↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
94/109

第94話 夜空に現れた幻影王都! 始まる封魔禁呪の作戦

第94話 夜空に現れた幻影王都! 始まる封魔禁呪の作戦


◆◆◆敵に知られないための準備


セレスティア帝国の王宮。


夜が訪れ、町の明かりが少しずつ消えていった。


そのころ、三人の魔術兵士は、敵国に気づかれないよう慎重に作戦の準備を進めていた。


今回の作戦で重要なのは、幻影都市を作り出すことだけではない。


本物の町や宮殿を敵の目から隠し、同時に偽りの町と宮殿を出現させなければならないのだ。


魔術団長が三人に念を押した。


「いいか。魔術を発動するタイミングが少しでもずれれば、敵に気づかれる可能性がある」


ガルとセレスは真剣な表情でうなずいた。


「まず、ガルが本物の町や城を隠す。その瞬間に、セレスが幻影都市を作り出すのだ」


「分かりました」


「私も準備はできています」


魔術団長は二人を見つめた。


「一度失敗すれば、敵に作戦を知られてしまう。くれぐれも慎重にな」


「承知しました!」


◆◆◆夜の魔術作戦


深夜。


敵軍から見えない場所で、ガルとセレスは魔術を発動する位置についた。


ガルは両手を広げ、静かに目を閉じた。


彼が使うのは、神秘の帳の術。


町や宮殿を透明にし、建物から漏れる光や人々の気配までも隠す高度な魔術だった。


ガルは深く息を吸い、呪文を唱え始めた。


「天空に輝く星たちよ、月の光を静かにおろせ、神秘の帳よ、大地を包み、町も城も、その姿を秘めよ。侵す者には真実見せず、守るものには安らぎを与えよ。神秘の帳ー!」


その瞬間、ガルの足元から淡い光が広がった。


光は地面を伝い、町の建物へ、宮殿へ、城壁へと広がっていく。


やがて、建物の輪郭が少しずつ薄くなり始めた。


同時に、町から漏れていた明かりも、外へ伝わらなくなっていく。


本物の王都が、夜の闇の中へ溶け込むように姿を消し始めた。


◆◆◆セレスの幻影都市魔術


ガルの魔術が広がるのと同時に、セレスも両手を掲げた。


彼女の周囲には、無数の光の粒が集まり始めていた。


「今よ……!」


セレスは、ガルの魔術に合わせて呪文を唱えた。


「風よ運べ、光を描け、大地に広がる夢幻の都よ、わが魔力に応え、その姿を現せ、偽りの町、城よ……敵を招き入れよ! 幻影王都、発動せよ!」


ゴオオオオッ!


セレスの魔力が一気に広がった。


光の粒は空へ舞い上がり、町並みや城壁、宮殿の形を描き始める。


やがて、そこには本物と見分けがつかないほど精巧な都市が現れた。


本物の町と宮殿は、完全に透明になって見えなくなっている。


そして、その場所には偽りの町と宮殿が、まるで以前からそこに存在していたかのように姿を現していた。


作戦は成功したのだ。


敵軍から見れば、何も変わっていない。


そこにあるのは、いつもと同じセレスティア帝国の王都だった。




◆◆◆二人の魔術は成功した!


魔術を終えたセレスは、息を整えながら周囲を見渡した。


「成功した……! 良かった!」


彼女はガルの方を振り返った。


「ガルはどうなの? 神秘の帳は成功したの?」


ガルは余裕の笑みを浮かべた。


「ははっ、俺に失敗なんかないさ」


「本当に?」


「ああ。町も宮殿も、外からは見えなくなっている。光も気配も隠せたぞ」


セレスはほっと胸をなで下ろした。


「そう。よかったわ。これで、あとはアルセリアに任せるだけね」


ガルはうなずいた。


「ああ。最後の仕上げだ」


二人は、少し離れた場所に立っているアルセリアへ視線を向けた。


◆◆◆アルセリアの出番


アルセリアは、二人が作り出した幻影王都を見つめていた。


「見事ね。これなら敵も、本物の王都だと思うでしょう」


セレスが声をかけた。


「アルセリア、任せたわよ!」


ガルも続けた。


「頼んだぞ。ここからが一番重要だからな」


アルセリアは、にっこりと笑った。


「任して!」


そして、ゆっくりと両手を広げた。


彼女の周囲に、青白い魔力が集まり始める。


「さあ、来なさい。私がすべてを封じてあげるから」


アルセリアの目が鋭く光った。


封魔禁呪。


それは、敵の魔力を封じ込め、魔術を使えなくするための禁じられた術。


しかし、相手は強大な邪悪な魔術を操るヴェルザーク帝国の魔術兵士たちだ。


果たして、アルセリアの力は通用するのだろうか。


◆◆◆天界の神々の胸騒ぎ


そのころ、天界では――。


ゼノたちが水晶の鏡を見つめていた。


「どうやら、幻影王都はうまくいったようじゃな」


ゼノは少し安心したように言った。


アテナも、セレスとガルの魔術を確認していた。


「二人の連携は見事だったわ。本物の王都を隠しながら、幻影を作り出すことに成功したようね」


「これで敵を誘導できる可能性が出てきた」


オルフェもそう言った。


しかし、ゼノの表情は晴れなかった。


「だが……まだまだ不安じゃ」


フィオナが心配そうに尋ねた。


「封魔禁呪が、敵の邪悪な魔術に通用するかどうかね」


「ああ。相手の力がどれほど強いのか、まだ分からぬ。わしには、どうにも嫌な胸騒ぎがするのじゃ」


神々は、再び水晶の鏡を見つめた。


アルセリアの魔術が成功することを願いながら。


◆◆◆クリスマスの夢を見るリリア


一方、別荘では――。


リリアが、ふかふかの布団の中ですやすやと眠っていた。


「すぅ……すぅ……」


昼間はアリア王女と雪遊びを楽しみ、雪だるまや絵画にいたずらをして、たくさん笑ったリリア。


今は、幸せそうな寝顔を浮かべている。


夢の中では、大きなクリスマスツリーがきらきらと輝いていた。


その下には、たくさんのお菓子や果物、甘いケーキが並んでいる。


「おやちゅ、いっぱいなのぉ……!」


リリアは夢の中でも、うれしそうに手を伸ばしていた。


首元のペンダントは、静かに光を放っている。


けれど、リリアはまったく気づかない。


今夜は、楽しいクリスマスの夢を見ながら、安心して眠っていた。


そのころ、セレスティア帝国では、アルセリアが封魔禁呪を発動しようとしていた。


幻影王都の作戦は、いよいよ最後の段階を迎えていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。