第54話 援軍要請
「おいおい、これはやばいぜ?メンバーこそ無事だが、モンスターが結構やれちまった。」
亮が冷や汗をかいて焦る。
「亮どうする!?ボスにいいところ見せるどころか、このままじゃ私たち死んじゃうよ!」
杏が泣きそうな顔でそう言った。
「わかってる!今考えてるから黙ってろ!!」
亮はイラついてそう怒鳴った。
城に隠れながらなんとかライダースの攻撃をやり過ごしてはいるが、今度は2人が喧嘩をし始めた。
「まずは城砦内に散ったギークのメンバーを統率しましょうや、個人で戦ってても勝てる相手じゃねー。結構やられはしやしたが、まだまだこちらの数が優勢、城砦も占拠できている。地の利も数の利も得ている。」
そんな2人を見かねた悟が冷静に現状を分析する。
「あ、あぁ、そうだな。」
亮も悟の言葉を聞いて冷静さを取り戻した。
「加えていうのであれば、ギークのメンバーはここにいる人たちだけじゃない。グループチャットで援軍を要請すれば援軍も期待できる。とりあえずは、あかりさんに援軍を要請しては?」
悟は続けて次に取るべき手について提案をした。
「あんなやつに助けを求めるですって!?」
杏があかりに助けを求めることに難色を示す。
「なんでいがみ合っているかは、しらねーけどそんなこと言ってる場合じゃないですぜ?まずは援軍が来ることを確約して城砦内のギークメンバーの士気を高めて立て直しましょうや。で、最悪、援軍到着まで籠城に徹すればライダースだって圧倒的な戦力差に諦めますって。それともボスとやらに助けを求めますかい?」
正直ボスがいるのかどうか疑問だった。本当はあかりさんがボスで今幹部の言っているボスはチームをまとめるための偶像なのではないか?悟の中でそんな推測が立っていた。
ボスを知っているのは幹部メンバーだけだ。加えて、ギークを運営しているのはあかりさんだ。
悟は杏にボスという単語を出して少しカマをかけて見た。
「いや、ボスはだめよ!私が使えるってことを示さないと…くぅ、たしかにその通りだわ。仕方ないわね。」
杏は悔しそうに下唇を噛んで、アプリであかりに救援のメッセージを送る。
杏はボスという単語に簡単に反応した。この反応…あかりさんへの反応ではない。ボスはあかりさんではなくて本当にいるのだろうか?明らかに本当にボスがいる反応を示し、若干ではあるが杏の目には恐怖が浮かんでいた。
あかりさんからは、すぐに向かうとの返事が返って来た。
「亮さんはみんなに援軍がくることを伝えてください。」
まずは援軍が来ることを味方に知らせてこの冷え切った士気を回復させることが必要だ。
「ちっ、いいかー!少し耐えればあかりが来る!!ぜってぇあきらめんじゃねーぞ!!」
援軍の知らせに各地で歓声が沸いて一気にギークメンバーの反撃が強くなる。
「あとは、攻撃の手を緩めないようにしてライダースを近づかないようにしてください。ギークのメンバー達自身もスキルをセットして遠距離攻撃を。今は弾数が大事です。」
「わかったわ!」
杏は悟の指示通りに動いた。
杏と亮率いるギークメンバーは怒涛の反撃を見せてライダースを近づけなかった。
「うふふ、これで最後かしら?」
あかりは暗い遺跡の中でダンジョンマスター達を追い詰めていた。
「そんな、俺のチームが…」
「20人規模のチームなんて結構大所帯だったじゃないの?なんてチームだったけ?まぁ、もうなくなるから覚えなくていっか。あははっ、じゃーねー。」
あかりはそう言って、ギークのメンバーに追い詰めたダンジョンマスター達の始末を命じる。
「くそーっ!!うあぁぁ!!!」
ダンジョンマスターの悲鳴が遺跡内に轟いた。
「あかりさん!見てください宝玉がこんなに!!」
ギークのメンバーが遺跡内で見つけた宝玉と敵のチームが持っていた宝玉を持ってくる。その数なんと20個。
あかりは一気にイベントのランキング1位となった。
「あははっ!大漁大漁!さて、次はどこいくかしらね。ん?」
あかりは上機嫌でそう言った。そして、アプリの通知がなって見ると、杏からの救援のメッセージが届いていたのだ。
「へぇ、城砦落としたんだ。でも、村井に攻め込まれていると。まぁ、ドラゴンとライダースには苦戦するよね。村井か、あの時の借りを返してやる!みんな!城砦でライダースに襲われているギークのメンバーを助けにいくよ!」
あかりはすぐにメンバー達にそう呼びかけて遺跡を出た。
「でも、杏ちゃん、私にちゃんと助けを求められるんだ。意外に成長した?私の援軍を待ちながら籠城してるわけでしょ?ちゃんと戦い方わかってんじゃん?」
あかりはペアのセラにそう言った。今回はセラと組んでしのぶは留守番する形となった。
「そうだね、幹部として実感して来てるのかも知らないね!」
あかりはやや懐疑的ではあったが、意外に使えるのかも知れないという可能性も考えだした。
「この間までボスに土下座してモンスターねだってたのに?あんま考えられないけど…」
杏と亮はボスにこの間、幹部に相応しいモンスターを買いたいとアジトでボスに恥を捨てて土下座して懇願してたのを思い出したあかりは、あんな風にははなりたくないと思った。
杏たちは城砦の防衛には成功し、ついにあかり率いる100人以上のギークメンバーが到着して、驚いたライダースはすぐに空へ逃げていった。
「ちっ、村井め、逃げていったわね。あの時の借りを返そうと思ったんだけど。ほんと逃げ足早いんだから。」
あかりはそう言って城砦に入ってきた。
「あ、ありがとう。」
杏は駆けつけてくれたあかりに礼を言った。
「ううん、貴方達の選択は正しいわ。よく援軍を要請して籠城しようと思ったわね。もしかして、思ったより賢い?私も今まで貴方達を馬鹿にしてごめんなさい。」
あかりはそう言って杏と亮に謝った。
杏と亮は目を泳がせて鈍い反応をしている。
そしてちらちらとある男を見ている。
「あー、やっぱりね。やっぱあんた達はいつものままだったわけね。貴方が今回活躍したのね。」
あかりはやっぱりかと落胆してその男の前にいく。
「あかりさん、お久しぶりです。まぁ、彼女たちも精一杯やってましたよ?」
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