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悪役令嬢という面倒くさい役割、もう捨ててもいいですか? ~妖精たちと辺境ルートを満喫します!~   作者: トロ猫


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再生

(ダン、どうしたの?)

(オリビアどん! この魔草を見てくれ! こんな赤い花を咲かせるのはワシの妖精生でも見たことがない。じゃが、死にかけだ)


 どう見ても蔓に咲く薔薇にしか見えないけど、魔草が何かは知っている。ミレーヌ先生がくれた本に載っていた。魔草は危ないものだと人喰い草になる場合もある。けれど、地中にある魔力を帯び時間をかけて成長する植物なので生息地は魔力の強い土地のみだ。魔族領とか……。


(ここは魔族領に近いから育っているの?)

(この暖炉の中に埋まっている土、これに魔力が含まれていたようじゃ。じゃが、その魔力もほぼ尽きている)

(じゃあその花は死んでしまうの?)

(まだ助けられる。ワシの土魔法なら。いいじゃろ?)


 魔草は王都だと登録しないといけないと本に書いてあったけど、田舎に関しては何も書いていなかった。そういうのは領主の采配なのかもしれない。

 ダンが土魔法で作った鉢植えに土を入れ、赤い花を大切に移す。


(分かった。その花を飼っていいけど、ダンがちゃんと面倒みてね)

(オリビアどん! さすがワシの契約者じゃ!)


 ダンが嬉しそうに飛び上がる。

 カルが植木鉢に入った魔草を覗きながら言う。


「綺麗な花だな」

「魔草っていうらしい。知ってる?」

「ああ、昔スープにして食っていた。でも、花が咲いている奴は初めて見た」

「それって美味しいの?」

「魔力が漲る感覚がするな。味は下処理が悪いと不味いな」


 下処理をちゃんとすれば、悪くはないという。少し興味がある。

 カルヴァンは、辺境の森で過ごしていたって言っていた。場所は奴隷商人に捕まったあとほぼ目隠しさせられていたからどこにあるか分からないらしいが、魔草が生えていたなら……それは魔族領なのでは?


「いつか魔草を食べてみたいわね」

(ワシのルルはやらないぞ!)


 ……ダンは赤い花に『ルル』と名付けた。


(それはダンのペットだから食べないわよ)


 そんなことよりも、住居をどうするかだ……。朝になったら、土魔法でリペアしながらせめて住める状況までもっていくか。領民に手伝える人がいたら雇ってもいい。


「今日はまた野営ね……」

(家ならここにあるじゃろ)

(いや、ここはボロボロで今は住めないわよ。ルルもひとまず連れて出ましょう)

(……うむ。ルルとオリビアどんのためには、ちゃんとした住処は必要じゃ)


 ダンが揺れ始めると、茶色と金のオーラが家全体を囲み始めた。


「あ、待って――」


 私の言葉届かず、眩しい光が爆発する。閃光が収まると、石の壁が淡く光りながらゆっくりと巻き戻るように再生していく。

 カルが目を丸くしながら尋ねる。


「妖精なのか?」

「妖精だね……」

「すごいな、妖精……」

「すごいね、妖精……」


 再生は天井まで広がるとあっという間に図書館の部屋を昔の姿に戻した。

 再生された部分は土魔法が使える石造りの部分のみだったので、木製の扉は古びたままだ。

 ディーネが頬を膨らませ、空中で地団駄を踏む。


(ダンばかり活躍してる!)

(ふん、小童にはこんな芸当できないだろう!)

(ディーネだって!)

(ディーネ! 今日のサプライズはこれくらいで十分だから!)


 ディーネが水の爆発なんてことを起こすと困るので、慌てて止める。

 他の部屋も確認しようと図書室を出れば、一階から叫び声が響いた。


「おい! 一体何が起こってやがる!」

「何これ! 何これ!」

「おい、窓に柵がついてでれねぇぞ! 閉じ込められたのか!」


 ああ、そうだった。ザイルたちも家の中にいたんだった。


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