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(266) コンサート初日終了②

◇◇◇ 電車の中 ◇◇◇

現在、オレ達は電車の中。

コンサートが終わり、堀北さん達と合流して

部活のみんなで一緒に帰宅しているところ。


「1曲目からやばくない?」

「テンション上がりまくりだよ」


コンサートが終わってから1時間くらい経つが

みんなの興奮が治まらない。


「私、はまったかも。

 他のアーティストのライブも見たくなった」

「わたしも」


女子5人が輪になって仲良く会話している中、

オレはというと白川さんの後ろに隠れ

女子トークに耳を傾けている。


女子に対する耐久性は身に付いたものの、

まだ会話の中に入って行く勇気がない。

こればかりは一生慣れんだろうな。


オレはその間、アイミーにLineすることに。


ハル>コンサート最高でした。

  最後、会場全体で合唱したのには感動ですよ。

  明日も楽しみにしてます


本当は体調のことを聞きたかったが、

ハルキは知らない設定だ。

後で、スタッフにでも聞いておこう。


アイミー>途中抜けずに、最後まで居たってことは

  私の勝だね


そういえば、そんな勝負をしてたっけか。

よく覚えていたな。

確か、コンサートがつまらなかったら

途中で席を立つと宣言したっけか。

それに対し、最後まで釘付けにしてやると

アイミーが受けて立ったのだ。


ハル>その勝負は明日でしょ?

   明日も楽しみにしております。

   今日は十分休息して身体を休めてください


『決闘だ!』のスタンプが返答される。

オレはちょっとだけ安心している。

コンサートの終わりで、ステージ裏に戻ったとたん

倒れたんじゃないかと想像していたから。

少なくともLineをやる余裕はあるってことだ。


自宅に近づくにつれ、1人、2人と

部活メンバーが抜けていき、

品川駅を降りた時には白川さんとノノン、

オレの3人だけとなる。


◇◇◇ 自宅 ◇◇◇

時刻は23時


ふぅ~。


自宅マンションに到着すると、

オレはシャワー室へと直行する。

その後、荷物を片付けて今に至る。


一息ついたので休憩することに。

一日ってあっという間だなぁ。


ベッドに倒れると急に疲労感が襲って来る。

コンサートって意外と体力を使うことに

今気が付いた。


見ていたこっちがこんなに疲れているのだ。

演者はもっと疲労しているに違いない。


Lineとメールでコンサートスタッフの

状況を確認する。

アイミーとリリカは、コンサート終了後、

1時間楽屋で横になってから、

タクシーでホテルに戻ったそうだ。

かなり疲労はしていたが、意識があったため

病院には行かなかったとのこと。

ここはスタッフを信じ、明日に備えよう。

明日は、2人がメインになる。

他のグループはバックダンサーとなる。


全ての曲が激しい訳ではないが、今日の状況から

演者の誰かが倒れる可能性がある。

明日は、医者と看護婦を用意しておこう。

スタッフにはそれを伝え、医者の手配をする。

休みたいのに意外と休めないでいる。

そんな時。


♪ピンポン


玄関のチャイム?

白川さんが来た!


オレはベッドから飛び起き、

玄関まで小走りで行き、ドアを開ける。

黒のロングコート姿の女性が立っている。

予想通り嫁である。


「来ちゃった」


その上目遣い、カワイイ。


「開いてるから

 勝手に入ってくればいいのに」

「わたし、そんな非常識ではありません」


「そうだった」

「本当にそう思ってます?」


「思ってる思ってる」

「もう」


プク顔もカワイイ。


白川さんが部屋にあがって、

ロングコートを脱ぐと。

いつものパジャマ姿が披露される。

はい、今日もお泊り決定!


「ん!」


恒例のハグしてポーズ。

オレはそれに答え、嫁を強く抱きしめる。


あぁ、シャンプーの香りが癒される。

疲れ切ったオレの身体にマイナスイオンが注入される。

みなぎって来たぁ!


だが、嫁は疲れて居るハズ。

いつもはベッドの側面に寄りかかって

会話しているが、今日はベッドで

横になりながらに決める。

オレは仰向けで横たわり、

嫁は添い寝している。


「明日も楽しみだね?」


嫁は首を縦に振る。

コンサートネタは帰り道で

散々話したので今更話すことはない。


嫁を喜ばせるために、

どれだけ頑張ったのかも話さない。

それは単なるオレの自慢話し

になるだけだから。


コンサート中、終始笑顔だった。

それが見られただけで十分だ。


明日のコンサートが終われば、

次の日は嫁の冷凍保存が待っている。

会話ができなくなるのは、嫌だなぁ。

オレは天井を見ながら、

独り言を言うかのように問い掛ける。


「明後日の冷凍保存だけどさ

 1週間延長しないか?」


正直、冷凍保存から生還できるのか自信がない。


「2人で行きたいところ沢山あるし

 もっと思い出作りたい」


キミの病気を治す治療法が見つかるのか?

もし、永遠に見つからなかったら。


「19年後に、やりたいこと全部

 やるでもいいけどさ」


・・・


白川さんの返答がない。

黙っていられると困るよ。


「こんなに人を好きになったのは

 初めてなんだ。

 今は離れたくない」


かぁ~、なに言ってるんだオレは。

自分で言ってて超恥ずかしいわ。


オレは、嫁の顔を見る。

あれ?

カワイイ寝顔だこと。


横になって1、2分しか

経ってないのに?

嫁は寝てしまっていた。


恥ずかしい言葉が

聞かれてなくてちょっとホッとする。

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