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(289) 過去一の怒りです

◇◇◇ 発着室 ◇◇◇

時刻は14時


学校でのテストを終え、

オレは発着室へと直行した。


カイ、レン、鈴木、ノノンはマックで昼食。

他の部活メンバーは帰宅した。

要するに昨日と同じ。

オレだけが、発着室に来たという訳だ。


♪ピコ


Lineの着信!


Line>まだ?


クルミちゃんからの催促である。

DM、何個目だろうか?

今日はニーナに乗り換える日。

朝からDMが届きまくっている。


勘弁してくれ。


オレが操作しない限り、クルミちゃんは

自由にニーナへ乗り換える事はできない。

それは、セキュリティ的な問題と

オレの知らんところで動きまわれたら困るから。

来週には自由に使わせる予定だが、

節度を持って行動してくれるのだろうか。

深夜に出歩いたりしないよな?

心配だ。


ニーナが保管されている棺の前へと移動。

側面のパネルを操作する。


Line>いつでもOK


♪ウィーン


オレがLineを返すと同時に棺のふたが開く。

オイオイ、どんだけ待ち望んでたんだよ。


ニーナの目が開き、上半身が起き上がる。


「もう、遅いっ!」


第一声が半ギレかよ。

もう、乗り換えさせてやらんぞ。


「朝からずーっと待ってたんだから」


知ってます。

オレだって忙しいんだ。


「今日はハルキなんだね」


呼び捨てかよ。


「あれ!

 ズッキー姉かノノン姉は居ないの?」


急いでここに来たはいいが、

ニーナの遊び相手がいないことに気付く。

勝手に1人でどこかに行くだろうと

考えていたが、まだ15才だったっけ?

さて、どうしよう。


こいつとデートは疲れそう。

しかし、ピンクのジャージが目に痛い。


「とりあえず、着替えてきて」


そう言って、ニーナは仮眠室へと移動する。


さて、この後どうしよう。

マック行って、ノノンにでも相手してもらうか?

レンが嫌がりそうだなぁ。


カイが喜ぶか!

鈴木君もいるし。

この3人は相性がいい。

カイと鈴木君に遊んでもらおう。


オレは携帯を手にして、

Lineアプリを立ち上げると。


♪ウィーン


背後の棺が開く。

振り向くと、それは最愛の妻である

白川の棺であった。


なぜ開く?

誤動作?


なんと驚く事に、白川さんが目覚め

上半身を起こしたではないか。


「うわぁ~」


オレは驚いて腰を抜かし、尻もちをつく。


「ハルキ、どうしたの?」


白川さんはオレの様子を見てクスクスと笑う。

(しゃべ)った。白川さんが喋った。

どういうこと?


オレは携帯で、白川さん本体の

メディカルデータを確認する。

状態は『凍結』のまま。

だよね。

となると中身は別人である。


「ノノンか!ノノンのいたずらか」

「何の話?」


いや、ノノンはありえない。

マックで食事中のはず。

しかも乃々(ののか)から乗り換えるには

ここに来る必要がある。

不可能だ。


「19年後なの?

 この部屋、なにも変わってないね」


仕草や表情、しゃべり方の全てが白川さんだ。

間違いない。

もしかして、本当に復活したのか?


「初めて出会った場所は、どこだっけ?」

「なに急に?」


「いいから答えて」

「この部屋でしょ?」


やはりな。

だれだ、こいつ。

前田の部下か?


「どうしたの?」


クルミちゃんが何ごとかと

着替えながら部屋を飛び出す。


あらまぁ、はしたない。


「あれズッキー姉」

「クルミちゃん、来てたんだね」


ふざけんな!

見ててだんだん怒りが込み上げて来た。

オレの嫁を勝手に使いやがって。


こんな事ができるのは前田しかいない。

事務所行って説教だ。


とりあえず、罰としてクルミちゃんの

相手をしてもらおう。


「白川さん。

 オレ、この後急ぎの用事があるから

 クルミちゃんを遊びに連れてってもらっていい?」


オレの言葉にクルミちゃんが即反応する。


「どこいく?

 クルミ、スカイツリーに行ってみたい」

「そうね。

 あれ?スカイツリーってまだあるの?」


19年後ネタ?

もうバレバレですよ。


「あるに決まってるでしょ。うけるぅ」


白川さんはオレを見つめる。

『可愛い』と思ってしまったオレを殴りたい。


「ハルキ!何時に戻ってくればいい?」


馴れ馴れしく呼ぶな!

白川さんの顔は殴れないじゃないか。

くっそ!

中の奴に出会ったら絶対にぶん殴る。


「じゃぁ、18時で」

「えぇ~」


クルミちゃんが不満気だ。


「門限は20時でしょぉ?」

「分かった。

 20時、マンション前ってことで」


「ハルキ、夕飯はどうする?」

「その時、考えようか」

「そうだね。食べ歩きするかもだし」


たとえ別人でも、その顔、その声だと

ちょっと笑みがこぼれてしまう。

中身が男って可能性もあるよな!

考えるな、考えるなオレ。


「時間がもったいないから早く行こうよ」


クルミちゃんが、白川さんの腕をつかんで

強引に引っ張る。


「クルミちゃん、いっぱい楽しんできなさい」

「言われなくてもだよ」


よし、これで二度と白川さんに

乗り移ろうとは思わんだろう。

接待、頼みましたよ。


そう言って我々は部屋を出る。


◇◇◇ マンション前 ◇◇◇

マンション前にはPMCの車が待機していた。

オレが乗ってきたものだ。


「ハルキと連絡取りたいとき

 どうすればいい?」


白川さんと目が合う。

可愛い。

イヤ、イヤ、イヤ。

そう言えば、2人とも携帯を持ってないんだっけか。


「その時はボディーガードに言って」


オレは、そう言って後部座席を開ける。


「どうぞ!」


中へ入ってとジェスチャーする。


「使っていいの?」

「もちろん」


白川さんの身体に傷をつけるなよ。

傷つけたら、ぶっ殺す。


2人は遠慮なく車に乗り込む。


「行ってらっしゃ!」


オレは笑顔で手を振って見送るのであった。

何をしてるんだ。オレは!


車が見えなくなると拳に力が入る。

前田のやろう。

オレの乙女心を踏みにじりやがって。

今回だけは絶対に許さねぇ。


携帯を手に取り、今から事務所に行くと

前田にメッセージを送り付けるのであった。


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