第57話 ボスの演説
俺はマイに帽子を深く被らせて、立ち上がる。
スカイジェリーフィッシュの高度をどんどん下げていく。
「素晴らしい!!」
俺も深くフードを被り直し、そう高らかに言った。
「空に誰かいるぞー!」
ギークのメンバーがそう言って空を指差した。
皆、新たな敵の出現かと身構えている。
「ギークの諸君!城砦の占拠、防衛、反撃、援軍。素晴らしい戦いだった!諸君らを本当に心強く思う。」
「あ、ボスじゃない、あれ?」
杏が目を凝らしてこちらを指差し、驚いた表情をする。
亮も口を開けて呆然と俺をを見ている。
亮程度ではスカイジェリーフィッシュの認識阻害は看破できず、俺が浮いているように見えるだろう。いや、ほとんどのメンバーがそう見えているはずだ。
「ボスってあの人がギークのボスなのか?」「本当にいたんだ、あかりさんがボスなのかと思ってた。」「ほ、本当にあれがギークのボス!?」「す、スゲー!スゲーよ!!」
ギークのメンバー達が騒ぎ始め、やがて騒ぎは歓声となり熱狂となった。
「諸君らの活躍は見ている。きっとこのイベントでもいい結果を残してくれるだろう。そのための手助けを俺からも少しだけ出そう。召喚 リッチ。城砦を拠点にしてイベントを進めるといい。あかり、リッチは城砦防衛に好きに使っていい。」
俺は彼らに報いなければならない。そうすれば彼らはさらに俺のために尽くしてくれるだろう。
これはそのためのショーだ。
この城砦は守るにはかなり大きい。だが、拠点としては最適だろう。
ならば、俺が少し支援してやってもいい。
俺は彼らのボスなのだから。
俺はリッチを召喚してあかりに与えた。
俺が召喚したリッチがゆっくりと落ちていく。
あかり達がはしゃいで喜んでいるのがわかる。
ほかのギークのメンバーも続いて凄まじい歓声を上げる。
「諸君、期待しているよ!」
俺はそう言って、隠密セットのスキルを使って姿を消す。マイも俺のスキルで気配を消させる。
俺はそのままスカイジェリーフィッシュをある場所まで移動して行った。
後ろの城塞からギークのメンバーの喉がはち切れるくらいの歓声がまた巻き起こり空が震えていた。
「すげーな。」
声の大きさに俺はすこしびびる。
「り、リトさん。本当に、本当にギークのボスだったんですか!?」
マイは腰が抜けたようにまだ立ち上がれていない。
「うん、そうだよ。俺がギークのボスだ。」
「ふぇぇっ!?」
マイは驚きのあまり変な声を出す。
「あははっ!」
俺はマイの反応が面白くて笑った。
「今まで無礼を働いてしまい申し訳ありませんでした!!それに!身の程も弁えずイベントにも誘ってしまい…」
今度はいろんなことを思い出したのか土下座して謝り出した。
「全然気にしないで!つーか、土下座はやめて。あぁ、でも、俺の正体を話したら…どうなるかはわかるね?」
俺は顔を近づけて威圧のスキルをかけてそう言った。
「あ…あぁ…」
マイは怯えて震えて声が出ない。
うん、やりすぎたな。
「さて、わかればいいんだ!イベントはギークのメンバーに任せて、俺たちも仕事をしようか!」
「…仕事ですか?」
マイはまだ怯えながらそう聞き返す。
「あぁ、ほら、見えて来たよ。このクラゲ結構速いだろ?」
俺はそう言って前方を指差す。その先には先ほどのドラゴンとワイバーン達が飛行していた。
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