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第97話 天界からの援軍! 三人の守護者、人間界へ

第97話 天界からの援軍! 三人の守護者、人間界へ


◆◆◆勝利を祝う魔術兵士たち


王宮の魔術兵士専用の食堂。


その夜、食堂には温かい料理が並び、兵士たちの笑い声が響いていた。


封魔禁呪の作戦が成功し、敵の魔術兵士たちの大部分を幻影王都に閉じ込めることができた。


兵士たちは、久しぶりに安心して食事を楽しんでいた。


「いやあ、本当に成功してよかったな!」


「これもセレス、ガル、アルセリアの三人のおかげだ!」


「さすが上級魔術師だよな!」


「これでようやく平和が戻ってくるぞ!」


兵士たちは軽く酒を飲みながら、三人の活躍をたたえた。


アルセリアは、料理を口に運びながら得意げに笑った。


「当然よ! 私の魔術は最高級なんだから。あなたたちとは違うわ!」


「おいおい、相変わらず自信満々だな」


ガルが笑う。


「何よ! 魔術兵士に可愛げなんて必要ないわ!」


「まあ、魔術の腕は確かだが、もう少し可愛げがあればな」


「余計なお世話よ!」


食堂に笑い声が広がった。


ガルは今度はセレスに目を向けた。


「それに比べて、セレスは魔術の腕も上級だが、ちょっと天然だから可愛げはあるぞ」


「えっ!? 私は天然じゃないわよ! ひどい!」


セレスは頬をふくらませた。


「本当にそう思っているのか?」


「もちろんよ!」


ガルは笑いながら、指を一本立てた。


「この前の訓練を忘れたのか? 敵を消す呪文を間違えて、自分自身を消してしまったじゃないか」


「そ、それは……呪文を少し間違えただけよ!」


「それだけじゃないぞ。さっきもお茶を飲もうとして魔術を使っていたが、コップを巨大にしてしまっただろう?」


「えっ!? あれは……どうして大きくなったのかしら?」


セレスは本気で不思議そうに首をかしげた。


「ほらな!」


ガルが大笑いすると、周囲の兵士たちも一斉に笑い出した。


「もう! みんな笑わないでよ!」


セレスは恥ずかしそうに顔を赤くした。


アルセリアも、思わず小さく笑った。


ガルは二人を見ながら、少し優しい声で言った。


「まあ、いざというときにミスがなければいいんだ。二人とも頼りにしているぞ」


「ふふっ。もちろんよ!」


セレスは笑顔を取り戻した。


アルセリアも、少しだけ満足そうにうなずいた。


食堂には穏やかな時間が流れていた。


誰もが、このまま戦いが終わり、平和が戻ってくることを願っていた。


しかし、その平和はまだ確かなものではなかった。


2 敵船に残る三人の思惑


同じころ、海上に停泊するヴェルザーク帝国の船。


ザルヴェイン、バルゼルド、クロウの三人は、王国の様子を眺めながら次の作戦を考えていた。


ザルヴェインは椅子に腰掛け、余裕たっぷりに笑った。


「さて、これからどう攻めていこうか」


バルゼルドは腕を組んだ。


「今すぐ攻め込む必要はない。敵はここ数日、結界を維持するために相当疲れているはずだ」


クロウも静かにうなずいた。


「兵士たちも、今夜は勝利を祝っているようだな」


ザルヴェインは、王宮の方角を見ながら口元をゆがめた。


「ならば、まずは二、三日ほど楽しませてやるか」


「その後は?」


バルゼルドが尋ねる。


「そこから、たっぷり恐怖を味わわせてやるのさ」


ザルヴェインは高笑いした。


「今はゆっくり休ませてもらおう。こちらも、ここ数か月は戦い続きだったからな」


クロウは冷たい目で王国を見つめた。


「敵が安心している今こそ、こちらにとっては都合がいい」


「そういうことだ。今だけ楽しんでいろ」


三人の笑い声が、船の上に響いた。


彼らにとって、王国の兵士たちが勝利を喜ぶ姿は、これから始まる恐怖を前にした、ほんの一時の休息にしか見えていなかった。



◆◆◆天界の決断


天界。


水晶の鏡には、王宮の食堂で勝利を喜ぶ魔術兵士たちの姿が映っていた。


ゼノは、その様子を見て大きくため息をついた。


「何をのんびりしておる! まだ戦いは終わっておらぬぞ!」


アテナが心配そうに尋ねた。


「ゼノ様、やはり船に残っている三人が問題ですね」


「そうだ。誰も気づかぬのか? あの三人は冷酷で邪悪な魔術を使う者たちだ」


ゼノは水晶の鏡に映るザルヴェインたちを指さした。


「幻影王都に閉じ込められた仲間の兵士たちを助けようともしない。自分たちだけが助かればよいという、実に冷酷な者たちじゃ」


フィオナは悲しそうに目を伏せた。


「同じ国の兵士なのに……仲間を見捨ててしまうなんて」


「彼らの魔力は、これまで王国が戦ってきた魔術兵士とは比べものにならぬ。アレクたちだけに任せておくわけにはいかん」


ゼノは決意したように立ち上がった。


「やはり、こちらから三人を送り込むことにしよう」


「三人ですか?」


オルフェが尋ねる。


「そうじゃ。あの三人に対抗できる守護者を選ぶ」


ゼノは天界の奥へ向かって声を響かせた。


「エリシア! ルシェル! セラフィ! ここへ来るのじゃ!」


すると、まばゆい光が広がり、三人の守護者が姿を現した。


◆◆◆三人の守護者


最初に現れたのは、神聖な光をまとった麒麟の姿をしたエリシアだった。


エリシアは、穏やかな表情で神々の前に進み出た。


「ゼノ様、お呼びでしょうか?」


ゼノはうなずいた。


「エリシア、お前には守護の役目を任せたい。人間界では人の姿となり、魔術兵士として王国を守るのじゃ」


「かしこまりました」


エリシアには、敵の攻撃を防ぐ聖なる盾を作り出す力があった。


どれほど強力な魔術であっても、その攻撃から仲間を守ることができる。


続いて、白龍の姿をしたルシェルが前に出た。


「ゼノ様、私にもお役目をお与えください」


ルシェルは剣士であり、邪悪な魔術を切り裂く力を持っていた。


白龍に乗って戦場を駆け、敵の魔術を断ち切ることができる。


「ルシェル、お前も人間の姿となり、魔術兵士として戦うのじゃ」


「承知いたしました」


最後に、純白のユニコーンの姿をしたセラフィが進み出た。


「ゼノ様、お呼びでしょうか?」


セラフィは、清らかな光をまとっていた。


彼女には、邪悪な魔術を浄化する力がある。


敵の魔力に染まった場所や、汚された魔術を清めることができるのだ。


「セラフィ、お前にも人間界へ向かってもらう。王国を守り、邪悪な魔術を浄化するのじゃ」


「かしこまりました。必ずお役目を果たします」


三人は、神々の前に並んだ。


◆◆◆人間界へ出発!


ゼノは三人を見渡し、改めて命じた。


「これからお前たちは人間の姿となり、魔術兵士としてリリアの暮らす王国へ向かうのじゃ」


「敵には、冷酷で強大な魔術師が三人いる。決して油断してはならぬ」


アテナも続けた。


「エリシアは聖なる盾で仲間を守り、ルシェルは剣で邪悪な魔術を切り裂く。そしてセラフィは、敵の邪悪な魔力を浄化するのよ」


フィオナは優しく微笑んだ。


「どうか気をつけてね。あなたたちが無事に帰ってくることも、私たちは願っているわ」


オルフェも静かにうなずいた。


「戦いの先に何が待っているのか、まだ見通せない。だからこそ、慎重に行動してほしい」


三人は、神々の前にひざまずいた。


「かしこまりました」


そして、エリシア、ルシェル、セラフィは立ち上がった。


三人の体が神聖な光に包まれる。


やがて光が消えると、そこには人間の姿となった三人が立っていた。


それぞれが魔術兵士として戦うための装いをまとい、これから始まる任務に備えていた。


「それでは、行ってまいります」


三人は深々と頭を下げた。


ゼノは力強くうなずいた。


「頼んだぞ。リリアの暮らす王国を、必ず守るのじゃ!」


三人は天界の門へ向かった。


そして、光に包まれながら人間界へと降りていった。


天界に残った神々は、その姿を水晶の鏡で見送った。


しかし、ゼノの表情から不安は消えていなかった。


「これで少しは対抗できるようになるだろう。だが……あの三人の力は、まだ底が見えぬ」


神々は再び水晶の鏡を見つめた。


人間界では、敵も味方も、次の戦いに向けて動き始めていた。


そして、リリアの知らないところで、新たな守護者たちが王国へ向かっていた。


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