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301/305

(301) めっちゃピンチです

◇◇◇ 海上 ◇◇◇

時刻は19時半。

ここは東京湾のどこか。


たぶん。


幸いにもスマホを没収されなかった

のは運がいい。

監視の隙をみて、スマホの電波を

確認するもテンションだだ下がり。

圏外を示してるのだ。

なるほど、スマホがつながらないから

敢えて没収しないのね。


これはマズイことになった。

PMCはオレの位置をスマホと

監視カメラで把握してる。

ということは、

現在オレがどこに居るか不明ってことになる。

しかも、舟を所持していないため

海上での捜索や救助も困難ときた。

PMCが助けに来ない前提で

行動する必要がでてきた訳だ。


オレらはどこに連れていかれるのだろうか。

まさか、こんな小さなボートで

海外に運ばれるってことはないよな。


オレは死んでもいい。

レミだけは守らなければ!

すまない。

オレの軽はずみな行動でキミを

危険な目に遭わせてしまった。


「大丈夫だから、心配しない」


レミに励まの言葉を投げるも

彼女の表情は晴れない。

どう見ても安心させる材料がどこにもない。

根拠のない励ましは逆に不安を(あお)るだけだ。


気付くと海上でひときわ光輝くところへ

向かっていることに気付く。

それが徐々に輪郭がはっきりとし、

3階まである大きなクルーザーで

あることが露わとなる。

どうやらあの船に乗せられそうだ。

大ピンチ。


◇◇◇ クルーザー ◇◇◇

小型ボートはクルーザーの側面に張り付く。

途中逃げ出す方法を模索するも相手は2人。

しかも銃を所持してる。

結果、何も出来ずにいた。


クルーザーには見張りが4人ほどする。

舟の中にも数人の仲間がいるだろう。

となると、一か八かボート内で戦うべきだった。

選択をミスった。


オレらは強制的に乗船させられ、

ボートはUターンして去っていく。

周囲には小型ボートところか

クルーザー以外何も見当たらない。

この場から脱出するには泳ぐしか

手がなさそうだ。


脱出は無理ゲーな気がしてきた。


前後に2人の警備員に挟まれ

一列となってオレらは甲板(かんぱん)を歩かされた。

どこに連れていかれるのだろう。


船内に入ると更に絶望がオレを襲う。

だって、100名ほどの人がトランプやら

サイコロで遊んでいるのだから。

どう見てもこれ、カジノ会場だろう。

それを見てしまったということは、

ここで殺されるか、監禁させられるかの

選択肢しか思い浮かばない。


終わった。詰んだぞ。

オレはどうなってもいい。

レミだ。レミだけは助けたい。

どうにかしてPMCと連絡を取らねば。


そうだ!

幽霊ノノンがいる。

ノノンが現れてくれれば連絡が取れる。

となるとオレがやるべきことは

現在位置を知ることだ。

そうすれば、ノノン経由でPMCが助けに来れる。

よし、希望が見えて来た。

更に胸に手を当てたところ内ポケットに

白川さんの置き土産(みあげ)があることに気付く。

これは大きい。

絶望から光が見えてきた。


神は存在すると確信した瞬間である。


オレらは船内のカジノから1つ下へと

階段で降りる。

船底の地下室って言ったところだろうか。


部屋に入ると体格のいい2人が立っていて

中心にスーツ姿の男がデスクに座っている。

このスーツ野郎が、最高責任者だな。

オレらを誘導した警備員2名は

引き返して部屋を出る。


取り残された、詐欺師、オレ、レミ。

どうなるのか不安だ。

オレは息を飲む。


責任者が詐欺師に向かって口を開く。


「ご無沙汰です。長友さん」


お前、今は長友と名乗ってるのか?

もしかして、オレに使った杉本も偽名か。


その詐欺師は怯えた様子。


「お金の方はもう少し待って

 頂けないでしょうか?」

「待ちましたよ。

 待ちくたびれました。

 期限はとっくに過ぎてます」


お金を借りてるのか?

それともノルマ?


「無いのであれば仕方ありません。

 身体で払ってもらいましょうか」


風俗で働かせる気か?


「その健康的な身体。

 内臓全部売ったら

 お釣りがでるかも知れませんよ」


えぐすぎる。

オレとレミも売られるのか。

頼む、ノノン来てくれ!


「この人なら払えます」


はい?

詐欺師はオレが支払えると御指名する。


「私たちは関係ありません。

 この人から騙し取られた人なんです」


オレの代わりにレミが説明してくれた。


「お(じょう)ちゃんには聞いてないよ。

 アンタ、こいつの肩代わりできるの?」


責任者はオレに詐欺師の負債を

払えるのか求めてる。

とりあえず、値段を聞いておくか。


「いくらでしょう?」

「3億」


3億か。

オレにとっては大した額ではない。

だが、支払ったところで素直に

開放してくれるとは思えない。

特にレミは。

そして、その金は暴力団の資金となり

別の不幸を招く。

自分が助かりたい一心で

払ってはいけないのだ。


ノノンが来るまで時間が稼げればいい。

オレと連絡が途絶えているのだ

気になって表れてくれるはず。


「1日考えさせてくれないか?」

「ダメだ」


「なら3時間」

「考える必要はなかろう。

 選択は1つしかないのだから」


確かに。


「私は3億ものお金を持っていない。

 渡せるとしたら、せいぜい100万程度。

 彼女が詐欺で大金を掴んでいるのを知ってます。

 なんせ知人から5億で絵画を

 騙して買わせたのだから」


いつものデタラメが炸裂する。


「そうなのか?」

「この人は嘘をついてます」


責任者は銃を取り出し、

銃口を彼女の額に当てる。


「その5億。今すぐ渡せ」


ここでオレが割り込む。


「任せてください。

 私が彼女を説得させます。

 もし、うまく行ったら

 私と連れ(レミ)を解放して欲しい」


交渉成立したところで

解放してくれるとは思えないけど。


「いいだろ、ここで説得したまえ」


えっ!

こういう時って、

別室に監禁するんじゃないの?


責任者は銃をテーブルに置いて、

腕組みをする。

さぁ説得してみたまえって姿勢だ。

時間稼ぎをしたいだけなんですが。


「説得が終わるまでの間、オレらは

 彼女さんと別室で楽しませてもらいます」

「きゃっ、触らないで!」


さっきからレミを舐め回して見てた

大男の1人がレミの腕を掴む。

ヤバい、事態が悪化してる。


今回のイラストはボルダリングする堀北さん (AI生成)

こっち向いて。顔が見たい。

挿絵(By みてみん)

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