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第38話 バイザー

 「ふーん、それでそんなカワイイ娘が付いて来たんだ?」


 「えっと……その、はい……」


 「当機はイリスァーレ申しまス。不束者ですが末永くご愛用くださりましぇ」


 「そうかい、イリスだったね。ちょっと黙っててくれるかな?今、シオンの躾に忙しいから」


 修羅場。何一つとして悪事を働いていないはずのシオンはニーアに正座をさせられ、痛くも無い腹を探られている真っ最中である。シオンは正直に自分の身に起こった事を話した、イリスに止められている所は僅かにボカしたが。

 

 最初こそ泣き喚かんばかりにニーアはシオンをかいぐり撫でまわしprprせんばかりの勢いであわやこの場所、神殿で事を成し完全にシオンをモノにしようとしたがイリスの姿を目撃し「それより先にやるべき事がある」と方針を転換。事、ここに至る。


 周りを見渡せばフルボッコのミーロ一味がウンウンと呻いておりベローズは日光のせいで目をシブシブさせて神殿内に転がっている。シオンは当然正座をしていて無表情で詰問するニーア、更に無表情で自己紹介をするイリスの姿がここに。


 「あのニーアさん、僕は何も悪い事……うぬぼれで無ければ浮気やその関係はしてないんですが」


 「……シオン、そこが問題じゃ無いんだ。私とベローズは物凄く心配してこの原因になったアイツ等をボッコボコにしながらシオンの安否を論じていたんだ。それがどうだい、帰って来たと思ったらこんなカワイイ娘が付いて来た、分かるかな?」


 「そこら辺の機微はイマイチ分からないです……」


 このシオンの正直さがニーアに火をつける。もしベローズがダウンしていなければ割とおおらかに話しは終わっていただろう。単純な話ニーアはこう言いたいのだ、自分が死ぬほど心配していたのに女の子をひっかけて来るとは何事だ、と。


 ハッキリ言ってしまうと男にとってこの理屈は全く理解が出来ない。そしてその事に漏れは無くシオンも理解出来ていない。大人しく正座をしているが心中はクエスチョンマークの嵐が吹き荒れている。小人と女は扱い難しとはこの事だろう。


 「はぁ、まあシオンが無事帰って来たんだから良いとしようかな。で?イリスはこれからどうしたいんだい?」


 「当機はシオン様に従うべくプログラムを組まれてイマす。奥様におかレましては当機を掃除機か何かと理解して頂ければ幸いでごぜます」


 ニーアはイリスの「奥様」と言う言葉に強い反応を見せる。しかもそれ以外の言葉が耳に入ってこない状態で「掃除機」といった言葉を聞いてもいないし理解もしていない。


 ガバガバである。


 「まあ私も言い過ぎたよ、そこ等が分かっていれば良いんだ。丁度コイツ等をしょっ引く人数が増えたと考えればめっけもんだね」


 「あ、突き出す方針にしたんですね」


 「僅かだけど金になるらしいんだよ。夜を待ってから帰ろうか」


 「……何故夜間に移動スルのでしょうか?何事かの利点ガあるのデスカ?」


 「いや、利点と言うかね……」


 ニーアはベローズの種族柄昼間は眩しすぎて移動出来ないことを細かにイリスに伝えた。


 その事を聞いたイリスは周りを見渡し、つる性の植物を発見してそれを引き千切る。何をしているのだろうとシオンとニーアはイリスの行動を眺めている、するとつる性の植物がイリスの手に吸い込まれていくかのように消えて行った。


 「シオン様、髪の毛をひと房頂けませンカ。ベローズ様の目を保護するモノを作っておりましゅる」


 「髪の毛、ですか」


 特に思い入れなどは無いためか、シオンは長く伸びた髪の毛をひと掴みし、それをナイフで切り落とす。よく分からないままソレをイリスに手渡すとそれも手に吸い込まれるようにその場から消えた。


 「……あれは魔法か何かかい?シオン」


 「あー、多分違うと思います……下手をするとイリスさんは人間じゃ無いかもです」


 「えぇ……」


 あれよと言う間にイリスの手には黒い布地のような物が出来上がっていた。それの出来を確かめさせるべく一度シオンに手渡す。


 「耐久度はソコソコあります。お試しアレ」


 シオンはその黒い布地を「こうかな?」とばかりに目の周りに巻いた。


 「え、あ……これスゴイです」


 「……?どう凄いんだい」


 布地の端を目に当てるとニーアもギョッとした。普通ならただ見え辛くなるだけのはずが、布地だけが透過したようになり同時に周りが暗く見える。一しきり面白がって周りを見たり太陽を見たりとしていたが、ベローズの目を保護するものだと思い出して渡しにいく。


 「ベローズさん、これを目の所に巻いてみてください」


 ベローズは眼鏡を外した状態の〇び太君のように目の形状が変化しており、シオンの言う事に気が付きその言葉に従った。


 「おお、これは……!さっきまで眩しかったのがウソのようなのだわ。あそこにいるイリス?が作ったのかしら」 

  

 布地を目の部分に巻き付けてベローズが体を起こすとイリスはカーテシーを行う。スカートでは無いし、この世界で通用するかは分からないがベローズは「ふむ」となにやら感心した模様。


 「イリスと言ったかしら、この布地は素晴らしい物なのだわ。何と言う名前の物なのよ?」


 「特に名前ハ御座いまセン。強いて名前を付けるならバイザーとお呼びくださりましぇ」


 「ばいざー。有難くいただくのだわ、もしかすると我が吸血族の救いの手になるやも知れないのかしら」


 「バイザー制作時に黒い上質の繊維が必要ナ事カラ大量生産は出来ません。もし強行するナラ現素材としてシオン様の髪の毛が必要であり、仮にそれを行えばシオン様がツルツルになりまする」


 「……それは困るのだわ。製造方法はよく分からないけれど素晴らしい技術なのよ。わらわはベローズ・リド・チュール。これからよろしくなのだわ、イリス」


 日差しが強まって行く神殿跡でシオン等は合流を果たし、新たな仲間と共にスクリスへと帰還してゆく。荒縄を手に、冒険者崩れに蹴りを入れながらしょっ引き、一行は何とか無事に今回の件を潜り抜けた。


銀髪に黒い布地のバイザーつったらアレですねw


これで昼夜どちらも行動できるようになりましたw

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