(273) ラストコンサート①
◇◇◇ 武道館 ◇◇◇
ここは武道館メインホール。
昨日に引き続きコンサートの
2日目が始まろうとしている。
オレの席は、1階アリーナ席。
位置は昨日と同じで、右よりの先頭正面。
カイのグループも1階先頭だが左側面。
オレとカイグループは、お互いギリギリ見えない
位置関係にある。
クルミちゃんは居心地が悪くないといいが。
オレと嫁は隣同士。
椅子に座り、恋人つなぎで立ち上る青い炎を眺めていた。
チケットは完売。
8000人もの観客が今か今かと開演を待ち望んでいる。
そんな中、突然、場内の照明が落ち、薄暗い闇に包まれる。
さぁ、いよいよスタート。
周囲の興奮が伝わってくる。
ステージ中央の2か所にスポットライトが当たり、
アイミーとリリカの立体映像が映し出される。
何も語らずロボットのように微動だにしない。
♪ ♪~♪~~
1曲目のイントロが流れ、会場が総立ちとなる。
そして、ホール全体が明るくなると
♪あなたにキュンキュン
「ハイ、ハイ、ハイハイハイ」
歌い始めると、立体映像だったアイミーとリリカが
本物へとすり替わって動き出す。
まるでマジックを見たかのようだ。
会場は開始早々ボルテージMAX。
掴みはOKだ。
てな具合でオレは観客の反応が気になって
単純に楽しめていない。
嫁の反応は、笑みがこぼれ目が輝いている。
リズムに合わせて肩が上下に振動し、
全力で楽しんでるのが伝わる。
それが見れただけで満足だ。
♪エルピース、ファーストコンサートの始まりで~す
「おぉおぉぉ」
曲の間奏で、リリカによる開演の
始まりが告げられた。
そして、アーツ所属の全アイドルが
バックダンサーとしてステージに登場する。
アイミーも楽しそうだ。
こうしてステージ上の彼女を見てると
知り合いになれたのが不思議で仕方ない。
そして、白川さんと出会わせてくれた。
アイミーには感謝しかない。
3曲が連続で歌われてステージ裏へと下がる。
衣装チェンジである。
MCを務める2人が入れ替えで登場。
百花と藍衣だ。
なんと、仲の悪い2人である。
「ヒューヒュー」
ファンの間では『モモアイ』で親しまれる
仲の良いコンビ。
だからって、この2人をステージに上げるか?
スタッフは何を考えてるんだ。
オレの心臓はバクバクである。
♪みんなぁ!楽しんでますぅ?
「おぉぉ!」
♪今日で2日ですが昨日も来たって人、いますぅ?
7割の観客が手を挙げている。
♪結構いるね。うれしい。
♪遠くから来てる人もいるのかな?
北海道から来たって人!
数人の手が挙がる。
♪いますね。遠くからありがとう。
♪じゃぁ、逆に沖縄から来たって人います?
こちらも数人の手が挙がる。
♪コンサート終わったらどうするの?
今日、日曜日だよ。
帰れないんじゃない?
♪今日はホテルに泊まって。
配信を見るんだよね?
「ハハハ」
2人の息の合った掛け合いが面白い。
本当に仲が悪いのか疑問に思えてくる。
昨日も感じたが、プロって凄いなぁと実感する。
♪海外から来たって人います?
♪いやぁ、流石にいないじゃない?
数人の手が挙がる。
えっ。いるの?
日本国内でも有名でないのに?
グルーバルな時代になったなぁ。
どうやって知ったのか興味が湧く。
今後、海外展開もあるぞ。
1グループをタイのジャパンエキスポに
出場させてみるのもありだな。
♪私のこと知ってます?
・・・
♪知らないらしい
「ハハハ」
海外展開はなしだな。
♪準備ができたってカンペ出てるよ。
♪それマイクで言わないで
「ハハハ」
そう言って、MCの2人はステージを降りる。
いいコンビだな。
『モモアイ』
なるほど、呼ばれる意味を理解したよ。
流石スタッフだ。
オレが口を出さなくてよかった。
Day2はアイミーとリリカのコンサート。
2人がメインに6曲が連続で披露されMCと交代。
◇◇◇ ステージ裏 ◇◇◇
アイミーとリリカがステージ裏に戻ってくると
2人ともフラフラの状態であった。
スタッフの肩を借りないと自力で歩けないほど。
直ぐに彼女らをソファーに寝かせたのである。
全身汗が吹き出し、びしょ濡れである。
空いているアイドル達はうちわで
仰いで身体を冷まさせる。
「大丈夫?」
「はい、少しだけ休ませてください」
スタッフの問いかけに、アイミーが返答するも
どう見ても続けられそうに見えない。
そこへ、待機していた医者が駆けつけ
彼女らの状態を確認する。
演目は前半が終わり、折り返しに入るところ。
あと、半分残っている。
「MCを10分延長するよう伝えて」
チーフスタッフが指示をだす。
「ゲームでつなぎます」
別のスタッフが反応し、その場に居たアイドルに
A4サイズのホワイトボードを3つ手渡して
「準備ができるまで、クイズでもしてきて」
と言い、3人をステージに送り出す。
◇◇◇ メインホール ◇◇◇
♪あれ!何しに来たの?
MCがリハーサルの裏話を話していたところ
3人のアイドルが登場した。
その内の1人に黒髪の子がいる。
おぉ、大食いの子じゃん。
知っている子が現れるとテンションが上がる。
オレはセットリストを把握している。
当然、この時間帯がMCパートであることも。
だが、流石に何をするのかまでは知らない。
だからオレにとって観客として楽しめる
唯一のパートである。
♪なんか。
クイズして来てって言われたから来ました
♪そうなのぉ?
「ハハハ」
2人のMCには、彼女らが出て来る前に
イヤモニから指示が出ていたので把握している。
♪じゃあ。
私が最近ハマっていることを当ててもらおっかなぁ。
ハズレた人は、私物を観客にプレゼントね。
パチパチパチ
観客は盛り上がる。
♪ズルい。
私だけ知らないじゃん、それ。
と話は続き、会場は盛り上がる。
だが、オレは異変に気付く。
MC長すぎない?
もしかして機材トラブルか?




