プリズンでレベルアップ
気がつくとここは牢屋の中。
牢屋は石造りで四畳半くらいの広さだ。
金属製の頑強な扉と壁に囲まれ、2m位の高さに一つ、小さな鉄格子がはまった窓がある。
窓からうっすら見える景色から陽がとっくに落ちていることがわかった。
月光に照らされ出来た鉄格子の影が牢屋の壁に写っている。
なぜか頭が重く霞がかかったような感じで倦怠感がある。
ーーたぶん魔法か何かで眠らされた後遺症だろう。
ステイタスで時間を確認すると午前2時を過ぎている。
回らない頭で何か奪われていないか確認したがゴブリンから奪った剣だけがなかった。
あれは元々ゴブリンの物だから失っても痛くも痒くもない。
ただ、捕縛される前に足元にいた蜘蛛のビスが見当たらないのが気になる。
そんな気持ちを察したのかビスが鉄格子のはまった窓からヒョッコリ現れ、牢屋の壁まで来ると止まった。
ーーふぅ〜、ビスがエルフに狩られてなくてよかった。
「これからどうなるのだろうか……。未だに牢屋にいるってことは俺の嫌疑が晴れていないのだろう。できればエリスさんが上手く俺のことを説明してくれること祈りたい」
『白虎ちゃんは大丈夫かな?』
『……zzz』
スヤスヤと寝息を立てて寝ている。
ーーこの時間だからしょうがないか。
頭も重いので俺も二度寝をしようと床に寝転がった。
『バサバサバサ』
鳥の羽ばたきに似た音が止むと壁に映る鉄格子の陰に新たな陰が増えた。
「主人殿こんなところで何をやっておるのじゃ?」
聞き慣れた艶やかな声が天井から聞こえた。
急いで天井を伺うと窓にぶら下がった蝙蝠がいる。
「ノエル⁉︎どうしてここにいるんだ!」
驚いたことで思った以上に大きい声が出た。
マズイと思って扉を警戒したが誰も見にくる気配が無い。
ーーこの時間は看守がいないみたいだ。
「主人殿、声が大きすぎじゃ」
ノエルはさも楽しそうに笑う。
「いやいや、主人殿の帰りが遅いので心配になったものでな。主人様との繋がりを辿ってきたらここに着いたわけじゃ」
ーー奴隷と主人の関係って意外と強いんだな。
「そう言えば主人殿を探すときに感じたのじゃが、魔力が高くなっておったようじゃの。レベルでもあがったのかの?」
「ああ、エリスさんをゼイス教の信者にしたらレベルが上がったんだよ」
「ほお、あの時か。それなら主人殿はもっと多く信者を集めないといかんの。そのためにはもっと派手に動くことをおススメするぞ。我が主人殿は神の使徒なのじゃからもっと傍若無人に動いて他者にインパクトを与えねば信者は一向に増えんと思うがの」
「そんなものか⁉︎どうしたんだ急に。信仰に目覚めたか?」
「主人殿の魔力がこれほど上昇するなら話は別じゃぞ。魔力の高い血があれば妾の回復も早いというものじゃ。そうなれば我が儘ボディは目の前じゃぞ!」
「なんだと!それはヤル気がでる話だ!」
俄然やる気のでた俺にノエルは「やれやれ現金なやつじゃ」と呆れている。
「話は変わるが、ここにたどり着く前に周辺を見て回ったんじゃが、ここはエルフの集落のようじゃぞ。なぜエルフの娘を助けた主人殿がこのような待遇になっておるのじゃ?」
「多分、俺がエリスさんを拉致したと思われてるんだよ。有無を言わさず攻撃してきたし」
ノエルは「ふむ、どうしようもないの……」と歯切れの悪い返事をする。
「妾もここにいることにしようかの。主人殿のことも心配じゃし妾の食事のこともあるでの」
「日中の日差しは大丈夫なのか?」
「ここは牢獄だしさほど日光が射し込まんじゃろうから問題なかろう」
ーー豊満なボディを見るまでは死なれては困るんだから!
邪なことを考えていると蝙蝠から冷たい視線を感じた。
「主人殿は全く好きモノじゃな……」
何か小声でノエルは言ったがよく聞き取れなかった。
「なんか言ったか?」
「いやいや、遅いから寝ようぞと言っただけじゃ」
ノエルは呆れた口調で言うと牢屋の角に移動し逆さになりながら目を瞑った。
ーー朝になれば何か進展するだろうから鋭気を養うために寝ておこう。
そんな思いを抱きつつ冷たい石床の上で丸まって眠りについた。
◇
朝日が登り仄暗い牢屋に僅かな光が差し込んでいる。
午前9時過ぎに配られた遅い朝食を終え、この狭い牢獄に白虎にノエル、ビスにアピリ小隊がいる。
ノエルを除いた仲間の頭上に『!』が付いている。
ゴブリンの戦闘でレベルアップしたのだろう。
ーー各々のステイタスを開く。
白虎はレベルが2から14まで上がり、スキルも【帯電放電】と【雷球】と【雷耐性】を覚えた。
見るからに攻撃的なモノばかり。
直ぐに使用したい気持ちにかられるがグッと我慢する。
次はビックスパイダーのビス。
ポイズンスパイダーへ『進化可能』と表示されている。
迷わず『進化』を選択。
ランクが『N』から『R』になりポイズンスパイダーに進化した。
身体は黒紫色になり体長は以前と変化がない。
進化後のレベルは11まで上昇し、スキルも【魔糸】と【毒牙】と【毒付与】と【毒耐性】を覚えた。
毒蜘蛛の名前に恥ない毒系のスキルばかりだ。
ーー大蜘蛛の時もそうだったが、毒が付いてさらに触れたく無い気持ちが高まった。
さて、最後はアピリとその小隊。
キラーホーネットに『進化可能』となっているので『進化』を選択する。
ランクがSRになりキラーホーネットに進化した。
まず、アピスの巣がホーネットの巣に進化し、巣穴が倍近くに増えた。
巣の説明には、『ホーネットの寝床で、空いている巣内に道具を貯める』と書かれている。
ーーホーネットが何か拾ってくるのだろうか?
ホーネットの身体は雀蜂と瓜二つでアピリは真っ赤でアピ達は黄色である。
大きさはアピリが30cmでアピが20cmと変化はない。
スキルは【誘導針矢】と【麻痺毒付与】を覚え、アピリだけ【支配】を覚えた。
レベルアップも終わり次はお楽しみの【ガチャ】である。




