第七章:体育というパズル――体の動かし方を見つける(小1~小3編)
三年生になると、体育の時間も増えてきた。
でも裕太にとって、それは一番苦手な時間だった。
■ 体が思うように動かない
ボールが飛んでくる。
でも、体が動かない。
走ろうとしても、足が止まる。
「……分かってるのに、動けない」
裕太は校庭の端でうつむいた。
■ 真依の気づき
真依は思った。
(やる気がないんじゃない)
(どう動けばいいか分からないんだ)
■ 「ちゃんとやる」をやめる
家に帰ってから、高野が言った。
「裕太、“ちゃんとやる”はやめよう」
「え?」
「一つだけ決める」
■ 例題でやってみる
【例題①:ボールを取る】
「手を前に出す」
それだけ。
裕太はやってみた。
ボールに触れた。
「……当たった」
■ 美佐子ばあちゃんの一言
「ガハハハ!」
「全部やろうとするからダメなのよ!」
「一個だけやりなさい!」
裕太が笑う。
「それならできる」
■ 動きを分ける
次の日。
高野が言った。
「動きを分けよう」
■ 例題②:ボールを取る
① 手を出す
② 目で追う
③ 止まる
「一個ずつやる」
裕太は順番にやってみた。
今度は少しうまくいった。
■ 梅子ばあちゃんの話
梅子が言う。
「現場でもね」
「“できない子”じゃないの」
「“一気にやろうとしてる子”なの」
真依がうなずく。
■ 走るも同じ
【例題③:走る】
「前を見る」
それだけ。
裕太は走った。
前より止まらない。
「……進める」
■ チームが苦手
でも、まだ苦手なものがあった。
それは「みんなでやること」だった。
「いつ動けばいいか分からない」
■ 見る場所を決める
高野が言った。
「全部見なくていい」
「え?」
「一つだけ見る」
■ 例題④
「ボールだけ見る」
それだけ。
裕太は試してみた。
迷わない。
■ はじめて動けた
試合の中で。
ボールが来た。
手を出す。
触れる。
「……できた」
■ 母の気づき
真依は思った。
(この子は運動が苦手なんじゃない)
(やり方が細かすぎなかっただけなんだ)
■ まとめ
裕太は、体育が苦手だった。
でも——
・やることを一つにする
・動きを分ける
・見る場所を決める
これで動けるようになった。
「いい?真依ちゃん」
美佐子が言う。
「運動ってのはね、“センス”じゃないの」
「やり方よ!」
梅子がうなずく。
「できる子はね、“うまい”んじゃないの」
「分けてやってるだけ」
難しい動きは、小さく分ければいい。
分からないときは、一つにすればいい。
裕太は、自分のやり方で、
体を動かせるようになっていった。




