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第24話 中継点の村

 昼間は睡眠にあて、夜間にシオン等一行は移動する。途中、雨が降ればそれを凌ぐために洞穴や魔物の巣穴だった場所を占拠し、雨をやり過ごす。


 魔物の巣穴だった場所。フェブリのコロニーだった場所ではその生活ぶり、食性の雑食さがイヤでもシオンの目に飛び込んで来る。生活ぶりとしては群れを成し、猿よりも古代の人間のような生活様式に近いだろう。


 排便は決められた場所で行い、平らな石や葉を食器のように用い、粗末ながらも繊維質の草木で簡単な縄や衣服を拵える。打製石器や火を使った形跡も見られ、その跡には周りに白骨化した動物が散見された。


 彼らの食性は雑食性で、人骨、4足獣の骨、あるいはフェブリの骨等が所々に打ち捨てられていた。この事をニーアとベローズは代わる代わる丁寧にシオンに説明する。


 「これをじっくりと観察したらある考察が出来るようになるのだわ。フェブリは生活を支える組と狩をする組で分かれてその群れを増やしているなのよ、丁度人間が男女で別れて生活をするかのように」


 「……怖いですね、本当にヘタをしたら生存圏が取って代わってしまいますね。ベローズさんが魔物殲滅の旅をしているのはそれが理由なんですか?」


 「んー、その質問は難しい所なのだわ。わらわ達吸血族は基本的に戦いが……趣味に近いのかしら、そんな感覚で生きている種族だから生存圏がどうとかでは無いのだわ」


 「話が逸れてるよベローズ。シオン、このフェブリの生活具合を見て本当に恐れなければならないのは農具の発展と農業の芽吹きだよ」


 「ヒトと同じ生活水準になるって事ですね……!」


 大きな目で見ればフェブリは魔物の中で弱い部類になるだろう、しかし他の魔物と大きく違う点がある、道具を使いこなす部分だ。今はまだ打製石器の石斧程度の武器兼農具しか無い物の、いつかどこかで気付く者が出て来るかも知れない。現にすでに火を熾して使っている。


 仮に、生活水準を向上させるための道具、農具の類をフェブリが知り、憶えればそれらを人里から奪い数年の内に文字通り爆発的に増えていく事だろう。そしてその時に訪れるのは未曽有の食糧危機と魔物の氾濫、それに伴う人間や魔族の大量の死滅。


 最終的には魔物同士、フェブリ同士の喰らい合いに発展してゆくだろうがその時にヒト種はいかほど生存出来ているだろうか。学の無いシオンでも即、その事を悟り僅かに身震いをする。


 「それがフェブリの怖さだよ、多分最もナメてかかってはいけない魔物だね」


 夜間の風に吹かれて白骨はカラリと音を立て転がった。木々のざわめきは不吉な音で、まるで暗い海の潮騒のように聞こえなくも無い。


 ニーアとベローズはただ淡々と目の前にある事実をシオンに見せ、説明をしているだけだがいつ訪れてもおかしくない暗い未来をシオンの脳裏に焼き付ける。


 「それはそうと今日はもう休もうかしら、明るくなって来たのだわ」


 地面の大きな石ころをどけ、乱雑に枯れ草を敷き、申し訳程度には風雨を凌げる作りのフェブリの元住居に一行は腰を下ろし休息を取る。


 この時、3交代制で見張りを立てるのだがベローズの番では少し特殊な見張り方をする。彼女は昼間、眩しくて回りが見辛い、だが見辛いと言うだけで見えないワケでも聞こえないワケでもない、そこでベローズは目をつぶり、聞き耳を立てて座ったままの姿勢で見張りをするのだ。不安定な見張りのように見えるがかなりの高精度を誇る、むしろこの3人の中で最も頼りないのはシオンだろう。




 昼が過ぎ、夕方前。


 交代制の見張りには順番がある。最初の見張りはベローズ、次にシオン、最後にニーアの順番だ。これには理由がありニーアの見張りは同時に食事を作りながら行われる。


 「おはようございます……」


 「はい、おはよう。ベローズも……起きてるね」


 「おはようシオン、もう昼夜逆転生活は慣れたかしら?」


 ゴシゴシと眠たげに瞼を擦りながらシオンが背伸びをする。飯盒のような形の鍋が火にかけられシュウシュウと水蒸気を上げ、その隣には夜間の内に倒した魔物の肉が串に刺さり炙られている。


 「何事も初めての経験ばかりで慣れた、と言うか面白い事と気付くことがあまりにも多いですね」


 「……気付いた事は何があるのかしら」


 「壁と床の存在ってすごいなぁ、って思います」


 その言葉を聞き、ニーアとベローズはプスーと吹き出した。ヨモ草の煙が空に向かって真っすぐ伸び、リリリと虫の音の合唱と共に清涼感のあるニオイが立ち込める。


 「そこにあって当たり前の事に気が付くのは中々出来ないよ。確かに床と壁、天井も凄い物だね」


 「今日中には次の村に付くのだわ。少しの間その村を拠点にして体力の回復と物資の補給をするなのよ」


 オレンジ色の空の下で茹でられたモチのような物を頬張りながら炙り肉を齧る。不思議なモノで、広い景色の見える場所で食事をするといくらでも胃の中に収める事が出来そうな気になって来る。


 川べりを遡上し、セイノカから数えすでに3つの村を越えた。ベローズの言う次の村は少しだけ規模の大きい村で川魚の美味しい場所との事。その村はいわゆる交易の中継場所のような村で細々とだが物の売り買いが出来る。シオンとしては金銭を使った売買は元の世界でもこちらでも初の物事になるだろう。


 


 食事を終え歩く、途中に遭遇する魔物を危なげなく倒しながら食べる事の出来る魔物を解体し回収しながら進む。高い場所にある木の実などをベローズは無限平を駆使しそれも回収。その姿を見ながらシオンとニーアはいつも感心してしまう、手持ちの荷物の少なさはこれがあったからなのだと。


 特にニーアはこの旅路の速度にも驚きを隠せずにいた。通常の歩行速度、距離の倍以上にはなるのではないかと考えている。もしベローズが1人で移動するならば今よりも距離が稼げるだろうとも。それ程魔法の「無限平」と「呼び水」は長距離移動との相性が良い。その気になれば無限平を使用し断崖絶壁を軽々踏破し、木の上で安全に睡眠を取る事も出来るだろう。


 そして3人は大きな堤防が築かれている村に到着した。そこには夜中に到着したので頑丈な門の近くで休息を取りながら村人達が起きる時間まで待つことになった。


 この村の名前はスクリス。川魚イーギルで賑わう交易の中継点。


ここまで読んでくれてあざーすw次回は「8月1日」に最低10話、最大24話更新しますねw


休憩を取りつつ見直しと加筆修正するには月一更新がベストじゃないかなー?と考えてますw

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新に感謝します! [一言] 続きが楽しみです。(^^) まったりと待ってマス(*゜∀゜)
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