↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
90/100

第90話 消えた別荘! リュリュの秘密の虹色シールド

第90話 消えた別荘! リュリュの秘密の虹色シールド


◆◆◆天界に広がる危機


天界では、神々が水晶の鏡を囲んでいた。


鏡には、黒龍が王国の結界を攻撃する様子が映し出されている。


黒い爪が結界に触れるたび、光が大きく揺れていた。


「恐れていたことが、やはり起きてしまったわね……」


アテナが険しい表情でつぶやいた。


ゼノは、黒龍を見つめながら静かに答える。


「黒龍を支配下に置いている魔術師がいる。これは、悪の契約を結んでいる証じゃ」


「やはり、ただの敵国の魔術ではありませんね」


オルフェも心配そうに水晶を見つめる。


フィオナは、黒龍の周囲に漂う黒い魔力を感じ取っていた。


「この魔力……。一人だけではないわ。敵国には、邪悪な力を持つ魔術師が大勢いるようね」


「そうだ。黒龍を操る者だけを倒せば終わる、という状況ではない」


ゼノは大きく息をついた。


「今の結界では、数時間も持たぬかもしれん」


その言葉に、神々の表情がさらに曇った。


王国の魔術兵士たちは必死に結界を守っている。


しかし、敵の魔力はあまりにも異質だった。


「このままでは、王国全体が危険にさらされるわ」


アテナが言った。


「そして、何よりも先に守らなければならないのはリリアよ」


フィオナは水晶の鏡に映る別荘を見つめた。


そこでは、リリアとアリア王女が眠っている。


「リリアはまだ二歳。戦争のことも、敵の恐ろしさも知らないわ。あの子を危険にさらすわけにはいかない」


ゼノはうなずいた。


「別荘だけではない。敷地も、その周囲の山も、すべて隠す必要がある」


「リュリュの力なら、それが可能ですね」


アテナが言うと、ゼノはすぐにリュリュへ神託を送った。


◆◆◆リュリュへの特別な命令


別荘の寝室。


リリアとアリア王女は、ベッドの上で仲良く眠っていた。


ポポとピピのぬいぐるみは枕元に並び、リュリュのぬいぐるみはベッドのそばに置かれている。


ノクスは黒い子猫の姿で、足元に丸くなっていた。


そのとき、リュリュの心にゼノの声が響いた。


『リュリュ、聞こえるか』


リュリュは、ぬいぐるみの姿のまま静かに目を開いた。


『ゼノ様!』


『これから、お前に大切な任務を命じる』


リュリュはすぐに真剣な表情になった。


『リリアのいる別荘、敷地、そして周囲の山全体に結界を張るのだ』


『別荘だけではなく、山までですか?』


『そうだ。そして、外から別荘も敷地も山も見えないようにするのじゃ』


アテナも声を届けた。


『敵の魔術師たちに、ここがリリアのいる場所だと気づかれてはいけないわ。外から見えなくするだけでなく、敵の魔力で探られないように隠してちょうだい』


『分かりました!』


リュリュは力強く答えた。


『ただし、リリアには気づかれないようにね』


フィオナが優しく念を押す。


『あの子には、今はまだ楽しく過ごしていてほしいの』


『はい。リリアには絶対に気づかせません』


リュリュは、眠っているリリアを見つめた。


リリアは小さな寝息を立てながら、アリア王女の手を握っている。


その姿を見て、リュリュは胸の中で誓った。


(リリアは、ぼくが守るよ)


そして、音を立てないように、そっとベッドのそばから離れた。




◆◆◆虹色の秘密の結界


リュリュは、別荘の外へ出た。


人間たちの目には、ただの小さなぬいぐるみにしか見えない。


けれど、今のリュリュの体には、虹色の魔力が少しずつ集まり始めていた。


リュリュは周囲を見渡した。


別荘。

広い庭。

敷地を囲む森。

そして、別荘を取り囲む大きな山。


これらすべてを、外から見えないようにしなければならない。


『リュリュ、準備はいいか』


ゼノの声が響く。


『はい!』


リュリュは小さな翼を広げた。


すると、翼の先から七色の光が生まれ、空中に広がっていく。


赤、橙、黄、緑、青、藍、紫。


七色の光が、きらきらと輝きながら別荘の周囲を包み始めた。


リュリュは、かわいらしい声で呪文を唱えた。


「にじゅるん、にじゅるん、ひみつのおうち、なないろおやすみシールド!」


その瞬間――。


パァァァァッ!!


まばゆい虹色の光が、別荘全体を包み込んだ。


光は庭を覆い、敷地の境界を越えて広がっていく。


さらに、周囲の山々にも七色の光のカーテンが広がった。


まるで、巨大な虹色のベールが山全体を包み込んだようだった。


キラキラ……。


キラキラキラ……。


光のカーテンは、別荘も庭も森も、すべてを外側から隠していく。


そして――。


ふっ。


別荘が、消えた。


庭も、敷地も、山も、外からは見えなくなった。


そこにあるはずの景色は、何もなかったかのように見える。


しかし、内側からは何も変わっていない。


別荘も、庭も、森も、そこに確かに存在している。


リュリュは、結界の状態を確かめた。


虹色の光は外側からの視線を遮り、敵の魔力による探知も防いでいる。


これなら、敵が別荘を探そうとしても簡単には見つけられない。


『すばらしいわ、リュリュ!』


フィオナの声が響いた。


『敷地全体がきれいに隠れている。これなら、外から見つけることは難しいでしょう』


アテナも結界を確認した。


『防御の力も十分にあるわ。よくやったわね』


◆◆◆任務完了!


リュリュは、空中に浮かぶ虹色の光を見つめた。


別荘は、完全に隠れている。


リリアも、アリア王女も、何も知らずに眠っている。


『ゼノ様、任務完了です!』


リュリュは神々に報告した。


『別荘、敷地、周囲の山すべてに結界を張りました。外から見えないように隠し、敵の魔力による探知も防いでいます!』


ゼノは満足そうにうなずいた。


『よくやった。これでリリアの居場所を知られる危険は大きく減った』


『ありがとう、リュリュ。あなたのおかげで、あの子を守る準備が一つ整ったわ』


フィオナの声は優しかった。


しかし、アテナはまだ安心していなかった。


『この結界だけで戦争を止めることはできないわ。王国全体の結界も、いつまで持つか分からない。私たちも急いで次の準備を進めなければ』


オルフェも水晶の鏡を見つめた。


『敵は、まだこちらの防御を探っている。これから何が起きるか、慎重に見守らなければなりません』


ゼノは、眠っているリリアの姿を見つめた。


「今だけは、あの子に気づかれずに守ってやろう」


そのころ、別荘の寝室では――。


「……まま……」


リリアが寝言をつぶやいた。


アリア王女の手を握ったまま、布団の中で小さく寝返りを打つ。


そして、また気持ちよさそうに眠ってしまった。


リュリュは部屋に戻り、いつものぬいぐるみの姿でベッドのそばに戻った。


ノクスも黒い子猫の姿で、静かに目を閉じている。


ポポとピピも、ぬいぐるみのまま枕元に並んでいた。


リリアはまだ知らない。


自分たちのいる別荘が、虹色の秘密の結界に包まれ、外から見えなくなったことを。


そして、その外では王国を守るための戦いが、刻一刻と激しさを増していた。


リュリュは小さな翼をたたみ、眠るリリアを見つめた。


(大丈夫。ここは、ぼくたちが守るからね)


虹色の結界は、夜の闇の中で静かに輝き続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。