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99話 一か八かの賭けになるようです

「呪われてるって、どういうことだよ」

 オレは内心の動揺を隠せなくて当たり前のことをアニに詰め寄る。

「読んで字のごとく、そのままの意味さ、しかもこれは相当古い呪いの類いだね、多分、誘拐されてから少しずつ、本人すら気付かないくらいゆっくりと蝕んでいったんだろう、これだけの呪いだからもしかしたら途中から本人も体調に変化は出ていたかもしれないけどね」

 アニの説明には思い当たる節があった。

 あの日再開してからのハイネは普段は絶対にしないようなことをしていたし言葉も正直で、オレは精神面的に弱っているからだろうと判断したけどもしそれが、呪いの影響で弱っていたのだとしたら説明もつく。

「……それは、どうしたら良いんだい?」

「このレベルだと解呪するのもなかなか困難だけど、ボクならやって出来ないことはない、ただ、無理やり呪いを解いてその後どんな副作用が出るかまでは、ボクにも分からない」

 アベルの少し逡巡した後の質問にアニは困ったようにそう返す。

 アニは確かに精神系の魔法が得意だと聞いていたがまさか呪いにまで対応できるとは思っていなかった。

 だからこその一縷の希望と、アニにすら分からないという副作用に皆が考え込むように黙る。

「それでも、そうするしかハイネは起きないんですよね……?」

 そんな中、一番最初に口を開いたのはまたユーリだった。

「……それも分からない、多分深い眠りに落とすための呪いではないからもしかしたら明日にでも起きるかもしれないし1ヶ月、1年経っても目覚めないかもしれない、起きたときに彼女がどうなってるのかも分からない」

「不確定要素ばかりだな」

 アニの説明にシグナは大きくため息を吐く。

「今のご時世呪いなんて使われないだろ、つまりはそういうことだよ、使い勝手は悪いしピーキーなうえ扱いも難しい、だからみんな使わなくなっていったんだ、こんなものに頼るなんて、はっきり言ってお相手様の頭の中を覗いてみたいよ」

 確かに今日日このかた呪いなんて使う奴のほうが少ないだろう、魔法の歴史を辿っていくと魔法が根付くまでは呪いのほうが多用されていたという話は確かハイネから聞いた話だ。

「……やってみてくれよ」

 だけど、アニの説明を聞いた上でもオレは、試して欲しいと思った。

「セリム……」

「このまま放っておいても何も変わらないんだろう、それなら、一縷の望みにオレは賭けたいんだ」

 アベルに窘めるように名前を呼ばれて、オレは自分の気持ちをそのまま吐露する。

 ここで変に気を回したって意味ないし、それじゃあコイツらも納得なんて出来やしない。 

「……私も、セリムの意見に賛成、ハイネは即断即決だからきっともたもたしてたら怒られちゃう」

 そして、ユーリの一言で皆、覚悟は決まったようだった。

「じゃあ今から解呪をするけど、覚悟だけはしておいてね」

 アニは確認するようにこちらに一度視線を巡らせると手に持っていた杖をハイネに向けた。

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