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98話 呪われてるって本当ですか

「……ねぇやっぱりおかしいよ、なんでハイネは目を覚まさないの……?」

 みんなそれぞれやらなきゃいけないことがあるはずなのにその日もみんな当たり前のようにハイネの元を訪れていた。

 そして一番に口を開いたのはユーリ、この一週間一度も弱音を吐かなかったユーリの言葉にそれぞれ保っていた均衡は簡単に崩れ去る。

「……医者も分からないんじゃあお手上げだろう」

「外から見ても特に外傷は無し、中も特にどこもダメージは負ってない、これじゃあ手のつけようがないな」

 シグナとアベルもそれにつられてマイナスなことを口にして暗い表情を浮かべる。

「……やっぱりオレ、ララ様に直談判してイルの奴と話させてもらう」

 これ以上暗い雰囲気はごめんだしこのままになんて出来るわけもない、オレは言いきると座っていた椅子から乱暴に立ち上がる。

「あれだけ尋問されても何も言わないのなら口を開くことはないんじゃないか? それもハイネに関わることならなおのこと、それに会わせてもらえるとは思わないが」

「じゃあこのまま見てろって言うのか、ただ、何もせずに……!」

 シグナの言っていることはもっともだ。

 イルは国の厳しい尋問にも一切口を割らないし、この事件に関わっているとはいえただの一市民にそうそう面会を許してくれる筈もない。

 それでも何もせずにただ見ているだけはもう我慢の限界だった。

「別にそういうことを言ってるんじゃないだろう!」

「もー、朝から何騒いでるのかな、せっかくボクがお見舞いに来たってのに」

 掴み合いの喧嘩になりそうになったその瞬間、男のわりに甘ったるいその声が部屋に響き、一瞬、上がっていたボルテージがぐっと下がっていくのを感じた。

「……アニ」

 部屋の入り口のほうを向けばそこにはアニが立っていて、手には杖が握られている。

 多分精神の回復系の魔法を部屋の全域に発動したのだろうということはすぐに分かった。

 さっきまで部屋に張り詰めていた焦燥感を今はあまり感じない。

「ハイネがまだ目を覚ましてないって聞い、て……」

 そのまますたすたとハイネのほうへ歩いてきたアニはハイネを一目見るや黙り込む。

「アニ先輩……? どうかされましたか?」

「いや、目を覚まさないのも納得だなって」

 不安そうに聞き返すユーリにアニは困ったように笑うとたった一言それだけ溢した。

「……何か分かったんですか」

 さっきよりも幾分か落ち着いた頭でオレはアニに聞き返す。

 そうすればアニはさっきとは一変、真面目な様子で口を開いて続けた。

「ボクは精神系の魔法が得意だし、そういうのもちょっと噛ってるから分かるんだけどさ、その子……呪われてるよ、しかもぎっちぎちにね」

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