第56話 俺がボスだ
「おっ、なんかすごい集団が城砦に向かってないか?」
そこには50人以上のダンジョンマスター達が真っ直ぐ城砦に向かっていった。
「ほ、ほんとだ…みんな強そう。どこかのチームでしょうか?ここは無理そうですね。違う場所行きますか?」
「おっ、あれ杏と亮じゃないか?」
俺は目を凝らすと先頭にいるのは杏と亮だった。ということは、この集団はギークのメンバーということか?ずいぶん集まったものだ、50人近くいるぞ?
まぁ、杏と亮がくると分かっていてこの城砦に来たのだが。グルチャで杏たちがどこ攻めるか話してたからな。
「あ、あれが幹部の杏さんと亮さんなんですか!?じゃあ、あれって。」
「あぁ、ギークだな。」
俺は頷いて肯定する。
「すごい!こんなにいっぱい!」
マイはギークの戦力に目を輝かせる。
「おっ、到着したな。攻め込むみたいだな。うわぁ、脳死の全軍突撃かよ。ある程度チームを作って固まって動いた方が良くないか?強いやついたらどうするんだよ。」
まぁ、色々思うことはあるが、お手並み拝見だな。
「でも、みんなすごい強いです!あっという間に城砦の至る所で他のダンジョンマスターを倒してますよ!」
「おぉ、本当だな。なかなか強いな。」
「すごい!杏さん、亮さんのモンスターを見てください!すごく強そうです!杏さんはアイアンゴーレムで、亮さんのあれはなんでしょう?でも多分Bランクモンスターですよ!」
敵のモンスターを圧倒している杏と亮のモンスターを見てマイは興奮する。
「あー、ね。そうだな。」
俺は土下座してBランクモンスターの許可をねだってきたこの間の2人を思い出す。
「すごい、あっという間にギークが城砦を占拠しましたね!」
ギークは圧倒的な兵力で城砦をあっという間に制圧した。
「あぁ、それは評価できるな。まぁ、あの2人が優秀というよりはギークのメンバーが優秀だったな。ん?なんか来るな?」
俺はそう言うと正面から何かが急接近してくる気配を感じてスカイジェリーフィッシュの高度を上げていく。
「おぉ、ドラゴンとワイバーンか。なかなか質がいいな。」
向かって来たのはドラゴンを先頭にして編隊を組んだドラゴンとワイバーンで構成されたチームだった。
「や、やばいですよ!リトさん!助けないと!!」
マイはドラゴンの姿を見て慌てる。
「えっ?このスカイジェリーフィッシュで?」
「…でも、このままじゃ。」
マイはドラゴンと自分の乗っているクラゲを見比べた。
「グループチャット見るとあかりが遺跡を制圧したらしい。ここらまぁ、モンスターとか使えば数時間で着ける。城砦は制圧してる。地の利はまだギークが有利だ。もしもあいつらが援軍を要請できれば、数もまだまだ残っている城砦のギークは援軍が来るまで持ち堪えられる。」
さて、この最適解を杏と亮は導き出せるかな?
「じゃ、じゃあ、私すぐにあかりさんに連絡しますね!!」
マイはすぐにアプリを操作し始めた。
「いや、ダメだ。」
俺はメッセージを送ろうとするマイの手を掴んで制止させる。
「えっ?なんでですか?」
マイはポカンという顔をする。
「杏と亮がちゃんと対応できるか見たい。」
ギークも大きくなって来た。これから杏と亮の判断でギークのメンバーがたくさん死ぬかもしれない。これはただのゲームじゃないんだ。
この戦いで評価して、もしも十分な対応をできなければ彼らは幹部としては置けない。
「そんなこと言ってる場合じゃ…」
「おっ、なんか動きがよくなって来たぞ?グループチャット見るとあかりに連絡がいってちゃんと援軍に来るみたいだな。」
どうやらあのドラゴンに乗ってるのは村井と言って、チームはライダースというらしいな。少数精鋭チームか。なかなか素晴らしいチームだな。
「よっ、よかったぁ。」
マイは安堵して息を吐く。
「あのドラゴン達もこの連携した弾幕でなかなか近づけないみたいだな。やるじゃん。」
俺の心配は杞憂に終わり意外にも杏と亮は最良の対応をしたように思えた。
その後、あかりが援軍に駆けつけ、ライダース達は引いていった。
「ほんとによかったですね!それにしてもあかりさんすごい数を連れていますね。」
あかりは100人以上のギークのメンバーを引き連れている。
「あぁ、まぁ、ほとんどのメンバーがあかりに集められたからな。」
マジで今ギークのメンバーは300人を超えているからな。大きくなったもんだ。
でも、立花家コミュニティは5000人以上のダンジョンマスターを抱えているらしい。間違いなく一番大きな組織だろう。
まぁ、全てのダンジョンマスターが戦えるわけではないのだろうがな。
「さ、さっきからリトさん幹部のメンバーに失礼じゃないですか?リトさんにはすごく感謝しています。でも、ギークの幹部の皆さんにそんな風にいうのはよくないと思います。リトさんもギークに助けられたのではないのですか?」
俺の杏と亮の対応を見てマイが俺に不信感を抱いたようだ。
「みんながみんなギークに助けられたわけじゃない。例えば、杏や亮は俺をダンジョンマスター狩りを仕掛けて叩きのめされてダンジョンコアを差し出させた。そのあとも、こき使われている。あかり達は圧倒的な戦力差を見せて脅して無理やり従わせた。」
俺はマイの方を見ずに淡々とそういう。
「えっ?」
マイは戸惑いの声を上げる。
「ギークのほとんどのメンバーはあかりが集めた。俺がそう命令したからだ。」
「ま、待ってくださいそれって、つまり…」
マイは考える。それじゃまるでリトさんがギークの幹部たちよりも偉いみたいじゃ…
「そして、今は命じてもないのに俺のために皆が俺に、ギークに勝利を捧げようとしている。俺はこれに報いなければならない。」
「まさか、貴方が!?」
そしてマイはついに理解する。目の前の男のギークでの地位を。
「俺がギークのボス ダンジョンマスター リトだ。」
俺はそう言ってマイの方を向いてニヤリと口角を上げて笑う。
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