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OH MY GOD!  作者: 香椎
大森林布教編
17/18

籠城中に訪問

同じ行程を進んでエルフの里へ戻る。

一応、脱走者という立場なので村を囲む高い岩壁の上から、コッソリと里と森を眺める。

森には数え切れないほどのゴブリンの群れが門に迫っている。


ゴブリンは手に武器を持つ者や火属性の魔法を使う者が門扉に向け攻撃を仕掛けているが、櫓門全体に防御魔法がかけられているのか攻撃が門扉に当たる直前、淡い青白い光の壁に妨げられ攻撃を打ち消している。


櫓門の周囲にはエルフが集まり、手に杖を持ったエルフが門扉に向けて魔法を紡いでいる。

櫓の上には20人程のエルフがいて、弓を持った者や杖を持った者が集まり攻撃は行わず眼下のゴブリンを睨んでいる。

櫓にいるエルフの中にモルガナの杖を持ったエリスさんを発見。

隣にいる男と何やら話しをして揉めているようだ。


「エリスさん達は何を揉めているんだ?早くゴブリンを倒せばいいのに……」


「主人殿よ、エルフ共にも色々考えがあるのじゃろ」

ノエルはエルフの立場を理解しているかのように話す。


「そんなにエルフのことが気になるなら行けば良かろう」


「俺は逃亡者の身だぞ。あんな所に行ったら捕まるだろ!」

俺だって出来ればノエルさんのところに行きたいが、事情が事情なので躊躇して二の足を踏む。


ノエルは何時もの大きなため息を一つ付き語り出す。


「主人殿は本当に愚か者じゃの〜。今こそ、使徒として活動する時じゃろ!

ここでエルフ共に助力することで恩を売り、それに付け込んで信者を増やす絶好の機会じゃぞ!」


「お、お前天才かよ……」


ノエルの悪知恵には頭が下がる思いだ。



眼下にはゴブリンの群れが溢れ、大森林とエルフの里を隔離する門扉を破壊しようと必死に攻撃をしている。

門扉の前にいるエルフが防御魔法で攻撃を防ぎ、今のところは傷一つついてはいない。


「長老、なぜ攻撃の命令をかけないのですか!このままではいずれ私たちの魔力が尽きて防御魔法も展開できなくなりますよ!」


見目麗しいエルフの女性が、長老と呼ばれるにはまだ早い壮年の男性に詰め寄る。


長老と呼ばれる男は髪を肩まで伸ばし、手入れされた短い顎髭を伸ばした目つきの鋭い男だ。

長老は真緑のローブを着て、腰に青い帯を巻き下半身には幅広のズボンを履いている。

手には如何にも長老風の木製の長い杖を持っている。


「エリスよ、良いかこの場所で如何なる血も流すことは許されんのだ……。それが我らがこの場所の管理を任された使命だと言うことを忘れたのか!」


孫を諭すような優しい声で話すのとは反対に表情は眉間に皺を寄せ険しい。

長老もこの苦しい状況にどう対処すべきか悩んでいるのだろう。


「それなら、威力の弱い魔法や睡眠スリープを使って敵の動きを封じさせてください」


「駄目だ。我らが来る前に何度もこの場所で多くの血が流れているのだ……。もう猶予は無い……。この場所にもう血を流してはいかん!それに睡眠スリープはゴブリンに接近しないと効果がないだろう。危険すぎる!」


長老はエリスの提案を全て却下し、お互い平行線の状態で終わる。


「じゃぁ、これからどうすれば良いのですか長老!このまま私たちの魔力が尽きたら、里はゴブリンに蹂躙されてしまいますよ!」

エリスは長老に向かって大声で叫ぶ。


「すまん。少し考えさせてくれ……」


長老は苦痛を帯びた顔でエリスに答えた。


「全知全能の神ゼイス様、どうかお助けください……。

私はこれからどうしたら良いのでしょうか……」

エリスは正十芒星のペンダントを握りしめ青々とした空を仰ぎ祈った。



エルフの里を守護する門は5m程の高さが有り、門の左右には櫓が一つづつ付いている。

櫓の構造は西洋風の城についているような尖塔のようである。

その尖塔と尖塔の間には幅2m程の通路があり、そこにエリスさん達がいる。


俺は尖塔に【魔糸】を付け、糸を引いてエリスさんの横に降り立つ。


「俺は全知全能の神ゼイスの使徒であるレイ・マーゴット・ルシフェルだ。俺がゴブリンをどうにかしようじゃないか!」


「レイさん、来てくれたんですね!」

正十芒星のペンダントを両手で握り締めているエリスさんは突然現れた俺を見て喜色満面になる。


「ああぁ、困っている信者(エリス)がいるんだ。当然だろ!

ゴブリンは俺が全て一掃しよう!」

格好を付けた口調でゴブリンを指差し啖呵を切る。


「さすがレイさん、ゴブリンを傷つけないで追い出すことができるんですね!」

エリスさんを含め周りのエルフ達も曇っていた顔から晴れ晴れとした顔になる。


「…」


「……⁉︎」


『傷つけないで追い出すだとぉぉぉぉ!』

無理難題を言う彼女の言葉に思わず心で絶叫した。



『何を悩んでおるのじゃ、主人殿。ゴブリンの鳩尾を殴るなりして気絶させればよいじゃろ』

ノエルは簡単に言うが俺は格闘家でなく元会社員だぞ。


『なんだよ、気絶させろって適当だな……、

ん……⁉︎気絶させれば……‼︎』


「レイさん大丈夫ですか?」

急に静かになった俺に不安になったのかエリスさんが顔を近づけてくる。


ーーだから顔が近いですから!


「大丈夫だよ。今からゴブリンを倒してくるさ」


「貴方にそんなことが本当にできるのかな」

エリスさんの隣にいた長老が突然声をかける。


「我が神ゼイスに不可能はないよ!そして俺はゼイスの使徒だ。必ず上手くやるさ」


長老は暫く逡巡したが顔を上げ俺を睨みつけるように見た。


「わかった。よろしく頼みます」

嫌疑的な目で長老は俺を見たが、それと同時に希望の光を見つけたような顔付きになっていた。


俺はゴブリンが殺到している門前に向かって華麗に飛び降りた。

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