なんかまたひとり減ったみたいだねそっちの団員。急に報告されるの慣れないよね。もうちょい良い音質のが欲しい」


 耳を掻いた指を口元に近づけ、ふっ、と息を吹き付ける。


「で、どうする? この膠着状態。俺も正直打つ手なしだしやることないんだけど」


 フゥの問いかけに対し、目の前で同じようにして立ったままでいる二人の男女が互いに顔を向き合わせた。


「⋯⋯あっちはああ言ってる。レイク、案が欲しい」

「今考えているところッス⋯⋯けど、ティアナっちが脱落したなら悠長なこと言ってられないッスよね」


 表情無く真っすぐにこちらを見つめるルリ。

 彼女からは緊迫した様子は読み取れなかったが、状況が悪化していることはレイクにもわかっていた。


 フゥと対峙してそれなりの時間が経っている。

 だが、戦況は最初からまるで変っていない。互いに距離を取り、何をするでもなく睨みあう膠着状態が続いていた。


 理由は三つ。

 ひとつはルリの能力によって、フゥの行動が制限されているからだ。


 レイクが何気なしに視線を動かせば、辺りには数多くのシャボン玉が浮かんでいる。

 漂うだけで動きの少ないこのシャボン玉がこの場を支配していることにより、フゥはうかつに動けずにいた。


 これだけならば何一つ問題はない。

 寧ろ、レイクたちが有利とも言えただろう。


 だが、問題は二つ目の理由。

 フゥの能力がレイクとルリにとって不利になるものだったことだ。


「厄介な能力ッスね。近づく隙でもあればいいんスけど」


 レイクが槍を構えながらフゥを注視する。

 それに対し、フゥも言い返す。


「お互い様だけどな。俺だってこのシャボン玉に触れたくないし」

「だからのんびり時間稼ぎで十分ってことッスか」

「まぁね。その方が確実に勝てるしな」


 フゥがニヤリと笑う。

 その反応からも、彼がこの戦いを意図的に長引かせようとしていることは明白だった。


 これが最大の理由。

 フゥ自身が積極的に動けばどこかで隙も生まれただろう。だが、彼は端から勝とうとはしていない。時間を掛ける程に事が有利に運ぶことがわかっているのだから。


「やっぱり今すぐにでも勝たなきゃダメッスね」


 レイクが思いつく最悪の展開。

 それはタロットを脱落させたウィルドが合流し、二対二の状況になってしまうこと。


 タロットの実力はレイクも十分に知っている。

 そんな彼女を脱落させたウィルドが戻ってくれば、どう足掻いてもレイクたちに勝機は無い。


「やるしかないッスね。ルリっち、援護は任せるッスよ」

「⋯⋯わかった。任せて」


 ルリが小さく頷く。

 それを見たレイクが手に力を入れ、槍に魔力を流し始めた。


「まぁそうなるよね。お手柔らかに頼むよ」


 戦闘態勢に入ったレイクとルリへと、フゥは両手を伸ばした。


 張り詰める空気。

 それを最初に切り裂いたのはレイクだった。


「行くッス!」


 魔力を流し終えた槍の先端をフゥへと向け走り出す。

 赤く熱された槍の周りに、ユラユラと揺れる陽炎が見える程の距離にレイクが詰めた時、フゥが呟いた。


 「〈繋がる鎖《サークル・オブ・チェイン》〉」


 フゥが大きく広げた両の掌の中から白い鎖が伸びた。


 分厚く、見るからに重量感のある鎖。

 それを無尽蔵に伸ばし続けるフゥが払うように両手を動かすと、まるで鞭のようなしなやかさでレイクへと軌道を変えた。


 向かう鎖の先。

 レイクは槍を勢いよく衝くと、その鎖を弾き返した。


「ぐっ⋯⋯!」


 槍を持つ手に伝わる衝撃。

 痛みと重みから顔を顰めるレイクだったが、鎖の攻撃は止まらない。弾いた方とは逆から横一線に鎖が薙ぎ払われる。


 レイクは槍を器用に回すと、柄を縦に構え鎖を防御しようとするが、余りの勢いに押し負け体が吹き飛ばされた。


「ガハっ」


 背中を木に打ち付け膝をつく。

 背骨が砕けたかと錯覚するような痛みに苦悶するレイクだったが、目の前には既に二本の鎖が追撃していた。


「ん?」


 攻撃をするフゥが僅かに眉をひそめた。


 今まさにレイクへと鎖が到達するその瞬間、割って入るようにして浮かぶ二つのシャボン玉が目に映ったのだ。


 ――マズイ。

 フゥがそう感じた時には、二つの鎖が同時にシャボン玉へと接触していた。


 触れれば簡単に割れてしまうようなシャボン玉。

 だが、フゥの分厚い鎖を受けたシャボン玉は割れることなく確かな弾力で威力を沈みこませると、戻る反発を利用して勢いよく鎖を弾き返した。


 柔らかい弾力性のあるボールに似た感触が伝わると、フゥの鎖はあらぬ方向へと逸れてしまう。


「クソっ」


 思わず舌打ちをしたフゥは鎖を手の中へと引き戻していくが、その隙を逃さないようにレイクが間合いを詰めた。


 十分に呼吸は吸えていない。

 痛みも残っている。

 手に上手く力が込められない。


 だが、ここが最大の好機だ。

 この瞬間を逃せば勝ちの目は薄くなるだろう。


「ここで決めるッス!」

「いーやまだだね!」


 レイクの熱に充てられるようにフゥの声も大きくなる。


 フゥは弾かれた鎖を付近の大木に差し込むと、手元に引き戻す勢いを利用して自身の身体を引っ張り上げていく。だが、


「⋯⋯させない」


 そんなルリの小さな声が聞こえると同時に、フゥの体が突然動きを止めた。


「マジか」


 フゥが驚いたように視線を動かす。

 自身の右手と大木を繋ぐ鎖の中心部。そこはいつの間にか綺麗に切断されており、フゥの手には一部の鎖だけが引き戻されていた。


 両手の武器が使えず、困惑するフゥ。

 そんな彼の傍で浮かぶ記憶装置(メモリア)へとレイクが槍を突き出した。刹那――、


「なっ!?」


 レイクの動きが止まる。

 いや、強制的に止められてしまっていた。全身を鎖で巻かれ、完全に身動きが取れなくなっている。


 何が起きたのか。

 レイクが答えを求めるように鎖の出所を探ると、地面から四本の鎖が伸びていた。


「あーあ、やられた。縛りプレイでいけるかと思ったのになぁ」


 戸惑うレイクを他所に何故だか悔しがるフゥは、掌へと鎖を全て引き戻すと、やる気無く地面を指差した。


「俺の能力はさ、別に掌限定じゃないんだ。本数もな。地面でも岩でも木でも、俺を中心とした一定の範囲からどこでも鎖を伸ばすことができる」

「じゃ、じゃあなんで両手だけしか使ってなかったんスか」

「縛りプレイ。ウィルドが帰ってくるまでに両手鎖二本だけで粘れるかっていう。そっちの方が燃えるじゃん」


 さも当然のように、悪びれる素振りも無くフゥが言い放つ。

 つまり彼にとってこれは勝つことが前提のゲームであり、本気で臨むことなど端から考えてはいなかったのだ。


 その事実に気が付いたレイクは、先ほどの勝機に賭けて立ち向かった自分の行動を悔いた。


「ルリっち⋯⋯」


 レイクがルリへと支援を求めるが、顔だけを何とか動かし振り向いた先で彼女は同じように鎖で巻かれ拘束されていた。


「⋯⋯ごめんレイク。気づいたら地面から生えてた」


 無表情で謝りながら拘束されるルリの体は見えなくなるほどに鎖で巻かれており、もはや指先一つ動かせないような状態だ。


「ぐっ、まだッス。俺が脱出できれば⋯⋯」


 ルリと比べ拘束が甘い。

 油断か、これもわざとなのか。どちらにせよ脱出の可能性があると考えたレイクは勢いよく右手を振り上げた。


 右手に握られたメモリーを振り下ろし、身体に巻かれた鎖を断ち切ろうとする。何度も何度も、刃を鎖に振り降ろすが傷一つ付かない。自由な右手一本を動かすことしかできず、うまく力が入らないとはいえ、まるで歯が立たない状況にレイクの勢いも次第に落ちていく。


「ハァ、ハァ。何でこんなに力が入らないんスか。ハァ、何だか息も、苦しく⋯⋯」

「俺の鎖に触れたらそうなるよ。魔力、体力、精神力。そういったエネルギーを吸収するんだ。死にはしないけど結構シンドイかもな」


 フゥの言葉通り、レイクの力は段々と奪われていく。

 メモリーを握ることもできず手放して動きを止めたレイクは、観念したようにフゥへと言った。


「⋯⋯負けッスね。けどせめて全力で戦ってほしかったッス」

「どうせ俺が勝つしどうでもいいでしょそんなこと。手の内を隠すって意味でも正しいと思うけど。それに、本(・)気(・)で(・)戦(・)っ(・)て(・)な(・)い(・)のはそっちもじゃん」

「え?」


 レイクが驚くように目を見開くと同時に、彼を拘束していた鎖が全て切断された。


 立つ力も無く地面に倒れるレイク。

 そんな彼を一瞥した後で、フゥは奥の方を見た。


「ようやくボス戦か?」


 どこか嬉しそうに笑うフゥの視線の先には、レイクと同じように拘束されていたはずのルリが立っていた。


「⋯⋯レイク傷つけた。お仕置き」


 いつもと同じく感情の籠っていない無機質な言葉。

 だが、この時は何故だか少しだけ低く冷たい、怒りのようなものが感じ取れた。


「やっぱり本気じゃなかったか。いいよ、じゃあステージレベル2ってことで⋯⋯」


 フゥが地面から鎖を出現させながら戦いの開始を宣言しようとした時、腹部に違和感が生まれた。


 視線を落とす。

 そこには先ほどまで距離が離れていたはずのルリの姿。


 彼女はフゥの懐に入ると、右手を彼の丁度臍の辺りにそっと置いていた。


「⋯⋯ボン」

 

 刹那、大きな爆発音と共に砂埃が舞った。


 爆風が草木を揺らし、それに乗って火薬の匂いが広がる。

 突如として発生した爆発にレイクが硬直していると、煙に乗じて白い鎖が飛び出した。


 三本の鎖。

 それらが一瞬にしてルリを包囲するが、彼女の表情はやはり変わらない。右手を上に向けて開き、口元に近づけると、優しく息を吹きかける。


 ルリの手から大小それぞれのシャボン玉が生成されると、自身を囲う鎖へと一斉に解き放たれた。


 鎖とシャボン玉。

 ぶつかり合いパンっ、と弾けるようにシャボン玉が割れると、いとも簡単に鎖が切断された。


「⋯⋯脆い。こんなものじゃ縛れない」


 ルリがバラバラとなった鎖を手で拾い、投げ捨てる。


「⋯⋯もっとがんばらないと痛い目見る」

「本気で言ってる? 俺にこんなことしといてさ」


 完全に砂埃が消えると、鎖が伸びてきた方向にひとつの影が浮かび上がった。


 顔に小さな傷を幾つも作り、服の一部を焦がし、右手で腹部を押さえるフゥの姿。彼は苦しそうに膝を付くと、信じられないといった顔でルリを見た。


「合同訓練だろこれ。殺そうとするのは違うじゃん」


 そこで今まで戦闘を見ていたレイクが気が付く。

 フゥが手で押さえる腹部から、血が流れ出している。それも少量ではない。既に彼の右手は真っ赤に染まり、流れ落ちた血は真下の草花の色までもを変えていた。


「何やってるんスか!? ルリ!!」


 動けずにいたレイクが声を荒げる。


 だが、奥に立つルリからは返事がない。

 温度の無い表情で、ただ目の前の敵を見つめていた。


 普段から表情の変わらない彼女ではあったが、それともまた違った掴みようのない危うさが感じられた。


「あーあ、クソ。油断してゲームオーバーなんて俺らしくないってのに⋯⋯」


 痛みに歯を食いしばるフゥは、傷口を押さえる手に力を込める。


 手首から出現する鎖。

 手を完全に覆い、未だ血の止まらない腹部へと押し付けられた鎖が柔らかい光を放ち始めた。


 時間にして数秒の事だったが、次第に光は弱まっていき、完全に消えると同時にフゥは鎖を己の肉体へと収め、手をそっと傷口から離した。


 服が焼けこげ肌が露わになった腹部は多少変色を起こしてはいたものの、血は止まり、痛みも少しずつではあるが引いていくようだった。


「これであんたらから吸収したエネルギーも全部使っちまった。MPゼロってやつ」


 軽口を叩きながら立ち上がるフゥだったが、完全に回復していないのは明らかだった。


 足はふらつき、汗は滝のように零れ落ちる。

 強がりながらも余裕を装う表情も、いつ苦悶に歪んでもおかしくはない。


 このような状態で戦うなど、到底無理な話だった。


 当然、ルリも相手の状態には気が付いている。

 気が付いているにも関わらず、冷たく言い放つ。


「⋯⋯もう終わり? 期待外れ」

「ハハッ⋯⋯よく言う。ただの訓練で殺意向けてきた癖に。でも、俺こう見えて超負けず嫌いでさ。どんなゲームでも自分から白旗を上げたことはねェんだよ」


 息を吹き返したようにフゥの声に生気が宿る。


 地面からは複数本の鎖が高く昇り、曲がる先端全てがルリを捉えていた。


「舐めプで負けてちゃゲーマーの名折れだろ。いいよ、そっちがその気ならとことんやろうぜ」


 倒れるレイクの耳にも聞こえる程、荒々しく痛みの含まれた息を吐き出しながらも、フゥの瞳には力が宿っていく。


 ここから先は訓練では済まない。

 確かな悪い予感がレイクに走った。


「やめ、るッス。二人とも⋯⋯!」


 レイクが声を振り絞るが二人には届かない。

 ルリも再び戦闘態勢に入り、両の手からシャボン玉を生成していく。


 それを警戒するようにフゥは一歩だけ身を引くと、辺りに浮かぶシャボン玉へと目を配る。


(アイツのシャボン玉は触れた時に効果を発揮する。恐らく効果は三つ。1.弾性。2.斬撃。3.爆破。最初はそれぞれのシャボン玉に効果が付与されていて、能力者だけが把握していると思ったが多分違う。切り替えだ。効果は全てのシャボン玉に適応される)


 ひとつひとつを攻略するように、フゥは最速で脳を回し思考を巡らせていく。


 フゥの憶測は当たっていた。

 ルリの能力〈幻想の光(ファンタジア)〉は、生み出したシャボン玉に三つの効果を付与し、物質に触れることで発動される。


 ただし、シャボン玉に付与された効果は能力者であるルリの意志によって切り替わり、その効果は場に浮かぶ全てのシャボン玉に適応されていた。


(爆破の前の瞬間移動は恐らく弾性が付与されたシャボン玉を自身で踏み込み、その反発を利用していた。そんで潜り込んで爆発させたが、手からシャボン玉を作った時、違和感があった。あれは弾性の効果。腹に当たる感触でそう判断したのに、次の瞬間には爆発していた。つまりあの時点では弾性が付与されていた。なぜ? わざわざ弾性から爆破に切り替えるラグがあった? 答えは⋯⋯最後に移動で使った効果が弾性だったからだ)


 刹那の思考。

 フゥの脳は先ほどまでの混乱と痛みを忘れるようにして、どんどんと加速して回り出す。


(その後に鎖三本で決死の攻撃をしたが全て斬撃の効果で阻まれた。バラバラになった鎖。完全に消滅する前にいくつかの破片が別のシャボン玉に触れた。その全てに斬撃が付与されていた。その時に確信した。アイツの能力は切り替えでかつ全てのシャボン玉に適応されると。材料は少ないけど賭けるしかない。これが正しければ出し抜ける)


 フゥは一度目を閉じ、大きく息を吐きだした。


 答えは出した。

 作戦も決まった。

 手加減は必要ない。

 たとえ相手を殺すことになっても、敗北だけは許されない。


 ゆっくりと目を開けたフゥは両手を前に伸ばした。


「さて、コンテニューといこうか!」

「⋯⋯望むところ」


 フゥとルリの殺意がぶつかり合う。

 今まさに二人の攻撃が繰り出されるその瞬間、空中に浮かんでいた全てのシャボン玉が同時に破裂した。


「⋯⋯!」


 驚くルリ。

 その隙を逃さないように、ひとつの影が彼女の背後を取った。


「悪いが、僕の関わる訓練で勝手をさせるわけにはいかない」


 声に反応し、ルリが咄嗟に振り向く。

 だが、それよりも早くに彼女の首に強い打撃が与えられた。


「⋯⋯ぅ」


 小さく声を漏らしたルリの意識は一瞬にして刈り取られ、彼女は力なく前屈みに倒れた。


「ルリっち⋯⋯」


 倒れて気絶するルリを心配するレイクへと、彼女を気絶させた男が歩み寄る。


 男は一度疲れたように眼鏡の位置を直した後で、レイクを無視して彼の傍に落ちている記憶装置(メモリア)へと手を伸ばした。


「合同訓練だということを忘れたのか。フゥ、お前もだ」

「いやぁ、ごめんってウィルド。でも俺だって殺されかけたんだ」

「あぁ知ってる。視てたからな」


 ウィルドは記憶装置(メモリア)を持ち上げる。

 もう片方の手には既にルリの記憶装置(メモリア)も掴まれていた。


「説教は後でだな。さっさと行くぞ」


 ウィルドが両手に掴んでいたそれぞれの記憶装置(メモリア)を離すと同時に、中心から斬られたように亀裂が入る。


 一刀両断された記憶装置(メモリア)がレイクの目の前に落ちると、耳に着けた通信機からリリィの声が響いた。


『——報告。記憶装置(メモリア)の破壊を確認。〈月華の兎(ルナミラージ)〉所属ルリ、及びにレイク。脱落!』


 冷酷な知らせ。

 それを聞いたレイクが悔しそうにウィルドを見上げた。


「完敗ッスね。⋯⋯それと、ルリっちが迷惑をかけて申し訳ないッス」

「あぁ、本当にな。何が理由にしろ、ディザイアに所属するならこんなふざけたことは二度としないように注意しておけ。あぁ、それと⋯⋯」


 ウィルドが何かを言いかけるが、押し黙る。


 ほんの少しだけ考えるようにした後で、ウィルドは頭を振った。


「いや、何でもない。とにかく責任を持て、と伝えておけ」

「⋯⋯? えっと、わかったッス」


 少しだけ違和感の残るレイクだったが、遠ざかっていくウィルドとフゥの姿にただそう返すことしかできなかった。


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