表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
276/312

(276) 伝説のコンサート

◇◇◇ 武道館 ◇◇◇

「ハイ、ハイ、ハイ」


♪素直な気持ちで、見つめるあなたに

 キラキラハート、あげる


ついにエルピース最後の曲が終わってしまった。

もう、2人で歌う歌声が聞けないと思うと寂しい。


♪ハァ、ハァ

 ありがとうございます。

 2年間のアイドル活動、

 あっという間に駆け抜けました。

♪ハァ、ハァ

 ファンの皆さんに見守られて

 卒業するだなんて幸せです。

♪最高に幸せです。

 この光景を一生忘れません


2人は息を切らしながら、ファンへ話し掛ける。

昨日の疲れが取れてないにも関わらず

1曲目から全力で駆け抜け、

彼女らはやり切ったのである。


♪ではメンバーを呼びますか?

♪みんなぁ、おいでぇ!

 

♪やっほぉ!


アーツのアイドル達が、

一言いいながらステージへと登場する。


♪いやぁ、袖で見てて号泣しました。

♪ドラマ出演、おめでとうございます


昨日と同じ流れだ。

この後は、お客も交えて会場全員で歌って

締めくくることになる。


全メンバーがステージに登場したのを

確認してアイミーが口を開く。


♪次の曲が本当に最後の最後です。


「えぇ~」


♪私も、えぇ~、だよ。

 なんか終わりたくないなぁ

♪長いと思われるよりかは、

 物足りないくらいの方がよくない?


確かにな。

伝説のコンサートになったのだろうか。

なってくれたらいいなぁ。


♪最後の曲名は「支えます4U」です。

 やはり、この曲でしょう

♪だよね。

 湿っぽく終わるのはエルピースらしくない。

 楽しく終わりたいよ。

 準備はいい?


リリカはメンバー全員と目を合わせる。


♪会場の皆さんも、一緒に歌ってください


♪ ♪~♪~


イントロが流れ出す。


「おぉ~お!おぉ~お!」


弾むようなリズム、ビートに合わせて

自然と首が動いてしまう。


♪あなたが掴みたいもの

 私、知ってるよ

 隠れて頑張ってるよね

 私、そういうところ好き


オレ、この歌好きだ。


♪初めて会ったのは公園よね

 一目惚だったの


共感できるというか、

嫁がオレに書いた歌詞なんかじゃないか?

って勘違いしてしまう。

1ミリも関係ないのにね。


最後くらい。

全ての事を忘れて、オレも全力で楽しもう。


・・・


♪私がいるよ

「もっと、もっと」

♪ほら、立って

「ずっと、ずっと」

♪一緒に歩こ?

「もっと、もっと」

♪そうそう、だから好き。


会場全体で合いの手が入り

一体感が生まれる。

とても感動的だ。


そして、ステージ上の

アイドル達が全力で動き回る。


やっぱ生で見るのはいい。

モニター越しでは、この感動は伝わらない。


・・・


ついに曲が終わってしまった。


「エルピース、エルピース」


♪ハァ、ハァ、ハァ

 みんなありがとう。

 私が楽しかったよ


「エルピース、エルピース」


アイミーとリリカを残して

アイドル達はファンに手を

振って退場していく。


♪ハァ、ハァ、ハァ

 ネット配信もあるから。

 帰ったらアーカイブ見てね


「エルピース、エルピース」


最後に残った。

アイミーとリリカは手と手を取り合って

天井高く拳を突き上げる。


「エルピース、エルピース」

♪ありがとうございました。


そして、深く頭を下げる。


「エルピース、エルピース」


♪それじゃあね。

 またどこかで会える日を

 楽しみにしてます


最後の2人も手を振りながら

舞台から消えていく。

ステージ上にはもうだれも居ない。


◇◇◇ ステージ裏 ◇◇◇


アイドルメンバーとスタッフが

舞台出入り口でアイミーとリリカが

戻って来るのを待っている。


♪パチパチ

「お疲れ様」


2人の姿が見えると拍手で出迎える。

見ると2人は汗だくで、肩で息してる。

フラフラ状態だ。

出し切った感じである。

2人は、立ち止まって声を絞り出す。


「スタッフの皆さん。

 ありがとうございました。

 皆さんの力があって

 最高のコンサートになりました」

「一生の思い出になりました」


見かねたスタッフが彼女らが

倒れないよう彼女らを支えるのであった。


「とりあえず、2人を横にして、

 医者に診てもらいましょう」


2人は、ソファーに寝かせられ

医者の診察を受ける。


◇◇◇ メインホール ◇◇◇


コンサートは終了した。

1人、1人とこの場を離れていく。


<<あぁ、楽しかった。

 ノノンは部屋で待ってるね>>


そう言って幽霊ノノンが消える。

挨拶するまで、ノノンの存在を忘れていたわ。


余韻が残り、まだここに居たい

気持ちではあるけれど。


「帰ろうか?」

「ありがとうね」


周囲の視線を気にせず、

嫁はオレに抱き着き耳元でささやく。


「ハルキが演出考えたんでしょ?」


全てではないが、嫁を喜ばせるために

無茶を承知で提案したさ。

形になれてよかった。


「感動しました。

 一生の思い出になりました。

 もう、思い残すことはありません」


そんなこと言うなよ。

嫁が居なくなったらオレは生きていけない。

病気を治してさ、旅行とかコンサートとか、

もっと行こうよ。


「重大発表も驚きました。

 来年、どうなっているか

 見てみたいなぁ」


来年か。

無責任に『見れるよ』とは言えない。


カイたちがオレらを探してる

かも知れない。


「とりあえず、外に出よう」


オレは嫁の手を握り、引っ張る形で

出口へと進むのであった。


◇◇◇ 武道館前 ◇◇◇


外に出て、あらかじめ決めてあった

集合場所に来ると。


「ハル、遅っせぇよ。

 先出たと思って探したんだぜ」

「悪い」


カイと目が合うなり怒られた。

気が短ぇなぁ。

お前らが外出てから数分しか経ってないだろ。


「クルミちゃん、どうだった?

 楽しめました?」


嫁がクルミちゃんに声を掛ける。


「もう、最高だよ。

 なに?あの炎が出たり、

 風景が近未来になったりとか

 凄くない?」

「クルミちゃん、今回のが特別だから。

 こんなの見たいことないよ」

「そうなの?」


レンが割り込んでフォローを入れる。


「オレも思った。青い炎とか凄ぇ」


カイよ!

それ、お前のお父さんが作ったんだよ。


「もっと早く、エルピース知りたかった。

 今日が最後なんて残念過ぎる」

「これからは他のアーティストも

 沢山見ればいい」


オレがサポートするよ。

クルミちゃんに対して負い目があるからね。


「オレもハマったかも。

 アイドルちょっとバカにしてたけど。

 生で見るの全然いい」


興奮しているのはクルミちゃんだけではない。

反応は昨日女子達と同じ。

これからは部活メンバーでライブ巡りも

あるかも知れんな。

言っておくけど、今日のコンサートが

特別なんですけどね。

採算を無視すれば、

こんなのも作れるってことだ。


「帰りながら語ろうぜ」


いつものカイの仕切りが始まったよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ