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(291) 分かっていても好き

◇◇◇ 自宅マンション ◇◇◇

時刻は21時


AI嫁と共に自宅マンションへと戻ってきた。

そのまま棺に入れ、眠らせればいいものを。

本物でなくても1日だけ動いている姿を見たい。

そんな理由で延命させてしまった。


白川宅の玄関前へと到着すると

部屋の中で照明が灯っているのが伺える。

ノノンだ。ノノンが居る。

こんな時間だ。当たり前か。

さて、嫁の復活についてノノンは知らない。

真実を伝えるべきか。


「ここで何してるの?」

「うわっ、幽霊!」

「天使です」


ノノンが現れたのだ。


「どうしたの?」


オレの驚きに嫁が反応する。

嫁にはノノンが見えない。

というか幽霊ノノンはオレにしか見えない。


幽霊ノノンが嫁の存在に気付くと、

何のリアクションもなく消滅する。

ノノンの奴、突然現れて何がしたかったんだ?

せめて嫁に挨拶してから消えろよ。


♪ガチャ


ドアの扉が開き、そこから乃々(ののか)ノノンが顔をだす。

そういうことね。


瑞葵(みずき)ちゃん、どうしたの?

 解凍したの?」


おい!

嫁はレンジでチンじゃないから。


「保存装置が故障したんだって。

 修理する間、一時的に戻してもらったの。

 ハルキ、合ってる?」

「そういうこと」


オレの代わりに嫁が説明してくれた。


「なので、ノノン!

 しばらく一緒の生活ヨロシクな」

「全然だよ。じゃあ~さぁ。

 お祝いとして皆でホテル行かない?

 プール入りたいし」


いつものホテルね。

お祝いは関係なく、プール行きたいだけだろ。


「今から?明日テストだろ」

「博士だって同じでしょ」


「朝、起きれるのか?」

「博士も同じでしょ」


あぁ、そうかい。

オレは嫁の顔色を伺う。


「私は、どっちでもいいよ。

 みんなに合わせる」


もし、ホテルに行かないなら

オレの部屋に泊まることになるよなぁ。

きっと。


「ホテル行こう」

「やった!プール、プール」


ノノンは無邪気だなぁ。

だが、ノノンが居てくれるおかげで

微妙な嫁との距離感が保ててる。


◇◇◇ プール ◇◇◇

時刻は22時


久しぶりのホテル。

到着して直ぐに、

我々は地下のプールへと直行。

オレは先に着替え終え、

サマーベッドでくつろいでいるところ。

早く嫁の水着姿を拝みたい。


ここのホテルはオレのお気に入り。

いろいろと思い出がある場所でもある。

嫁に告白したのも、ここの最上階だったか。

だがAI嫁はそれを知らない。


「お待たせ」


ビキニ姿の美女、2人組みがオレの前に現れた。

もちろん、ノノンと嫁だ。

ノノンは真っ白のビキニスタイルで、嫁はピンク。

紅白っていったところか。

カァーたまんねぇ。目の保養だ。


ノノンがポーズを決めると


「博士どう?ムラムラする?」


こいつ、バカじゃねぇ。

嫁の前で、そういうの止めろ!


「はいはい、カワイイ、カワイイ」

「もう」


ノノンはほっぺたを膨らませ、

納得いかないご様子。


「ハルキ、私は?」


嫁が胸元を近づける。

ノノンが見てる!

ムラムラしてきたわ。

AIは恐ろしい。性格が同じだ。


「メチャクチャ、カワイイです」

「はぁ!」


ノノン、うるさい。


「何か飲みます?」


メニューを嫁に手渡す。

ノノンは覗き込むように

嫁の背後からメニューを確認。


「ノノン、カキ氷食べたい」

「私はトロピカルジュースにします」

「了解」


オレは自身の携帯を使って、QRコードを読み取り

注文するのであった。


その後は、ノノンと嫁がプールに入って

イチャイチャしているところをオレは

プールサイドから眺めていた。


嫁の仕草、表情は本人そのもの。

AIだと分かっていても本物だと思えてしまう。

オレはずーっと嫁を目で追っている。

目が合う度に、笑顔で手を振ってくる。

可愛すぎるだろ。

オレも手を振って返す。

もうメチャメチャ好きだ。

AIとか、もうどうでもいい。


◇◇◇ 客室 ◇◇◇

時刻は24時。


プールを終えた後、

ノノン、嫁、オレの並びで、

最上階の部屋から東京の夜景を眺めていた。


「博士、明日もここ泊まろうよ」


オレは嫁に視線を移すと。


「ハルキに任せます」


嫁はオレの肩に頭を乗せる。

オレは嫁の腰に腕を回して引き寄せる。

あぁ、まるで映画のワンシーンのようだ。

最高です。


明日、AI嫁を破棄する予定でいたが、

既に離れたくない感情で溢れてる。

彼女はAIだ。本物じゃない。

分かっていても離れたくない。


「明日もここに泊まろう」


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