第22話 めがね
私の名は小泉。
元々は爽やか王子、神宮司 大翔のマネージャーをしていて、何故かクビになった男。
そして、何故かすぐにこの事務所に拾われて、つい先日まで陥れようとしていた、柳楽 雄大のマネージャーになった男。
一体、何が起きているのでしょう。
そもそも何故、私はマネージャーとして所属していたフォニーズをクビになったのでしょうか。
言われた通りの完璧な仕事を成し遂げたはずです。爽やか王子が逮捕されたとはいえ、私がクビになる理由にはなりません。
しっかりと、柳楽 雄大の週刊誌砲の第二弾も最高のタイミングで打ち上げました。
あれ?そう言えば、番場さんから、ちょっとの間だけ預かっておいてくれと言われていたあのUSB...はて、どうしたのだったかな。返した記憶がない。
週刊誌の記者に渡したあのUSBデータは私の分だけだったはずだし...。
あれ?いくつ渡したのだったか。
「......」
まぁ、もうクビになった会社のことについてあれこれ考えることほど生産性のない無意味なことはありません。
今は新しい、主である柳楽さんに尽くすのが私の仕事です。
ふむ、そう言えば、先ほどの桐谷さん。
アメリカの女優。キャメロン・セイフライドへのアプローチ方法について、頭を悩まされていましたね。
確か、さすがに日本まで彼女に来てもらえるわけがないし。と言う様なことをおっしゃられていた様子。
ふむ。ネゴシエーションと言えば小泉ありと言われたこの私の出番が早速訪れたようですね。
私がアメリカへ直々に交渉に向かうとしましょう。
実践経験はありませんが、腐っても東大出身の私ですし、英語は苦手ではありません。むしろ得意分野であったと言っても過言ではない。従って、何とかなることは間違いないでしょう。
この会社では彼女の方が先輩ですが、マネージャーとしては私の方が経験は豊富です。まあ、早速一肌脱ぐとしましょうか。
「......」
ふむ。確かあと、唐突に思い出しましたが、柳楽さんのあの神社での行動。どうやら彼は彼女が欲しいと見受けられる。
はい。そこもマネージャーとして、私がしっかりとサポートしてあげましょう。
そう。主を公私ともに支えることのできる者が真のマネージャーというものです。
何だかんだで私はモテますから。
最近なら、そうですねぇ。行きつけのカフェの店員さん、おそらく彼女は私に好意があることでしょう。あの私に向ける笑顔。間違いない。
まぁ、私は歳下には興味がないので、残念ながらNGです。申し訳ない。
「......」
それにしても、この職場。実にエレガントでエクセレントです。
怒鳴り声が全く聞こえてこない。そして、柳楽さん。近くにいてさらに実感しましが、彼は少々、優しすぎますね。
現にまだ私は一度も殴られていません。
「.....」
私は、初めて本物の主に出逢えた気がします。同僚の桐谷さんも優しいですし。
さて、それでは私の実力を皆様に見せつけてあげるとしましょうか。
「.....」
いや、まずは腹ごしらえから始めるとしましょう。




