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(270) 白川さん、二股説

◇◇◇ 渋谷 ◇◇◇

時刻は12時半


ここは渋谷センター街。

多くの人が行き来する路上で、

モデルのような3人娘が立ち話を

している光景が目に止まる。

白川、ノノン、クルミちゃん、だ。

この3人はとにかく目立つ。

彼女らを遠くから眺める者もいれば

チラ見する人もいるくらい。


そんな中、白川はスマホの画面を眺め

12時を過ぎてるのを知る。


「お昼、どうしよっか?

 なに食べたい?」


クルミちゃんに聞いてみるも。

ん~ん。

思考タイムに入る。


「ノノンちゃんは?」

「ノノンはなんでもいいよ」


こちらは即答だが、お任せである。


「お姉さん達、探し物?」


そんな時、チャラい男が現れ

白川に話し掛けるも


「お腹、空いてる?」


居ない存在として扱う。


「なになに、無視する感じ?

 暇だったらさぁ。

 友達連れて来るんで、一緒に遊び行きません?」


3人は無関心である。

するとチャラい男の左右に黒服の男が2人現れた。


「はい?」


チャラい男が黒服に声を掛けようとすると


「ちょっと待った!」


黒服は無言で、男を強引に引っ張り

どこかへ連れ去ってしまった。


娘3人は何事もなかったかのように

会話を続ける。


「ふわふわのパンケーキ食べたい!」


クルミちゃんが思い出しかのように発言。


「ノノンも!

 TikTokで見てて、食べてみたいと思ってた」


「ノノン()ぇも食べたことないの?」

「ないない。

 クルミちゃんが言うまで

 その存在忘れてたよ。

 グッジョブ!」


「近くに専門店があるみたい。

 そこ行ってみる?」


2人が会話している中。

白川は即座にスマホで調べて、

お店を発見したようだ。

そして、メニューを画面に表示させ

2人に見せる。


「こんな感じ」

「そうそう、これこれ。

 美味しそう。ここにしよ!」


ノノンが即決する。


「クルミちゃんも、このお店でいい?」

「ここがいい」


念のためクルミちゃんにも

確認してみるも聞くまでもなかった。


「じゃあ、並んでるかもだから急いで行こう」


◇◇◇ 武道館 ◇◇◇


「エミリとリリカ以外はここで解散。

 あとは、各人で本番まで振りを確認しておくこと」

「はい」


アイドル達の簡易的な確認が一通り終わる。

ほとんどの者が昨日の疲れが取れてない様子だ。


エミリとリリカも同様に疲れが取れてない。

だが、これから音響のチェックが残っている。


「では1曲目から音出ししていきます」

「お願いします」


RSテクノロジー社長の声がホール全体に響く。

彼は、1階観客席の一番後ろの制御エリアに居て、

マイクを使って2人へ指示出しをしていた。


◇◇◇ パンケーキ屋 ◇◇◇


「おいしそう」


♪カシャ、カシャ


目の前のお皿にパンケーキが乗っている。

それをスマホで撮るクルミちゃん。


ここはパンケーキ専門店。

3人は目的のお店へと入店し、

各々が食べたいものを注文。

最初に出来上がったのがクルミちゃんであった。


だが、数秒も待たずして

残り2人にも注文の品が置かれる。


「ノノンも」


♪カシャ、カシャ

♪カシャ、カシャ

♪カシャ、カシャ


3人での撮影会が始まる。


・・・


その後、和気あいあいと世間話を

しながら食事が始まる。


「楽しい。楽しすぎます。

 やっぱ東京っていい。

 クルミ、実家が秋田だったから

 こんなオシャレなお店に

 入るの夢でした」

「ほら、この後コンサートもあるじゃん。

 今日は最高の一日になるんじゃない?」


ノノンが反応する。


「本当だよ。

 コンサート楽しみ過ぎる。

 スクランブル交差点も渡れたし」

「田中さんのおかげだね。

 今日の夜にお礼を言った方がいいよ」


白川からのアドバイスだ。

クルミちゃんが病院に戻るには

発着室に戻る必要がある。

そして、発着室に入るには田中が

マンションを開けてくれないと入れない。

なので、コンサートが終わった後、

マンションで田中と待ち合わせ

することになっている。


「田中さん、喜ぶよ。

 そしたら世界中のどこへでも連れてって

 もらえるようになるから」

「本当!?そうする」


ズッキーの口から田中の名前が

出たことについて

クルミは思ってたことを口にする。


「ズッキー姉ぇ。

 もしかして田中さんのこと、好きでしょ?」

「そう見えます?」


白川の返答が曖昧だ。

バレた?という意味なのか

質問を質問で返したのかが区別つかない。


「なんか。田中さんと喋ってる時の

 ズッキー姉ぇが楽しそうっていうか。

 それって好きってことじゃないの?」

「好き好きオーラ出る?」


白川が更に質問を返すと、

ノノンが割り込む。


「好きっていうか。

 2人付き合ってるんだよ」

「え!付き合ってるんですか?」


「そっ、恋人同士ってやつ」

「きゃぁ~」


赤面するクルミちゃんに白川が動揺する。


「ノノンちゃん、ちょっと止めてよぉ~。

 恥ずかしい」

「でも本当のことでしょ?」


「私は田中さんよりハルキの方が好きだから。

 って、ちょっと変なこと言わせないでよ、もう」


ズッキーの発言を聞いて

クルミちゃんがうろたえる。


「ハルキって誰?もしかして、

 ズッキー姉ぇは二股掛けてるの?」


クルミちゃんの発言を聞いて

ノノンがニヤリと笑みを浮かべ


「そうなの。

 清純そうに見えて意外じゃない?」


悪乗りする。


「ちょっと、誤解すること言わないで」

「あら!自分から言い出したんじゃない」


確かに、田中さんよりハルキの方が好きだ

と意味深な発言したのは白川本人だ。


「そうだけど」


クルミちゃんの頭には?が出ている。

誤解ってなに?

意味が分からない。


「えーっと説明するね」


改めて本人の口から詳細が聞けるようだ。


「田中さんとハルキは同一人物なの」

「あぁ~そういうこと」


それを聞いて、ようやく

クルミちゃんは理解した。


「田中ハルキって名前なのね。納得」


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