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第79話 リリアとアリア、2歳のお誕生日! 神様からの特別なプレゼント

第79話 リリアとアリア、2歳のお誕生日! 神様からの特別なプレゼント


◆◆◆平和が戻った王宮


あの恐ろしい黒幕の声が王宮に響き渡ってから、数日が過ぎた。


国を滅ぼすと宣言した謎の存在。


ヴィクトリアとローレン医師が、その者の命令で動いていたという事実。


そして、正体を明かすことなく消えた黒幕。


皇帝アレクは、騎士団に警備を強化させ、王宮と国を守るための準備を進めていた。


しかし、あれほど恐ろしい出来事があったにもかかわらず、王宮には少しずつ、いつもの穏やかな空気が戻り始めていた。


そして――今日は、特別な日。


王国歴999年12月21日。


リリアとアリアが生まれた日だった。


二人は、今日で2歳になる。


王宮では、二人のために盛大なお誕生日パーティーが開かれることになった。


「リリア、今日はあなたのお誕生日よ!」


エレナが笑顔で声をかけると、リリアは大きな瞳をぱちぱちさせた。


「おたんじょーび?」


「そうよ。リリアは今日で2歳になるの」


「にしゃい!」


リリアは両手をぱっと広げた。


「りりあ、おっきくなったぁ!」


「ふふっ。そうね。大きくなったわね」


エレナがリリアを抱きしめると、リリアは嬉しそうに頬をすり寄せた。


「まま、だいしゅきぃ!」


「ママもリリアが大好きよ」


その隣では、アリアも侍女に可愛らしいドレスを着せてもらっていた。


「アリア王女、とってもお似合いですよ」


「ありあ、かわい?」


「ええ、とっても可愛いですよ」


「えへへぇ!」


アリアは嬉しそうに笑った。


そこへリリアが駆け寄ってきた。


「ありあちゃーん!」


「りりあちゃーん!」


二人は小さな手を取り合い、顔を見合わせて笑った。


「きょー、ぱーちー!」


「ぱーちー!」


二人にとって、今日は楽しみがいっぱいの日だった。


◆◆◆盛大なお誕生日パーティー


大広間には色とりどりの花が飾られ、天井からは美しい飾りが吊るされていた。


大きなテーブルには、たくさんの料理や果物、可愛らしいお菓子が並んでいる。


そして、中央には二人のための大きな誕生日ケーキが用意されていた。


「わぁぁぁぁっ!」


リリアは目を輝かせた。


「おっきいけーきぃ! おいちちょー!」


「リリア、まだ食べる前よ」


エレナが笑いながら注意すると、リリアは両手を頬に当てた。


「まってりゅ! りりあ、いいこ!」


その言葉を聞いて、アレクが思わず笑った。


「ははは! 今日くらいは、好きなだけ楽しむといい」


「ぱぱぁ! けーき、たべりゅ!」


「もちろんだ。だが、みんなでお祝いしてからだぞ」


「はぁい!」


アリアもケーキをじっと見つめていた。


「ありあも、たべりゅ!」


「アリア王女も、あとで一緒に食べようね」


エレナが優しく声をかける。


やがて、アレクが二人の前に立ち、穏やかな声で告げた。


「今日は、リリアとアリアの2歳の誕生日だ。二人が健やかに成長してくれたことを、私は心から嬉しく思う。皆も、二人の誕生日を一緒に祝ってくれ」


大広間に、温かな拍手が広がった。


「リリア王女、お誕生日おめでとうございます!」


「アリア王女、お誕生日おめでとうございます!」


「ありがとぉ!」


リリアは両手を振って応えた。


「ありあと、いっしょ! うれちぃ!」


アリアもにこにこと笑った。


「りりあちゃーん、いっしょ!」


二人は並んで拍手をしながら、楽しそうに体を揺らした。


その姿を見て、アレクとエレナも微笑んだ。


しばらくして、誕生日ケーキが二人の前に運ばれてきた。


大きなケーキには、リリアとアリアの名前が飾られている。


「わぁ……!」


リリアはケーキに顔を近づけた。


「おやちゅの、おやまなのだぁ……!」


「リリア、それはケーキよ」


エレナが笑う。


「けーきしゃん、だいしゅきぃ!」


アリアも負けじと声を上げた。


「ありあも、だいしゅき!」


二人があまりにも嬉しそうなので、大人たちから笑い声がこぼれた。


その日、リリアとアリアはたくさんの祝福を受け、思いきり誕生日を楽しんだ。


けれど、楽しい時間の中でも、アレクの胸には一つの悩みが残っていた。


アリアのこれからについてだった。


◆◆◆アレクの悩み


パーティーの最中、アレクは楽しそうに笑うアリアを、少し離れた場所から見つめていた。


アリアの実の父親は、弟のセドリック。


だが、セドリックはヴィクトリアの罪が明らかになったあと、王宮から逃げ出し、行方が分からなくなっていた。


今のところ、どこへ向かったのかも、どこに身を隠しているのかも分からない。


アレクは小さく息をついた。


(アリアを、これからどうするべきなのか……)


アリアは何も知らない。


母親のヴィクトリアが何を企み、どんな罪を犯したのか。


実の父親であるセドリックが、なぜ王宮から逃げたのか。


まだ2歳のアリアに、その責任を負わせることなどできない。


それに――。


「ぱぱぁ!」


考え込んでいたアレクの耳に、元気な声が飛び込んできた。


振り向くと、リリアがアリアの手を引いて立っていた。


「ぱぱ、みてぇ! ありあちゃーんと、いっちょ!」


「そうだな。二人とも楽しそうだ」


「ありあちゃーん、だいしゅきぃ!」


リリアはアリアをぎゅっと抱きしめた。


「りりあちゃーん、ありあも、だいしゅき!」


アリアも小さな腕を伸ばし、リリアに抱きついた。


その光景を見たアレクは、思わず表情を和らげた。


リリアはアリアが大好きなのだ。


二人を引き離すことなど、できるだろうか。


もちろん、アリアの立場や今後については、きちんと考えなければならない。


だが、血筋だけでアリアの居場所を決めるつもりはなかった。


(この子には、何の罪もない)


アレクは二人を見つめながら、心の中で決めた。


(今すぐ答えを出す必要はない。アリアが安心して暮らせるように、そしてリリアと一緒にいられるように、私が考えなければ)


「ぱぱぁ?」


リリアが不思議そうに顔を覗き込んだ。


「どちたのぉ?」


「いや、何でもないよ」


アレクはリリアの頭を優しくなでた。


「今日は、たくさん楽しみなさい」


「はぁい!」


リリアは満面の笑みを浮かべた。


その笑顔を見ていると、今はただ、この穏やかな時間を守りたいとアレクは思った。


そして、盛大なお誕生日パーティーは、笑顔に包まれながら幕を閉じた。




◆◆◆お誕生日の夜


夜。


誕生日パーティーを終えたリリアは、自分の部屋に戻っていた。


たくさんのお祝いをしてもらい、ケーキもお菓子も食べて、すっかり満足した様子だった。


「ふにゃぁ……ねむねむぅ……」


ベッドの上で、リリアは目をこすった。


「リリア、今日は楽しかった?」


エレナが尋ねると、リリアはこくこくとうなずいた。


「たのちかったぁ……。けーき、おいちかったぁ……」


「それはよかったわ」


エレナは微笑み、リリアの額に優しくキスをした。


「おやすみなさい、リリア」


「ままぁ……だいしゅきぃ……」


リリアはエレナの手を握ったまま、うとうとし始めた。


やがてエレナが部屋を出ると、リリアはベッドの上でころんと横になった。


ポポとピピも、枕元にちょこんと座っている。


「リリちゃん、今日はいっぱいお祝いしてもらったねぇ」


ピピが嬉しそうに言った。


「そうなのだ! お誕生日といえば、ごちそうなのだ! ポポもお腹いっぱいなのだ!」


「ポポ、リリちゃんのお誕生日なのに、自分が食べたことばっかりなの?」


「むむっ! おいしいものは、みんなを幸せにするのだ!」


「もう、ポポったら!」


二匹が小声で言い合っていると、リリアの目がとろんと閉じた。


「りりあ……ねんね……」


そのときだった。


リリアの胸元にあるペンダントが、ふわりと金色に光り始めた。


「んにゃ……?」


リリアが顔を上げる。


すると、目の前の空間に、小さな光の輪が現れた。


光の輪はゆっくりと広がり、その向こうに見慣れた神界の景色が映し出された。


「おおっ! これは!」


ポポが飛び上がった。


「神様たちなのだ!」


光の向こうには、ゼノ、アテナ、オルフェ、フィオナの姿があった。


ゼノが優しく微笑む。


『リリア、2歳のお誕生日おめでとう』


「ぜのしゃまぁ!」


リリアは一気に目を覚ました。


『今日は、特別な贈り物を用意したのだ』


「おくりものぉ?」


リリアの眠気は、どこかへ吹き飛んでしまった。


「ぷれじぇんと!?」


『そうじゃ。リリアが喜んでくれるとよいのだがな』


ゼノが手を振ると、光の輪がさらに明るく輝いた。


5 神様からの特別なプレゼント


光の輪の向こうから、二つの小さな影が現れた。


一つは、虹色の光をまとった小さな竜。


もう一つは、黒い毛並みをした猫だった。


二匹は光の輪をくぐり抜けると、リリアのベッドの上に、ぽふんと降り立った。


「きゅるるっ!」


小さな竜が、嬉しそうに鳴いた。


黒猫は、すっと前足をそろえた。


「……ふん。ここがリリアの部屋か」


「わぁぁぁぁぁっ!」


リリアの瞳が、きらきらと輝いた。


「ちっちゃい、りゅーしゃん! ねこしゃん!」


リリアは大喜びで、二匹に向かって両手を伸ばした。


『こちらはリュリュ。そして、こちらはノクスじゃ』


ゼノが紹介した。


『リュリュは、虹色の力を持つ小さな竜。ノクスは、古代の影の力を持つ猫じゃ』


アテナが続けた。


『二匹とも、これからリリアのそばにいてくれるわ』


リリアはリュリュをそっと抱き上げた。


「りゅりゅ、ちゃーん!」


リュリュは嬉しそうに、リリアの頬に顔をすり寄せた。


「きゅるるぅ!」


「きゃあぁ! くすぐったぁい!」


リリアは声を上げて笑った。


続いて、ノクスにも手を伸ばす。


「のくしゅ、ちゃーん!」


ノクスは少しだけ顔をそむけた。


「べ、別に……抱っこされたいわけではないぞ」


そう言いながらも、ノクスは逃げようとはしなかった。


リリアはノクスを抱き上げると、ふわふわの頬を自分の頬にくっつけた。


「ふわふわぁ! かわいぃ!」


「……まったく。仕方のないやつだな」


ノクスは耳をぴくりと動かした。


その様子を見て、ピピがくすくす笑った。


「ノクス、もうリリちゃんのこと好きになっちゃったの?」


「なっ! そ、そんなことはない!」


「お顔がそう言ってるのだ!」


ポポが大きな声で言った。


「ポポにおまかせなのだ! ノクスの本当の気持ちを見抜いたのだ!」


「うるさいぞ、ポポ!」


ノクスが尻尾をぱたんと振る。


リリアはそんなやり取りを見て、さらに嬉しそうに笑った。


「みんな、なかよちぃ!」


ゼノたちは、光の輪の向こうで微笑んでいた。


しかし、ゼノは少しだけ真剣な表情になった。


『リリア。二匹のことを、よく聞いておくのじゃ』


「んにゃ?」


『リュリュとノクスは、これからリリアのそばで過ごす。だが、人間たちに二匹の本当の力を知られてはならぬ』


アテナも静かにうなずいた。


『人間の前では、普通のぬいぐるみや猫のように振る舞うのよ。魔法を使う姿を見せてはいけないわ』


「ぬいぐりゅみ……?」


リリアは首をかしげた。


フィオナが優しく説明する。


『そうよ。人間の前では、可愛いお人形さんみたいにしているの。ノクスも普通の猫ちゃんとして過ごすのよ』


「ねこしゃん!」


リリアはノクスをぎゅっと抱きしめた。


「のくしゅ、ねこしゃん! りりあの!」


「……おい、強く抱きしめすぎだ」


ノクスは文句を言ったものの、リリアの腕の中でおとなしくしていた。


『それから、リュリュとノクスには、リリアを守る役目もある』


オルフェが告げた。


『けれど、今は難しいことを考えなくてよい。まずは二匹と仲良く過ごすのじゃ』


ゼノは、リリアを怖がらせないように、黒幕のことやこれから起きるかもしれない危険については話さなかった。


今夜は、2歳になったリリアへの誕生日プレゼントを届けるために来たのだから。


「ぜのしゃまぁ! ありがとぉ!」


リリアは満面の笑みを浮かべた。


「りりあ、りゅりゅも、のくしゅも、だいしゅきぃ!」


『それはよかった』


ゼノたちは、嬉しそうに微笑んだ。


『では、リリア。よい夢を見るのじゃ』


光の輪が少しずつ小さくなっていく。


「ばいばぁい! またねぇ!」


リリアは何度も手を振った。


そして、光が消えると、部屋にはいつもの静けさが戻った。


6 新しい仲間が増えたのだ!


リリアは、ベッドの上に座っていた。


片腕にはリュリュ。


もう片方の腕にはノクス。


その周りには、ポポとピピがいる。


リリアは嬉しくて、どうしたらいいのか分からない様子だった。


「りゅりゅ、のくしゅ、こっちきてぇ!」


「きゅるるっ!」


「……分かったから、そんなに引っ張るな」


リリアは二匹を自分の隣に並べた。


そして、にっこり笑った。


「みんな、いっちょにねんね!」


「もちろんだよぉ!」


ピピが元気よく答えた。


「ポポも一緒なのだ! みんなで寝るのだ!」


ポポは胸を張った。


「ところで、リュリュ。ノクス。久しぶりなのだ!」


ポポが二匹に向かって、ぺこりと頭を下げた。


「ピピも会えて嬉しいよ〜!」


ピピもにこにこと挨拶した。


リュリュは、ポポとピピを見て嬉しそうに鳴いた。


「きゅるるぅ!」


ノクスも小さくうなずいた。


「……ああ。久しぶりだな」


「えへへぇ!」


リリアは四匹をぎゅっと集めた。


「りりあ、みんなといっちょ! うれちぃ!」


ポポは、ふと何かを思い出したように顔を上げた。


「そうなのだ! 仲間が増えた記念に、おやつを食べるのだ!」


「ポポ! 今、夜だよぉ!」


ピピが慌てて止めた。


「むむっ! 夜のおやつも、おいしいのだ!」


「おやつ……?」


リリアの耳がぴくりと動いた。


「おやちゅ、たべりゅ!」


「しまったのだ!」


ポポが頭を抱えた。


「リリちゃんまで、その気になっちゃった!」


ピピが笑いながら言った。


リュリュも、食べ物という言葉に反応したのか、きゅるきゅると鳴きながらリリアの膝によじ登った。


ノクスは呆れたようにため息をついた。


「……お前たちは、食べ物のことばかりだな」


そう言いながら、ノクスのお腹も、きゅる、と小さく鳴った。


「のくしゅも、おなかしゅいたのぉ?」


リリアが尋ねる。


「ち、違う! 今のは……その、気のせいだ!」


「えへへぇ! みんな、おなかぺこぺこぉ!」


リリアは楽しそうに笑った。


こうして、リリアの2歳のお誕生日の夜に、新しい仲間が二匹加わった。


虹色の小さな竜、リュリュ。


そして、ちょっぴり素直になれない黒猫、ノクス。


二匹の本当の力を知るのは、リリアとポポ、ピピ、そして神々だけ。


人間たちの前では、ぬいぐるみや普通の猫のように過ごすことになった。


リリアは四匹に囲まれながら、幸せそうに目を細めた。


「りりあ、みんな、だいしゅきぃ……」


やがて、小さな寝息が聞こえ始めた。


「すぅ……すぅ……」


ポポとピピも、リュリュも、ノクスも、リリアのそばで静かになった。


そのころ、天界では――。


ゼノが水晶の鏡を見つめていた。


「これで、リリアを守る仲間が増えた」


アテナがうなずく。


「ええ。でも、あの黒幕が何者なのかは、まだ分からないわ」


オルフェは、遠い未来を映す水晶に目を向けた。


「リリアが2歳になった今も、運命は動き続けている」


フィオナは、眠るリリアを見つめて微笑んだ。


「今夜くらいは、楽しい夢を見てほしいわね」


その願いが届いたのか、リリアは夢の中で大きなケーキに囲まれていた。


「けーきぃ! おやちゅぅ!」


ポポが夢の中まで追いかけてきて、ピピが笑い、リュリュが楽しそうに飛び跳ねる。


ノクスは呆れながらも、みんなのそばを離れなかった。


こうして、リリアの新しい一年が始まった。


まだ誰も知らない。


この小さな仲間たちとの出会いが、やがて国を脅かす大きな闇に立ち向かう力になることを。


そして、リリアが20歳になるまでの長い物語が、ここからまた一歩、進み始めたのだった。


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