表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
268/313

(268) 女子会

◇◇◇ マンション前 ◇◇◇

ここはマンションが立ち並ぶ住宅街。

あるマンションの入り口付近で、

つい2度見してしまうような

女子3名が立ち話をしていた。


1人は背が高くほっそりとしたモデル体型。

へそ出しのミニスカート姿。

そのスタイルに釘付けだ。


2人目は、金髪に染めたサイドポニーテイルの子。

太ももまである大きなパーカーを着て、

靴は膝まである布のようなものをはいている。

絶対領域がたまらん。


最後は、見た目がロシア系の外人。

Tシャツにピンクのミニスカートをはいている。

10代女子の日本風ファッションを

外国人がしてると、ついガン見してしまう。


そう彼女らは、オレの嫁、ノノン、クルミちゃんだ。

嫁に影響されたのか、2人とも服装が攻めてる。

嫁と並んでも違和感がない。


しかし、クルミちゃんが楽しそうに会話してる

のを見るとなんだか微笑ましい。

ノノンとも打ち解けてるようで安心した。


オレらは何をしてるかというと。

PMCの車が到着するのを待っている。


ここの車道は片側1車線で交通量が比較的多い。

長時間車を止めておくことはできないため

乗ってきた車は一旦別の場所で

待機してもらっていた。


オレは、車からオレの姿が確認できるよう

細い歩道の車道寄りに立っていたのである。


そして1分も待たずにPMC車が到着。

オレは後部座席を開け


「来ましたよ。早く乗って!」


と、女子達を呼ぶ。

ノノン、クルミ、嫁の順で乗車し

ドアを閉めると、

後部座席のウインドウが開いて

嫁の顔が姿を現す。


「じゃあ、行って来るね」

「また後で」


オレと嫁の会話を聞いてたノノンが割り込む。


「あれ!博士は行かないの?」

「自分は別件の仕事があるので。

 3人で楽しんできなさい」


一緒に行くか!

嫁と2人ならいいが、

お前ら3人と一緒に歩きたくない。

むしろモニター越しにお前らを見てたいわ。


「またぁ、大人みたいなこと言って」


オレは大人だ!


ということで、女子3人を乗せた車は

渋谷に向かって走り去った。


続けてオレも後から来た別の車に乗り込み、

とあるところへと向かったのである。


◇◇◇ 武道館 ◇◇◇

時刻は午前10時。

私服のアイドル達が続々と

武道館の館内へと入る。


「おはようございます」


スタッフと目が合うと礼儀正しく挨拶をする。

だが、その挨拶に覇気がない。

どうやら昨日の疲れが取れてない様子。


彼女らはみな同じホテルに泊まっている。

向かう時は一緒だが、来るときは皆バラバラ。

仲が良くないというか

仕事仲間って感じなのだろう。

そんな時、エミリとリリカだけは違っている。

一緒に並んで現地入りしたのである。


今日のコンサートが終われば、

エルピースは解散。

アーツとの契約は今日までだ。

同じ事務所に移籍するとは言え、

これからは別々の道を歩んでいく。

一緒にいられる時間は今日しかない。


「おはようございます」

「おはようございます」


やはり昨日の全力が響いている。

作り笑顔が痛々しい。


楽屋に荷物をおいて、

メインホールのステージに、

アイドル達が集合する。

メンバーは昨日と同じ。

横一列に並ぶ。


「スタッフの皆さん。

 今日もよろしくお願いします」


マイクを握るリリカが作業するスタッフ達に

挨拶して深々と頭を下げると


「お願いします」


残りのメンバーは大きな声で

一斉に挨拶するのであった。


しかしアイドル全員に笑顔がない。

明らかに昨日とは異なるテンションだ。


側にいる振付師の先生もそれを悟ってか。


「今日は、出る位置とタイミング。

 立ち位置だけの確認にしましょう」

「はい」


本番、大丈夫なのだろうか。

スタッフ全員に危機感が増す。


◇◇◇ 渋谷 ◇◇◇

白川さん達3人は、渋谷駅前で車から降り、

スクランブル交差点で信号待ちをしている

ところであった。


「本当に沢山の人がいるんだね。

 動画で見たのと同じだ。

 こんなに人がいるの初めて見たよ」


クルミちゃん、1人だけが興奮している。

実は直接お店の前に行くつもりでいたが、

クルミちゃんが

『スクランブル交差点を渡ってみたい』

というので、ここにいる。


信号が青に変わると、信号待ちしてる

周辺の人々が一斉に歩き出す。


「凄い!凄い!」


感動でハシャギまくるクルミちゃん。

彼女の容姿は外国人。

周囲は外国人のよく見る反応に気にも留めない。


「どう、感動する?」


交差点を歩く、クルミちゃんに

ノノンがインタビュー。


「はい。もう死んでもいいです」

「いいの?109に入らなくて。

 コンサートもあるでしょ」

「そうだ。それ見るまで死ねない」


ツッコミを入れる白川さん。

交差点を渡りきり、

ショップ109へ入る直前でのこと。


「キミ達、ちょっといい?」


彼女らの背後から声を掛けられる。

振り向くと、その人物はスーツを着た

50代くらいのオジサンであった。


「私は芸能事務所の者です」


名刺を差し出し、見ると

長友芸能プロダクションと記載されている。

どうやらスカウトマンらしい。


「3人はお友達?」

「そうです。友達です」


警戒する白川さんとノノンを差し置いて

クルミちゃんがときめいた目で答える。


「あなた、日本語喋れるの?」

「日本人です。喋れますよ」


クルミちゃんは自分の容姿を

忘れているようだ。


「あぁ、そうですか。

 3人とも、どこかの事務所に

 所属してたりします?」

「してないす」


クルミちゃんだけ前のめりだ。

ここで白川さんが口を開く。


「すみません。興味ありませんので」


気付くとスカウトマンの左右に

黒服の大男が2人立っていた。

ボディーガードである。


この子らは、ヤクザの女か商品と

勘違いしたのだろうか。

スカウトマンの表情が険しくなり、

足がガクガクと震えだす。


「時間取らせちゃって、ごめんね」


と言いつつ、スカウトマンは彼女らに

背を向け2歩進むと走り去ってしまった。

それを見届けて、ボディーガードも

無言でその場を離れる。


「あれ芸能のスカウトでしょ?

 本当にいるんだね。

 都市伝説だと思ってた」

「信じちゃダメよ。

 偽物もいるんだから」


白川さんが危険性を忠告。


「そうなの?

 名刺に芸能事務所って書いてあったよ。

 本物っぽかったし」

「名刺なんて、その辺のお店で

 簡単に作れちゃうから」


ノノンも白川さんに加勢する。


「えぇ、でも話を聞いて

 みないとわからなくない?」


クルミちゃんの見た目は20才だが

中身は中学生のまま。

しかも田舎から東京に来たばかり、

免疫がないのも無理はない。


「もし芸能界に興味があるなら

 田中さんに相談するといいよ。

 アイドルだって、モデルだって

 なんだってできるから」

「ほんと?」


白川さんの言葉にクルミちゃんがときめく。


「もしあれだったら、

 私から田中さんに伝えておきましょうか」

「私がアイドルになったら

 男性アイドルさんに会えるかな?」


どうやら芸能に興味があるのは

別の理由らしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ