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第23話 異世界の地下事情

 「古代の遺跡ですか、それって宝箱とかあったりダンジョ……地下迷宮だったりとかするんですか?」


 「異世界、シオンの故郷はそんな場所があるのかしら?こっちの古代遺跡は大昔の魔族が信仰していた精霊の大きな祠の事なのだわ」


 「シオンの言ってる地下迷宮ってのも何かワクワクする響きがあるよね。でも宝箱が置いていても中身は持って行かれるんじゃないかな?」


 ルワンの村を出て数日。村長にこれから旅に出ると言う旨を伝え、その事を村中で心配された。ニーアは村人を厄介事に巻き込まないためにシオンが狙われている事を伝えず、遠い場所にあるベローズの故郷まで旅をすると言う半分以上事実を話の中心に据える。


 旅をするにあたりニーアの家にある食料は村長宅に置いてきて、各種雑貨も必要な分だけは自分達が持ち、残りは村に寄付する形となった。


 そして路銀。ルワンの村付近は貨幣経済がギリギリ通用する程度のモノだったのでニーアはそれも寄付しようとしていた。だがそれをベローズに止められて持てる限り、ある限りを背嚢の中に仕舞っている。


 「宝箱の中身は……普通に考えるとそうですね。地下迷宮は、似たような物が国の首都にありますよ。年に数人遭難者が出るとか何とか」


 「……首都に何でそんな危険なモノがあるんだい?役人は兵を動員して封鎖するのが普通じゃないかな。貴族や役人が怠慢だと国が腐ってしまうじゃないか」


 「ニーア、シオンの国では事情が違うのかも知れないのよ。もしかしたら巨大すぎて封鎖出来ないのかも知れないし、魔物が大量に湧き出しているのかもなのだわ」


 旅装。シオンとニーアは貫頭衣にズボンと剣ナタ、それにポンチョのような革製のマントを羽織り、大き目の背嚢を抱えそれを旅装としている、灰と茶色の地味な恰好。しかしベローズは漆黒のドレスを纏い大ナタを佩いているだけのおよそ旅装とは言えぬ旅装。


 この3人は基本的に夜に移動をする。ベローズが昼に移動が困難だと言う理由と、もう1つ、3人共に夜目が利くというよりは効きすぎるのが理由だ。故に話し合いらしい話もせずに夜間に移動する事が決まった。


 それとシオンの言っている物は東京駅の事で、遭難云々は都市伝説の類である。しかしニーア、ベローズ共にその東京駅の事など知るはずもないので盛大な勘違いをしている最中だ。


 「ああ、いえ、その地下迷宮のような物は国の重要な施設でして。僕は直接見た事がないですけど安全だと思いますよ、警備の人が沢山いたり物が買えたりもします」


 「国の首都の地下に巨大な迷宮、しかも警備兵が沢山哨戒していて重要な施設でさらに物が買える……?ダメださっぱり分からないよ、そこは本当に安全なのかいシオン」


 「ニーア、国の重要な地下の巨大な施設で警備兵がいる。わらわ知ってる、その施設に心当たりがあるのだわ、地下墳墓の事なのよ。物が買えるのはいささか先進的に過ぎるかしら」


 「地下墳墓、私はそれもどんなモノか想像出来ない。でも重要なのは何となく分かる、王家の関係じゃないか?」


 「鋭いのだわニーア、その通りなのよ。でしょうシオン?」


 「いえ、合ってると言うか間違っていると言うか……ちょっと詳しく説明します、出来る所までですが」


 シオンは出来るだけ身振り手振り且つ知識を総動員し根絶丁寧に説明した、しかし語彙力自体が足りず実際に体感していないので話を進めれば進める程、ニーアとベローズの頭上に燦々とクエスチョンマークが輝く。しまいにはシオンも軽い混乱状態に陥り3人で座り込み考えを纏めるという行動に出た。


 「つまり、その地下の施設は遠距離移動用の乗り物があって……私が持っている銀貨みたいな物で食べ物や飲み物を買える……?」


 「そうですそうです!そしてその乗り物の中で飲んだり食べたり出来るんですよ」


 「シオン……そもそも何故地下に移動用の施設を作るのかしら?まさか各都市が地下で繋がっているとでも……そんなバカななのだわ」


 「ベローズ、考え過ぎて喉が渇いたから水頂戴」


 ベローズは自らの思考とシオンのニワカ知識にワナワナと震えながらもタケで出来た輪切りのコップを取り出す。するとその中に一瞬で並々と水が湧いて出た。


 これはベローズの扱う魔法の1つ「呼び水」タケの中にある水分を媒介に空気中の水分を集める魔法である。シオンもニーアも初見では大したことの無い魔法だと認識していた、だがすでにその考えを180度方向転換させている。それもそのはず、旅の途中に安全な水分を補給出来る機会がいかほどあろうか、持ち物の中に水を入れなくていい事がどれほどの重量軽減になろう事か計り知れないからだ。


 ベローズの手持ちの荷物がほぼ無いのは、彼女の身体能力とこの魔法「呼び水」のおかげだとも言い変える事が出来る。魔物の跋扈するインフラの整っていないこの世界でコップ一杯の水分を確保するのがどれほどの重労働と幸運になるだろうか。


 「ふぃー。これで井戸水みたいに冷たかったら大満足なんだけどね」


 「あら、ニーアは冷たい物を飲み過ぎるてもお腹を壊さないのかしら?旅の途中ではそんな細かい事も考えておくのが大事なのよ。はい、シオンもちゃんと水を飲むのだわ」


 「ありがとうございます」


 「そ、それともシオンはわらわのく、口、くち移、うつ、うつ……」


 なんとも呑気な会話をしながらの旅路、空には2つの月が光の輪を作り巨大なナニカにジットリと見つめられるような錯覚さえ覚えそうだ。


 シオン等一行の最初の目的地はとりあえず何も無かったのでザックリとした提案の「川を遡上する」という目的になっている。選択肢としては良い部類で、理由として人の生活圏は水と共にあるからだ。


 夜間の旅は多数の魔物を屠りながら移動し、すでにセイノカの村を越えていて数日。ベローズの談ではそろそろ村落があると言う事だ。


 旅は決して楽な物ではなく、常に困難の中で行われる物。しかしシオンはそれすらも自分の経験、血肉に変えてゆく。目的無く漫然とただ生きているだけでは味わえなかったモノをシオンは今、必死に噛み締め味わっている。

  

シオン=ショタっ子 ニーア=お姉さんぶりたい年下 ベローズ=高性能バグりキャラの3人でお届けしておりますw


魔法「呼び水」は前作「アジト」でも登場してますエロ小説ですけどねw

もし良かったら読んでねw

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