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悪役令嬢という面倒くさい役割、もう捨ててもいいですか? ~妖精たちと辺境ルートを満喫します!~   作者: トロ猫


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領主挨拶

「頭を上げなさい。これは村長のせいではないから。領主邸はこの通り、もう整ったから、気にすることはないわ」

「は、はい……」


 村長は落ち着きなく室内を何度も室内を一瞥しながら、疑問を飲み込む。


「少し順序が違うけれど、私は新たにエルダ地方の領主になったオリビア・ルナヴィル子爵よ。はい、次はあなたの名前をお願いします」

「村長のグレゴリー……です」

「はい。グレゴリー村長。それでは早速、今日にでも村の視察に向かいたいのだけど」

「も、もちろんです。税金分の作物の場所を確保した貯蔵庫もご覧ください」

「そうなの? 分かったわ」


 平民の税金は三割程度だ。田舎の場合、現金ではなく作物を納税する場合が多い。領主はそれを有効活用するか、商会や商人に売り、そのお金で領地の経営をする。平民はそれぞれ代々受け継がれた土地か、新たに別の平民から購入した場所で作物を育てる。街なら商売が多いので、納税は現金が多い。

 旧農奴で緑の民と呼ばれている人たちは、領主の土地を耕し穀物を育てる。税金の割合は多いが多い。だが、奴隷ではないので婚姻など人としての権利はある。

今の王は奴隷制度をなくそうとしているので、農奴から緑の民と呼ばれるようになったが……実質は農奴時代と変わらない。平民になるには武功を上げるか、金貨五枚を収めるかだ。改正前は金貨十枚だったので……ハードルは少し下がったと言える……。

 早速、村長と共にローゲンハイムの視察と挨拶に向かう。今日は大きな荷馬車ではなく、盗賊から没収した荷馬車で村に向かうことにする。

 家を出る前にダンにルルの入った鉢植えを渡される。


(え? ルルも持っていくの?)

(ルルを今一人にできない)

(別にダンは家に残ってくれてもいいのだけど)

(ダメじゃ、小童だけにオリビアどんは任せられない)

(ムキッー)


 ディーネとダンが揉めるのが面倒で、ルルを持って先に荷馬車に乗り村長を待つ。


「私は歩いて――」

「時間がもったいないから却下。早く乗ってちょうだい」

「は、はい……」


 速度おじいちゃんで移動されても、こちらも困る。村長は恐れ多いと結局御者席に乗った。

 初視察、何が待っているか分からないので子供たちは領主邸に待機させた。アントン、マイルズ、それからカルにアルカディアからはザイルとセイが同行した。セイは大きな身体だが、一か月も同行していたわりには印象が薄い。ほぼ言葉を発さないからだろうけど……。

 全員が私と植木鉢を交互に見ながら首を傾げたが、説明が面倒だったので放置した。

 カルに御者を頼み、馬車の中でアントンに村の報告を聞く。


「ルーズ様ですが、どうやら資料よりも多く税を徴収していたかもしれません」

「は? どれくらい?」

「はっきりした数字まで聞けていませんが……税のために準備される予定の作物の量が明かに多いと思います」


 ここ十数年、この地方の税収は変わっていない。三割だ。

 ルーズという男は私が就任直後、こんなに早くやってくると予想していなかったのかもしれない。一応、元父親にはすぐに向かう主を伝えていたのだけど……あの人、嫌がらせで伝えていないとか? あり得るから腹立つ。

 ルーズは、最後の税の徴収としてライ麦の収穫後にやってくるという。ライ麦の収穫は来月、初夏に行われる。新領主は通常夏中旬に領地に向かうことが多いという……その前に収穫をいただきにくるということだろうか?

 私が領地到着するまでその係は代官の仕事だ。だが、私がいる今、丁重におかえり願おう。


「報告をありがとう。二人は他に何か他に気付いたことはあった?」

「村長としか話をしていないので、他はまだ」

「そう。後で実家にも顔をだしてあげなさいね」

「はい」


 アントンが微笑むと、隣のマイルズが手を上げる。


「実は兄の一人に声を掛けられたのですが……もう二人の兄は出稼ぎに出たといっていました」

「それは通常と変わったことなの?」


 兄弟が多ければ出稼ぎに出る者もいる。領民が急激に減るのは困るが、平民はある程度の自由度があり職業も選ぶ権利がある。


「それが、どうやらルーズ様のいる街に二人とも出稼ぎにいったようで……」

「そうなのね――」


 話の途中で、ローゼンハイム村に到着する。マイルズとの話は保留する。

 この村には、記録には二百人住んでいる。

 馬車を降りると、遠目からこちらの様子をうかがう住人たちの視線を感じる。

 村長が村の住人を広場に呼び出す。


「みな、よく聞け。こちらが新しく領主様になった、ルナヴィル子爵様だ」


 特に拍手等はない。別に期待していないけれど!

 領民が村長と同じ怯えを感じるのが気になる。正直、オリビアはつまようじボディのか弱い令嬢にしか見えない。侮るような態度を取られるかもと警戒していたが……怯えられることは想像していなかった。

 ここにいる全員、飢えてはいない。けれど、活気もないように思える。そして、一番気になるのは若い男が少ないことだ。

 手を上げながら言う。


「紹介されたルナヴィル子爵です。まだ若輩者ですが、領地を繁栄させたいと思っています。それは私だけで成しえることはできないので、領民の協力もお願いする予定です」


 数人から悲観的な感情を読み取る。私、何か変なこと言った?

 解散後、村長に村を案内してもらう。

 村の中心に家は集まっていたが、畑を挟んでまばらに建てられた家屋が見える。村でもうひと気になったのは子供が少ないことだ。資料は領民の人数しか書いていないので分からなかったけど、子供が少ないのは困る。


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