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第10話 気持ちのいい朝

今日も朝陽がすごく気持ちいい。

俺、柳楽雄大はいつもより早く目覚めたこともあって、今はちょうど近所の道沿いで軽くウォーキングをしているところ。


それにしても何だろうか。最近のこの日々身体が若返っているような感覚は。


最近、意図的にスマホやネットを生活から遠ざけていることも影響しているのだろうか。そうか。これがいわゆるデジタルデトックス。いいね。悪くない。


そしてとりあえず、今日は本当に色々と眩しいく感じる。もちろん、いい意味で。


フッ、俺が出演予定のドラマ、リキッドマンのリスケ後の打ち合わせも無事に来週に決まったし、そのことが、あらためて身体が軽くなっていることの要因の一つであることは間違いないだろう。


一応、監督の過去の作品や、他のSF作品の研究も余念なく続けているところではある。俺の感覚も既にかなり研ぎ澄まされている状態だ。


そう。最高のスタートダッシュを決めるイメージはもうできている。


この機会に、初回の打ち合わせに着ていくための衣装もあらためて新調したところだ。


オーダーメイドで特注したマフィア顔負けのイタリアの高級スーツ。そしてヴィンテージスタイルの渋い帽子。値段はかなり張ったが、プロデューサーにも俺の力の入り具合をしっかりとわかってもらわないといけないからな。


これで、プライべ―トから俺が、プロフェッショナルで、気合いの入った男であることをしっかりと彼らに見せつけてやるつもりだ。第一印象は本当に大事だからな。


桐谷さんにも一度、御披露目をしてみたが、新調した服装のその渋さと格好良さに、まさに言葉を失っていたようだった。つまりは問題なくプロデューサー側にも好印象を残せることは間違いない。


「......」


ただ、そんなことを考えていると、同じくして昨晩、同マネージャーから連絡のあった、つい思い出したくない方の別件を思い出してしまい、俺は肩がじわじわと重くなってきてしまう...。


そう。何故か俺に芸能生活で初めてすぎる種類の仕事が入ってきてしまった...。


そして、もうもったいぶらずに言うと、まさかの俺、柳楽雄大の《《CM出演》》が決定した。


それも、あの有名なアイドルグループ、みやび坂56の花村 凛さんと共演だそうだ。


しかも、内容は『果汁グミ』のCMで二人でダンスを踊るとのこと。


「.....」


はぁ、本当にもうため息が抑えられない。

いや、場合によってはCMが決まったことは喜ばしいことでもあったのかもしれないが、今回のはあまりにも...。

さすがにもうちょっといい設定があっただろうとため息が。


そう。あまりにも色々と雑すぎて、こんなの俺でもすぐにわかってしまった。


そう。このCM出演に関しては間違いなく



()()()()だ。



さすがにわかる。

あまりにもありえないキャスティングすぎるから。


まず、好感度が皆無の俺がCMなんて時点で嘘だし、さらにあんなに透明感のあるトップアイドルと共演、しかも以前に朝の生放送のダンスであんな醜態をさらした上でのこれだろ...。


「......」


これはさすがに俺のことを舐めすぎだ。小学生でもわかるドッキリだ。最近の桐谷さんとの会話でも、らしくもなく影がある感覚を感じた理由がはっきりとわかった...。


これはもう、ドッキリ大成功と書かれた看板がカメラと一緒に入ってくるパターンの演出。無論、花村さんがそこにいるわけもない。


だからもう、もちろんのことだが、こっちの仕事に関しては適当だ。当たり前だ。


こんなにもありえない嘘仕事が自分にきたと信じて、めちゃくちゃ気合の入った感じで挑んでみろ...。


そんなのあまりにもバカすぎて滑稽で本当に目も当てられない。


ただただ、お茶の間のわらい者になって俺のイメージの何もかもが崩れることは不可避。もはや再起不能だ。


そう。さすがに、こんなにもわかりやすいドッキリにひっかかるほど俺はバカでもマヌケでもない。


だから、ちょっとCMドッキリの件については、せめてもの抵抗というか、逆にこっちが色々と一泡ふかせてやることも計画中。


そのせいで、ドッキリがお蔵になったとしても、それはこちらには関係ない。むしろ、こちらとしては願ったりかなったりだ。


まぁ、そもそも俺にこんなくだらないドッキリをしかけようとしてきている側が悪い。自業自得だ。こっちは俳優生命がかかっている。


「......」


でも、それにしても何だろう。


何か、さっきからすれ違いざまに、通学途中であろう女子高生などが、俺のことを頻繁に二度見していく感じがするのは気のせいだろうか...。


いや、何かキャッキャと楽しそうだし、まあ、気のせか。現に俺は、あのぐらいの年代の子たちからの人気が特にないからな。


「....」


本当に、悲しくなるほどに無いからな...

まあ、あの年代に限ったはずでもないが。


それに、変装もしてるしな。


「......」


まあ、とりあえず、このまま朝飯でも行こうかな。


あぁ、ドラマ撮影。楽しみだなぁ。


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